アーバンライフの愉しみ

北海道札幌近郊の暮らしの様子をお伝えしています。

村上春樹著「色彩を持たない田崎つくると、彼の巡礼の年」

2014年09月12日 | 読書三昧
町の図書室でみつけ、借りて来て読んだ。
田舎の図書室ならではだ。



物語~苗字に色の字がない主人公の「田崎つくる」は、ある日突然、5人組のグループから仲間はずれにされる。しかし、なぜ疎外され、放逐されたのか理由がわからず悩み自殺まで考える。そして16年後、それを解明する巡礼の旅に出る・・・。

初夏の台風のように、始めは行方が定まらずノロノロしていたのだが、1/3を過ぎるあたりからスピードアップし、結果的に、彼のものとしては面白く読んだ。

内容は兎も角、その文章の美しさに酔った。それだけで、本を読む楽しさの半分は満たされたことになる。その点で、この人は天才なのだと思う。

加えて、最近、何度か書いているのだが、小説の成り立ちが作者本位ではなく、主人公主体である点でも大いに共感した。

つまり、物語が主人公が目視し、思考した事柄を中心に構築されて行くという、極く当たり前の作風に徹している点でも安心して読むことができた。

ただ、最近、この人をノーベル賞にと期待する向きもあるが、残念ながら、小生はその気にはならない。何故なら、いくら文章が美しく上手でも、物語を形成する(思想としての)バックボーンを感じないからだ。

この点、先輩の受賞者らは、背骨がはっきりしていたように思う。

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3 コメント

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言えるほどに… ()
2014-09-12 08:47:56
読んでないので、大きなことは言えませんが、初期の新聞小説を読んだ時に、今のエゾフクロウさんと同じ感想を持ちました!
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絵を描く上でも… ()
2014-09-12 13:48:35
最近、特にその点が気になっています!自己回帰で終わってしまっていないか?…と
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空さん (エゾフクロウ)
2014-09-12 18:43:58
コメントありがとうございます。

一部、誤記がありましたので、再投稿いたします。

勿論、読んで楽しいというのは、本が持つ基本的機能
ですが、それだけでは困ります。

何がしかの(著者の発信する)人間性のようなものを
体得できれば良いのですが。
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