白石勇一の囲碁日記

囲碁棋士白石勇一です。
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コウの駆け引き(広瀬初段との対局)

2016年11月14日 23時56分58秒 | 対局
皆様こんばんは。
本日は、広瀬優一初段との対局に現れた場面をご紹介します。
私の対局は人気が無いので、最近は後回しにしています。
しかし、昨日広瀬初段の対局をご紹介したので、ついでという事で。



1図(実戦)
私の白番で、白△と当てた場面です。
黒の眼を奪って、こう打ちたくなります。





2図(変化図)
ここで黒1と繋いで貰えれば、大変な利かしになります。
黒1の所の眼が無くなったので、後に白Aからの攻めを狙えます。





3図(変化図)
かといって、黒1は無理です。
「初コウにコウ立て無し」と言いまして、黒3程度のコウ立てでは、白4と解消されていけません。
黒5となった図は、黒1が殆ど意味のない石になっている事が痛いのです。





4図(実戦)
実戦は黒1、3とコウを放置して、大場に向かいました。
今すぐはコウを仕掛けられませんが、保留しておいてタイミングを計ろうという事です。
必ずしもコウに勝つ事に拘らず、いかに全局的に効率良く石を配置するかを考えています。
こういった打ち方は、アマの皆さんが最も苦手とする所ですね。





5図(実戦)
白1、3とコウに勝つ事はできますが、黒2の絶好の開き詰めを打たれては、全局的に遅れるかと思いました。
3図と違って、△に黒の無駄石がありません。





6図(変化図)
という訳で、白1を優先しました。
黒Aと繋ぐなら白Bで、2図と同じような事になります。
黒は窮屈な姿で、白十分の布石でしょう。





7図(実戦)
ところが、実戦は黒1と打ち込んで来ました。
この手は「コウ立て作り」です。





8図(変化図)
白1と閉じ込めるのが素直な対応ですが、一例としてこのような進行が考えられます。
黒8のコウ仕掛けから、黒10の絶好のコウ立てを打たれ、白が困ってしまいます。





9図(実戦)
という訳で白1と、黒の注文を外しました。
黒Aと逃げれば白Bとコウを取っておき、右上の黒一団にプレッシャーをかけて行くつもりです。





10図(実戦)
ところが、ここでも黒は思い切った事をやってきました。
黒1とコウ立て作りをして、黒3のコウ仕掛け!
黒5のコウ立てがきついと言っています。
確かに、黒Aと抱えられてはたまりません。





11図(実戦)
そこで白1と受け、黒2とコウを取り返しました。
白3のコウ立てに、構わず黒4と解消し、白5の連打から振り替わりに進みました。





12図(実戦)
結果はこんな事になりました。
当初の姿からすると、思いもよらない大変化です。
黒△、白△(抜けている石を含む)それぞれ酷い悪手です。
気持ち白有利かと思いましたが、願望が入っているかもしれません。
実際は互角に近い分かれなのでしょう。

コウを怖がる方が多いですが、コウに負けても碁に負けるとは限りません。
景色の変化を楽しむ気持ちで、コウ争いをして頂きたいですね。
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