漢方薬剤師の日々・自然の恵みと共に

漢方家ファインエンドー薬局(千葉県)
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夏バテを感じるころ、豚肉は熱がこもりにくい

2023-08-29 | 薬膳・食育
暦では「処暑」次候は「天地始めて粛し(さむし)」
心持ち暑さが収まったような気もしましたが、残暑はまだまだ。体力を補うためにこの時期は、肉や卵などたんぱく質もしっかり摂りたいものです。
肉の中でも豚肉は体に熱がこもりにくいので、骨のうまみも味わえるスペアリブなどはおすすめですね。ニンニクや唐辛子を効かせると食欲が進みます


もちろん、揚げ物、ハムなどの加工品、脂っこすぎるものは控えめに食べます。

豚肉(イノシシ科)
平、甘、鹹/脾、胃、腎
滋陰潤燥の働きがあるので、体の消耗したこの時期にはピッタリ
空咳、便秘、乳汁分泌不足などに。


西印旛沼の浅瀬にあつまるサギ(チュウサギ、アオサギ)
ちょっぴり涼し気に見えます。

血熱・血まで熱がこもっているという考え方、慢性的に炎症がくすぶっている

2023-08-23 | 肌トラブル・アトピー・美容
「血熱」という中医学の概念があります。
熱が血液にまで侵入してしまった状態で、炎症が慢性的に続いてなかなか治りません。
このタイプの人は、一見すると赤ら顔で、便秘がち。いつも皮膚トラブルを起こしていたりします。

こんな状態なら血熱気味
・肌が荒れやすい  
・辛いものや脂っこい物を好む
・イライラする
・のぼせやすい(顔があつくなる)
・口が渇く(水をグビグビ飲む)
・生理前ににきびがでやすい
・目が充血している
・赤味が強いにきびや吹き出物がでる
・便秘気味

すでに血熱状態
・鼻血、血尿、血便、血痰など出血しやすい
・女性では、出血量が多く、経血の色が鮮やかでべっとりしている、生理が早くなる
・発疹やアトピー、吹き出物などの皮膚トラブルでは、赤味が強い
・微熱、熱感がある
・舌の赤味が強い

まず生活習慣を変えてみましょう。
こんな生活が続いていたら改善しよう
・食事面:肉食が多く、野菜が苦手、インスタント食品が多い、刺激物が好き(辛いもの、お酒)
・精神面:仕事が忙しすぎる、イライラが続く、リラックスできない、気を使う人間関係
・大気:緑が少ない、空気が汚れている、一日中暑いところにいる、ハウスシック気味、タバコを吸う

血熱はなかなか解消しづらい場合もあるので、漢方の力も借りて、早めに爽やかな血流を取り戻してください。
よくご相談ください。

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旬の果物ブドウは皮も食べたい

2023-08-17 | 薬膳・食育
先日、梨と桃の話をしたら、「ブドウが好きなんだけど」と言われてしまったのでブドウの作用を書いておきます。
この記事を書く前にブドウはさっさと食べてしまったので、女郎花(オミナエシ)の写真を(*_*;


働きについては果、皮、種をひっくるめてです。
平、甘/脾、肺、腎
補気養血安胎:気血を養い、肺気虚の咳、渇き、貧血そして胎動不安にもよい
強壮筋骨:リウマチ、下肢の痛みなどに
利尿消腫:むくみ解消
解表透疹:蕁麻疹などにも

できれば皮も一緒に食べたいので、ふだんの養生食には、干しブドウを活用するのもおすすめです。
安胎にはナツメと合わせて干しブドウを毎日少しずつ食べるそうです。
むくみには、干しブドウ+生姜の皮がおすすめ。

牡丹蔓(ボタンヅル)咲き始めていました。
そっくりな仙人草(センニンソウ)も。
どちらも晩夏の花です。
まだまだ残暑が続きそうです。どうかご自愛ください。

旬の果物で体調を整える。桃と梨の作用の違い

2023-08-10 | 薬膳・食育
立秋を迎えました。これから厳しい残暑です。
そこで旬を迎えるのが桃や梨。
猛暑に疲れた体を癒してくれます。自然は本当にありがたいですね。

