漢方薬剤師の日々・自然の恵みと共に

漢方家ファインエンドー薬局(千葉県)
http://kampo.no.coocan.jp/

久病血瘀:たとえばコロナ後遺症・息切れ、だるさ、喘息様症状

2023-03-28 | アレルギー・花粉症・鼻炎・咳
症状が長引けば瘀血が生じる(血流の悪化)といわれます。

コロナの場合だと、肺にダメージを受けることが多く、それが長引けば、肺の血流が悪化して酸素の取り込み量が低下するので、息苦しさやだるさ、喘息様症状が残ってなかなか改善されません。

自分の経験ですが、風邪の咳が長引いて、陰虚の咳なのですがいつもより舌が紫っぽかったので、活血剤を一緒に服用したところみるみる体が楽になったことがあります。
肺の血流が改善されて、酸素の取り込みがよくなり回復力が増したのだろうと思います。
肺脾気虚、気陰両虚そして寒飲鬱肺など体質に応じた漢方と、血流改善やってみましょう。
よくご相談ください。

今のショウウインドウ。
今年の桜は天気に恵まれないまま終わってしまいそうです。

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ヒヨドリ、コブシを食らう

2023-03-22 | 植物&動物
ぼーっとしているとどんどん景色が変化する春です。
昨日はもうコブシの花が散り始めていたので、慌てて載せました。

この時は、まだ咲きそろったころなのに、地面に花びらがたくさん落ちていて
不思議に思って見上げると、犯人を発見しました。
現場を押さえました!やっぱりヒヨドリです。

咲き始めの花びらはおいしいのかな。

日曜日はヒュウガミズキがいっぱい開花。

昨日は曇天ながら暖かく、早咲きの桜にメジロ図
もうすぐソメイヨシノも満開。

この頃しばしば目が覚める・心腎不交の不眠

2023-03-18 | 気持ち・眠り
このところ睡眠障害の訴えが増え、漢方お馴染みさんには「天王補心丹」を飲んだら落ち着いたという声をいくつかいただきました。この漢方薬は心腎不交状態を改善します。


(御伊勢公園のサクラはまだ蕾。レンギョウはよく咲いています)
立冬以降、自然界は陽気が増して、春分ごろには一機に陽気が優勢になります。これにしっかり体を同調させておくことが必要なのですが、今年は桜の開花も驚くほど早く、これまで寒さが厳しかったはずなのに反動で暖かさがすごいですよね。
すると、陽気が頭に上ってこれを上手に冷ますことができなくなることがあります。頭は興奮しっぱなしになるので、眠りが浅くなったり脳が休まらず全然眠気が起こらなかったりもします。

心火を腎水で落ち着かせることができなくなる「心腎不交」状態です。
腎陰虚のひとつで、ストレス、脳が疲れている、不安感、動悸、息切れ、のぼせ、寝汗、口が渇く、便秘気味などの症状を伴うこともあります。

もともと腎虚の人は、この陽気で発症しやすいのかもしれません。
また、更年期、自律神経失調症、甲状腺機能亢進、副腎疲労症候群、ノイローゼやうつ、脳が疲労している受験生やストレスが多い方にしばしば心腎不交状態が見られます。
また、カルシウムなどミネラルの多いものを食べるよう心がけることも大事です。

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身近な生薬・サンシュユ(山茱萸)コブシ(辛夷)ヤドリギ(桑寄生)

2023-03-10 | 薬草・生薬
星降るようにサンシュユの花が咲いていました。
この実は生薬「山茱萸」。食べてもおいしい。
補肝腎、収渋作用を持ち、腎虚の基本処方六味丸の構成成分の一つです。
六味丸がベースの漢方薬には、八味地黄丸、杞菊地黄丸、麦味地黄丸、知柏地黄丸などがあり、体質によって使い分けます。


このところの陽気でコブシやモクレンもどんどん咲き始めました。

コブシ、ハクモクレン、シモクレン、タムシバの花蕾は生薬「辛夷(しんい)」
花類は概ね解表作用を持っているようです。辛夷は通鼻作用もあるので「鼻淵丸」に配合されています。

