白石勇一の囲碁日記

囲碁棋士白石勇一です。
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村川八段、碁聖挑戦!

2016年05月18日 21時45分14秒 | 囲碁界ニュース等
皆様こんばんは。
第1回13路盤プロアマトーナメント戦は、支援金額80万円に達しました!
これで幽玄の間での本戦トーナメント開催が決定しました。
ご支援くださった方、ありがとうございます。

しかしこの企画、まだまだ先があります。
支援金額175万円到達で棋士81名参加の予選が開催されます。
現在世に出ている13路盤のプロ対局はごく僅かですが、予選開催となれば多数の名局が生み出されること請け合いです!

支援金額350万円に達すると準決勝・決勝・3位決定戦の大盤解説会、終了後の懇親会が開催されます。
トップ棋士の生の声が聞けるチャンスです!

募集終了まで残り6日、まだ時間はあります。
皆様、引き続きご支援をお願いいたします。


さて、本日はニュースがもう一つあります。
第41期碁聖戦の挑戦者決定戦が行われ、村川大介八段山下敬吾九段に白番4目半勝ち!
井山碁聖への挑戦を決めました。
棋譜は幽玄の間、週間碁、新聞各紙等でご確認頂くとして、この対局の見所をご紹介しようと思います。




白△と打った場面、黒番の山下九段がこの白をどう攻めるかに注目していました。




黒1、5と足元からかち上げるような攻め!
見た感じでは石が下に行ってつらそうです。
白2、4とあっさり進出されてどうかと思っていました。
しかし・・・




白1の曲げに2、4と強硬切断!
ここまで見てようやく首尾一貫した作戦だと分かりました。
山下九段は「丈和の再来」とも呼ばれる剛腕です(本因坊丈和=江戸時代の名人、歴代でも屈指の打ち手)。




以下黒石は次々と急所に襲い掛かり、局面は黒△と力強くノビきった所です。
山下九段はこういう激しい戦いを最も得意としており、さしもの村川八段も苦戦かと思われました。




しかし、村川八段も黙って殴られていたわけではありませんでした。
白1、3が狙いの手筋です!




白7までと種石を先手で逃げ出し、準備完了。
ここから猛反撃に出ます。




白1の逃げ出し!
これが真の狙いでした。
白7までと進んで・・・これは一体どうなっているのでしょうか?




記号だらけで見難くなってしまいました(笑)
現在黒の弱石が3つ、白の弱石が少なくとも4つあります。
もはやどちらが攻めているのか、全く分かりません。
ノーガードの殴り合い!
ちなみに白の弱石を少なくとも4つと表現した理由・・・後で右下隅が死にます




激戦の結果、黒が右下隅を取って白が中央を取る大振り替わりに!
中央の方が大きく、ここで白勝勢となりました。
この後白は右下で先手20目近い(!)ヨセを打ち忘れるという事件がありましたが、最後は勝ち切りました。

剛腕の山下九段にこういう碁で勝てるのは凄い!
村川八段は王座を取ってから絶不調に陥っていましたが、現在名人リーグで挑戦者争いをしているなど、調子が出てきたようです。
そしてこの碁を見る限りは完全に吹っ切れたように見えます。
井山七冠はまたしても恐るべき挑戦者を迎えることになりました。
碁聖戦五番勝負は6月25日(土)に開幕します。
今年はタイトル戦から目が離せません!