桃:
8月8~10日は白桃の日なんだそうです(8は、9く、10とう)

温、甘、酸/肺、肝、胃、大腸
益気生津:消耗した体に潤いと元気を補い、ほてりや寝汗、口が渇いたりする状況を改善する
養陰潤燥:コロコロ便タイプの便秘に腸を潤して改善する
利肺鎮咳:夏風邪の咳や疲労性の咳、喘息
破血消積:腹痛、生理痛、不正出血

つまり桃は、消耗した体を潤し元気を増し、血流を改善する働きがあります。

梨:
千葉はあちこち梨の産地です。そしてこれは幸水。もう少ししたら豊水の季節になる

涼、甘、酸/肺、胃
清熱化痰・生津潤燥:消耗した体に潤いを補い、ほてりを冷まし、口の渇き、痰熱の咳などに。

桃との違いは、桃は温めるのに対し梨は冷ます。
冷えて下痢をしているときや、冷え性の咳の人は梨を控えますが、
梨を煮てデザートにするときには、ニッケイ(シナモン)やチョウジ(クローブ)など体を温めるスパイスを一緒に使うのもいいかもしれませんね。

桃も梨もバラ科。咲いている花の様子を思い出しながら食すのもいいかも。

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千畳敷から木曽駒ケ岳の植物その2

2023-08-05 | 植物&動物
木曽駒ケ岳山頂からは美しい裾野を持つ御嶽山が見えます(合掌)
夏でこんなにくっきり見渡せるのは珍しいとのことでした。
おかげで首の後ろをがっちり日焼けしました( ;∀;)
手前の花はヨツバシオガマとシナノキンバイかな。
ハクサンチドリ
ヒメウスユキソウ。ここの固有種だとか。

ベンケイソウ?
ミヤマクロユリ
ミヤマリンドウ?

モミジカラマツ
花は終わりかけのユキザサ
ヨツバシオガマ

ツアーなので、好きなところで立ち止まることができず、写真を撮れなかった花がいくつもありました。
また、たぶんイワヒバリだと思うのですが、岩壁におそらく番でいました。
足元がずっとガレなので、上を見るのが難しい・・・
タカネツメクサ
オヤマノエンドウ
ライチョウの保護活動に出くわしました。
ちょうどケージにライチョウが入ったようでしたが、残念ながらライチョウの姿は見えず。
千畳敷登り途中の景色。空が青い。


千畳敷から木曽駒ケ岳の植物その1

2023-08-04 | 植物&動物
今日もすごく暑いので、7月に登った千畳敷から木曽駒ケ岳の植物をまとめ。
このときの気温は最高でも18度で快適だったんだけどなあ~

ハクサンイチゲとたぶんシナノキンバイ

イワツメクサ

イワヒゲ

カラマツソウ
キバナノコマノツメ
たぶんシナノキンバイ
色の濃いコマクサ
コバイケイソウ
ゴゼンタチバナ
イワカガミ
タカネグンナイフウロ
ツガザクラ
ナナカマド?
名前間違っていたらお教えくださいませ。
千畳敷登り途中の景色

サラシナショウマ・「升麻」は補中益気湯に配合

2023-08-01 | 薬草・生薬
伊吹山で見た、まだ蕾のサラシナショウマです。
白い花が咲きそろってふわふわ風に揺れるさまはきっと優雅でしょうね。
この根茎は生薬「升麻(しょうま)」で、
辛涼解表薬
性味:甘・辛、微寒
帰経:脾・胃・肺。大腸
効能効果:発表透疹、清熱解毒、昇挙陽気

特に昇挙陽気作用は、陽気を上に持ち上げる働きで、
気虚で、内臓下垂に陥っているときに人参、黄耆、柴胡などと合わせて用い、その代表処方に「補中益気湯」があります。

補中益気湯は、慢性疲労などでよく用いられるので、夏バテにも使われます。
胃腸下垂、子宮脱、脱肛などにおすすめです。

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