ヒレンジャクを見つけました。曇天の暗い日だったのでピンボケですが。
ここで注目すべきは、お尻からだらりと排泄されているのもの。ヤドリギの種です。

ヒレンジャクは好んでヤドリギの実を食べるのですが、この実はベトベトしていて、鳥の体から種が排泄されるときも粘って長々とぶら下がり、ヒレンジャクが止まったその枝にくっついて株を増やすのです。動植物の知恵はすごいですね。

で、人間も負けてはいません。ヤドリギの葉や茎は生薬「桑寄生(そうきせい)」
足腰の弱って痛む症状に用いる「独活寄生湯」に配合されています。
桑寄生には、去風湿、養血、強筋骨、補肝腎、安胎作用があります。

漢方とは、いつの間にか摩訶不思議なものというイメージになってしまいましたが、こうして身近な自然を利用した知恵の集積。日々の体調を身近なもので整える知恵。そんな毎日を積み重ねれば元気な体ができる。誰もが知っておきべき知恵だと思います。
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世界でもっとも寝ていない日本女性

2023-03-06 | 春の養生法
啓蟄初候・蟄虫戸を啓く(すごもりのむしとをひらく)
冬ごもりしていた虫が動き出すという啓蟄。
虫だけでなく、様々なものが春の陽気を感じて目覚め動き始めます。

これまでより少し早起きして、活動時間を延ばしましょう。
少々気分が落ち込んでも、とにかくカーテンを開けたり外へ出たりして、春の日差しを浴びることです。

ところで2,3日前のニュースデータで見かけたのですが、
世界で最も寝ていないのは日本女性なのだそうです。特に40~60代。
家族のために、早起きしたり遅く寝たりして家事の時間を捻出している結果らしいです。
中高年の男性諸氏、ぜひもっと家事を分担して女性にもう少し寝てもらってください。
例えば朝食は男性が早起きして作るとか。そうすれば、男性も朝から気分スッキリでき、女性は睡眠不足が解消して気持ちが安定し、穏やかな家庭になることでしょう。

春はみんなでのびのび過ごすことです。

お休み中のホシハジロ。カモは昼寝が得意みたい。
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耳鳴りが漢方で改善された

2023-03-03 | 老化・血流
耳鳴りはいくつかのタイプがありますが、年齢とともに現れる耳鳴りは老化現象でもあり、「年だからしかたないよ」と言われてしまうのですが、放置するとその後は難聴、つまり「耳が遠い」おじいさんやおばあさんになってしまうので、そうなる前にしっかり「補腎」したいものです。

50代後半男性。耳鳴りが気になって仕方がない。
すでにお手持ちの漢方薬(病院でこれまで耳鳴り対策で処方されたもの)も併用して使えるものがほしいというので、補腎も兼ねた「滋腎通耳湯」にしたが、残念ながら数か月たっても自覚症状はあまり変わらない。
「お手持ちの漢方薬」がやっとなくなってきたところで、処方変更。
滋腎通耳湯では補腎の力が足りないのかもと考えて杞菊地黄丸に変え、病院処方の活血薬も変えて3,4か月続けたところ、かなり耳鳴りが改善した。

いずれの漢方薬にも「耳鳴り」という効能はない。
漢方薬は「西洋医学的な病名」ではなく「体質(証)」によって選ぶものだが、現在、漢方薬に西洋医学的な効能効果が定められているのは、つらいところだ。
だが、「腎虚」による耳鳴りには杞菊地黄丸などの補腎剤は欠かせない。
今回の症例は、中医学の卓越した知恵を実感した。もちろん杞菊地黄丸は、かすみ目、疲れ目など目の症状にも頼りになる。

目も耳もよさそうな野鳥たち、コハクチョウ、マガモ
オオハクチョウ。体重は10kg前後あり、これが飛び立つときは迫力がある。
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