もしもしカメよ、カメさんよ。

〈動物園の動物たちが老齢化している〉
そんな番組をテレビで見ました。
チーターか何かが、老齢で咀嚼がうまくいかず、肉をミキサーにかけミント状にしたエサを、
与えられたりしていました。
小動物なら、あぁ　そうか、動物だって年は取るから………、でニュースの画面に
立ち止まったりは致しません。

しかしですよ。
チーターとかライオンの類が、老齢化に因る咀嚼障害、などとのハナシを聞きますと、
これは人間側の勝手な想像にすぎませんが、当の動物たちは、「百獣の王」たる誇りが、
失われはすまいか、などと考えてしまうのです。
いや、「百獣の王」と言うのも人間側の勝手な命名に過ぎず、ライオンは　ただライオンの
生を生きているだけなのでしょう。

私は、幼い頃から動物園というモノには違和感を覚えていた人間です。
食物連鎖からいって、「食ったり」「食われたり」は自然の営みとして許容できても、
捉えてきて、エサを与え、大切に飼育されたからと言って、それで野生の動物は幸せ（？）
なんだろうか、と。
残酷ではないか、とも。

まぁ、飼育されてきた園の動物達ですから、老齢になったからと言って処分してしまうなどと
いう残酷なことは決してしてはいけないと思っています。

岡山の方で、ゾウガメが園から逃げ出し、懸賞付きで捜査したところ、
山の中で見つかったとのことでした。
２週間ほど行方不明だった大型陸亀の「アブー」は、無事保護され入園者の人気が
沸騰しているとのこと。

「アブー」が園を出て行った理由はなんだったのでしょう。
散歩気分で園を出たものの、迷子になって不本意にさすらっていたものか、
それとも自由を求めての脱走　？

ゾウガメ語が分かるなら、聞いてみたいところです。
問　１　　園から出たのは、故意でしたか、それとも　「うっかり」でしたか。
問　２　　何を食べていましたか。
問　３　　園外生活は、園に居た時より幸せ・もしくは満足感が　得られましたか。
そして最後の設問　〈あなたは、園に帰りたいと思いましたか〉　と。

私は、次々と　くだらないことを想像しました。
探し出されることもなく、山を経めぐる「アブー」の、その後のエピソードなどを。

〈鶴は千年　亀は万年〉　の譬え。
一万年生きた「アブー」は、「世界人類見聞考」を出版。
『地球生物機構』から、優良出版物賞受賞。
そして、山奥のカメ温泉で、眠るように　安らかに　その生涯を閉じました。

僅かな遺品の中から、〈健康を保って生きるためには〉と記したエッセー風の文章が
出てきました。
一にも二にも、「食べ過ぎないこと」が、肝要と記されていたとか。
そして、何事もスローライフで、とも。
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　〈ゴマメのばーば〉