白石勇一の囲碁日記

囲碁棋士白石勇一です。
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支援御礼&本因坊戦第2局感想

2016年05月24日 21時08分39秒 | 囲碁界ニュース等
皆様こんばんは。
第1回13路盤プロアマトーナメント戦、最終支援金額は約200万円!
総勢81名のプロ予選が開催される事になりました。
面白い碁が沢山生み出される事でしょう。
ご支援頂いた方々、ありがとうございました!

<後日追記>
実は支援金額は満額の350万円に達していました。
ありがとうございました!
<以上追記>

さて、本日は本因坊戦第2局の2日目が行われました。
振り返っていきたいと思います。



封じ手はコウ立てに受けるツギ、予想通りでした。
後の展開を考えると、ここは絶対に譲れない所でしたね。





黒はコウ材が足りないので黒1と形を整えようとします。
ここで白はAと解消せず、さらに白2の切り!
といってもプロにとっては驚く手ではありません。





すぐにコウを解消するとこのような図になります。
この時、白1の石がAにあった方が良いのは明らかです。





コウは白が強いので、結局このような分かれになりました。
白が最大限に頑張った形で、右下の損をかなり取り返しました。





そして少し進んでこの場面、白1と狭い所に入ったのが凄い!
強引に戦いに持ち込んで中央の厚みを生かそうとしています。
黒はAなどと連絡を図れば無難でしたが、気合で2、6と連打!
しかしこれは井山本因坊の待っていた展開だったかもしれません。





白3、5と節を付けてからの白7が急所の一撃!
AとBの傷を睨まれて、黒は進退不自由になりました。





白の攻めが続いていますが、白1、3と地を得しておくのも忘れません。
攻め一辺倒では凌がれた時に地が足りなくなる恐れがあります。
そして右上は先手で切り上げて再び白5の急所に迫って攻めを再開。
碁盤全体を見た打ち方です。





高尾挑戦者もこのまま押し切られるわけにはいきません。
黒△と急所に迫って反撃!
強烈な一撃と思われました。





その後手順が進み、黒△となっては白参ったか?





ここで妙手が飛び出しました。白1!
なんとも鮮やかな手筋で、これで凌いでいます。
この状態から問題に出されればプロなら誰でも分かります。
しかし、井山本因坊にはずっと前から見えていたのでしょう。





黒1なら白2以下で脱出、黒の方が危険です。





黒1なら白2が第二弾の妙手!
白6まで、見事に凌いでいます。





その後黒が態勢の立て直しを図っている所に、またしても白の手筋が襲い掛かります。
白1、3!
これまた格好良い手筋です。
黒4を誘って白5に石を持っていき、Aと出て行く展開になりました。





その戦いが進んで△の所のコウ争いになりましたが、黒1のコウ材に構わず白2と解消。
黒3と隅を生きられましたが・・・





黒大石をいじめた後右上に手を回し、白△となっては外側の黒がピンチです。
最後まで亀の甲(2目ポン抜き)の威力が発揮された形です。
これで井山本因勝利、1勝1敗となりました。

終わってみれば井山本因坊の快勝でしたね。
2日目、高尾挑戦者の明らかなミスが見えなかったのですが結果は大差になりました。
敗因は1日目まで遡るべきかもしれません。
しかし観戦者の感想としては、見所が多く素晴らしい碁だったと思います。
第3局は6月2日(木)、6月3日(金)に行われます。
お楽しみに!