味園博之のブログ-文武両道「空手道と南洲翁遺訓」他古典から学ぼう

平成の今蘇る、現代版薩摩の郷中教育 
文武両道 「空手道」と『南洲翁遺訓』を紹介するブログ

「活学」をやれば運勢も開ける

2017-05-29 09:28:10 | ブログ
第3072号 29.05.29(月)

「活学」をやれば運勢も開ける。『男子志を持つべし』

 安岡正篤著『男子志を持つべし』の巻頭を引いてご紹介致します。当時、住友生命会長・新井正明氏の紹介です。font>

 今日、「帝王学」が大はやりであるが、故・安岡正篤先生こそ、まさに「帝王学の権威」であった。先生は、中国古典の勉学を通じて、「国のリーダーはどうあらねばならないか」ということを、あらゆる角度から考えぬいた人である。
 ご存じのように、中国では伝統的に「政治」を再重要視し、かつては、あらゆる学問が政治を良くするためのものであった、と言っても過言ではない。したがって、今日、古典とされる書物の大部分がその目的のために読まれ、研究されてきたのである。しかし、わが国にはそうした伝統があまりないので、特に明治以降、中国古典の研究は、とかく象牙の塔に籠もりがちであった。しかも、研究の中心は、字句の解釈や註釈を主とする、いわゆる訓詁学である。訓詁学はもちろん重要であるが、学問の主目的は、訓詁学の成果を踏まえ、古典から「現在または未来に処する方法」を抽き出すことである。そうすることによってはじめて、学問は現代に生きるのである。
 安岡先生の学問が、まさにそれであった。先生はよく「活学」ということを言われていたが、先生の学問の目的から方法論、日常の行動に至るまで、すべてが「活学」であったと言えよう。その意味で、先生は「学問の王道」をいった人であった。
 では、安岡学の最高目的は何か、というと、それは「より良き政治に資すること」である。そのためには、政治の局に当たる人に「人物」を得なければならないとして、安岡学の中心は「人物研究」に置かれた。一国のリーダー(宰相)を含む組織の長の「あるべき姿・その心得」を研究する、いわゆる「帝王学」である。観点を変え、もっと広い意味にとれば、それは「人間学」と言ってもよい。これが、安岡学の中心テーマであり、最大特徴でもある。
 先生は、主として中国・日本の歴史における治乱興亡を、中心人物ビヘイビアを深く観ることによって、そこからいろいろな原理原則を抽き出そうとしたのである。それは、マクロには治乱興亡の原理原則から、ミクロにはリーダー個人の行動の原理原則に至る幅広いもので、為政者たる者は、必ず心得ておかなければならないものである。つまり、これが本来の「帝王学」であり、それは社会のごく一部の人たちにとって有用なものであった。

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『人としての生き方』(第26回)

   六、学は已むべからず

 『論語』陽貨篇には、学問を怠ることによる六つの弊害があります。これは、孔子のもとで成長を遂げた子路に対する訓戒として孔子が教えたものです。

   由や、女六言六蔽を聞けるか。
   対(こた)えて曰わく、未だし。
   居れ、吾女に語(つ)げん。


 由というのは子路の名前です。「子路よ、六つの言葉の六つの弊害について聞いたことがあるか」と。「いいえ、聞いてはおりません」と子路が答えます。
 すると孔子は「そこに座れ、今から話して聞かせよう」と言って、次の六つの徳目(仁・知・信・直・勇・剛)の弊害について聞かせます。


仁を好みて学を好まざれば、其の蔽や愚。

 非常に愛情があっても、学によってその識見を広めないと「其の蔽や愚なり」愚者の愛、盲目の愛となる。ちょうど親が子供を可愛がるだけで、本当の愛のあり方を知らずに、子供がお菓子を欲しがれば、望むままに与えて歯を駄目にしてしまったり、お腹をこわすというようなことになる。情に溺れるとダメだということです。
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「死に代えた『南洲翁遺訓』」(第20回)

 また「黄泉の下に見える」とは、死後の国で西郷と見えたいという心でしょうが、菅は西郷を尊んで、明からさまに名をいわず、この年になっても、生涯西郷を師と崇め私淑していたことが分ります。菅の偉大な所以です。

     家老の器

 彼が二十二歳のとき忠発の世子(跡取り)忠恕の読書の相手にあげられ、二十四歳のときには近習となり、前の松平や中世古甚四郎、古川儀兵衛たちと、役目がら学問の道に入りました。これも山口、松平の、菅の素朴な性向を学問によって大成させようという温かい考えであったと言われています。
 彼はここでも生来のマグマを発揮して猛烈に読書に励んだそうです。
 余談ですが、西郷もこの年ごろ、郷中の青年たちと朱子の『近思録』の輪読をやったり、伊東猛右エ門に陽明学を学び、また無参和尚のもとに参禅しています。

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