ばばの日記

団塊世代 仲良し夫婦の暮らし
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ケンムン(妖怪)に呼ばれる?

2015年09月05日 15時22分44秒 | 日常生活
9月5日(土)晴れ

今日は、自分の用事で午前中出かけた。



出先で、聞いた話・・・・

話してくれた方をKさんとしよう。

Kさんのお父さんは、昭和30年代役場に勤めていたそうだ。

お父さんは、時には仕事で、夜、各集落を回って映画を見せたりしていた。

その時は映写機やフイルム等を馬車に積んで運んだそうだ。

映画鑑賞をする場所は、学校の校庭などの広場。

夜になると、集落の人たちは松明ならぬ「ウキリ」を振り回しながら

その明かりで会場まで集まってきたそうだ。

「ウキリ」とは、徳之島の方言で「火の付いた薪?」。

長い薪の先を燃やして、いったん火は消して、それを振り振り集まる人々・・・

想像すると、時代を感じるね。

会場へ着いたら、ウキリは後者などから離れた場所に

数本ずつまとめておいたそうだ。

あまり数が多いと、火が燃え上がる恐れがあったからだそうだが・・



で、ある日、Kさんのお父さんは、映画鑑賞のため、ある集落へ出かけた。

自分では馬車を持っていなかったので、行く時は、

ある人が会場まで送ってくれた。

その会場までは、山道のような道路で、おまけにクネクネ九十九折りの道。

何とか会場に着き、上映会も終わり、さて、帰ろうという時になって

Kさんのお父さんは途方に暮れた。

帰ろうにも交通手段が無い。

映写機などは、上映会をした集落に預け、歩いて帰ることにした。

山の中の九十九折りの道を、1人で歩き出した・・・のは良いが

何せ、会場から自宅までは約8キロくらいもある。

それでも、お父さんは歩き出した。

途中、背後から「おぉ~~い、おぉ~い」という声が聞こえた。

お父さんは「ケンムン(奄美の妖怪)が現れたか?今夜、ここで妖怪に殺されるのか?」

と思い、全速力で必死に走り出した。

それでも「おぉ~い、おぉ~い」という声は追ってくる。

走りに走って、息も絶え絶えのお父さんは、諦めた。

もし、妖怪ならいくら逃げたって、家に着くまでに捕まってしまうだろう。

なら、ここで死ぬことになっても仕方が無い。

と、覚悟を決め弾む呼吸を整えながら、ひたすら前を向いて普通に歩いた。

すると、すぐ後ろか「○○せんせ~~い」という声が。

驚いて振り向くと、先ほどの集落の青年が馬車で追いかけてきていて

お父さんを乗せて、家まで送り届けてくれたそうだ。



「おぉ~~い、おぉ~い」と呼んだ青年が、

最初から「○○さ~~ん」と呼んでくれていたら、少し事情は変わったかな?



思い込みって怖いね。

Kさんのお父さんも、山道だし、夜中だし、

背後から「おぉ~い、おぉ~い」って呼ばれたら、恐怖心から

(きっと妖怪だろう?)と思ったんだろうね。

昭和30年代と言えば・・・

カッパやケンムンの噂は何回も聞いていた。

ばばが、母と一緒に、通称「ブーチゴー」という山の中の川へ洗濯に行く時は

「ケンムンに引っ張られるから、遠くに行くなよ」と注意され

「ブ-チゴー」へ泳ぎに行くと言えば

「カッパに肛門引き抜かれるから行くな」と言われた。

今にな会って考えれば、子供に危ないことをさせないための「脅し」と分かるが

当時は本気で「ケンムン」や「カッパ」を信じていたよ。



以前のブログにも書いたけど、ばばが子供だった頃、

ある家の70歳くらいのお爺さんが行方不明になり

集落の方総出で、捜索をしたことがあった。

捜索を初めて数日後、お爺さんは「ブーチゴー」を渡って

さらに山の中に入った洞窟の中で無事見つかったが、

周囲の人たちが「ケンムンに引っ張り回されたんだよ・・」と

話しているのを聞き、子供心に怖くて怖くて

絶対、1人では山の中などには行かないぞと思ったものだ。



今になって考えると、お爺さんは山に行ったが

初めての場所で道に迷って、さまよい続けていたのかもしれない。

もしかしたら?少し認知症があって、徘徊しているうちに

川を渡り、山の中へ入り込んでいって、道に迷ったのかもしれない。



当時は、ケンムンとかカッパとか「マブイ(幽霊)」と聞けば

ただただ怖かった。

ケンムンに引き回されたという話は、

隣近所のお兄さん達もよくしていたので、

「ケンムンはいる」と信じていたばば・・・・



今はケンムンとかカッパとか聞いても、怖くはないけれど

もし、奥深い山の中などに1人いて、急にケンムンのこととか思い出したら

パニックになってしまうかもしれないとも思う。



本当にケンムンやカッパがいたのだろうか?

それは、答えを出さない方がロマンがあって良いのかもしれないね。



Kさんのお父さんの話を聞きながら、何故か自分の子供時代に

タイムスリップしてしまった、今日のばばでした!