ピピのシネマな日々:吟遊旅人のつれづれ

歌って踊れる図書館司書の映画三昧の日々を綴ります。たまに読書日記も。2007年3月以前の映画日記はHPに掲載。

親密すぎるうちあけ話

2007年10月27日 | 映画レビュー
 ルコントらしい作品。ほんと憎いわ。「仕立て屋の恋」なんかに比べると緊張感はいまいちだけれど、しゃれています。


 精神科医と間違えて税理士の事務所のドアを開けてしまった美しい人妻。彼女の親密すぎる打ち明け話にのめり込んでしまった税理士は…

 この映画、かの「仕立て屋の恋」のヒロインサンドリーヌ・ボネールを15年ぶりに起用したルコント監督の作品だ。「仕立て屋の恋」と同じく、美しいヒロインに惹かれていく冴えない男、という組み合わせ。ルコントにはこういう組み合わせが多いのはなぜなのだろう。この組み合わせは、女性を男性の上位に置く。女性に優越感を味わわせることができるのだが、その一方で、実はそんな美しい女が醜男に惹かれていくことに男の側の快感がある。ルコントの捻れた欲望が表れているのではなかろうか。

 この映画には法外な報酬を取る精神科医への批判も込められている。精神科医でなくてもプロのセラピストでなくても、「聴く耳」さえ持っていれば、充分セラピストの役目を果たすことができるのだ。精神科医でないと判っても女は男のもとへ毎週通い続け、親密すぎる打ち明け話を続ける。

 いつしか女を真剣に愛してしまう税理士だが、彼の純情は女を強引に口説くことなどできない。歯痒い歯痒い恋がやがて終わる…。だがしかし…!

 ここにも肉体的にストイックな恋情が描かれている。人妻の赤裸々な告白にたじろぎながら、恋に心を躍らせる中年の税理士。彼が日々の鬱屈や別れた妻との奇妙な友情の中で徐々に人妻に惹かれ気持ちを深めていく様子がじっくり描かれていてけっこうスリリングではある。

 ま、好みは分かれるかもしれませんが、男性より女性に受けそうな映画。(レンタルDVD)

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CONFIDENCES TROP INTIMES
フランス、2004年、上映時間 104分
監督: パトリス・ルコント、製作: アラン・サルド、製作総指揮: クリスティーヌ・ゴズラン、脚本: ジェローム・トネール、音楽: パスカル・エステーヴ
出演: サンドリーヌ・ボネール、ファブリス・ルキーニ、ミシェル・デュショーソワ、アンヌ・ブロシェ、ジルベール・メルキ

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