漢方薬剤師の日々・自然の恵みと共に

漢方家ファインエンドー薬局(千葉県)
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三分の治療、七分の養生

2022-10-28 | 漢方的話題
降圧薬って「飲み始めたらもう一生飲まなきゃいけないんでしょ?」とよく聞かれます。
また、漢方相談をしているときに「血圧はいかがですか?」と問うと「病院の薬を飲んでるから大丈夫」と返されることもしばしばです。

血圧が高いということは、動脈硬化が進んでいたり水分代謝が悪くて、絶えず心臓に負担がかかり、末梢血流も停滞している状況ということです。
つまり臓器全般、体全体が、血液から十分に栄養をもらい新陳代謝することが、危うい状態にあるのです。

なので、せめて降圧剤で圧だけでも下げて、血管が切れるという大事故を防ごうということです。つまり循環器系や臓器の状況が「治って健康になっている」のではなく、だから降圧剤は一生飲まなければならないという話になるのです。降圧剤飲んでいても全然大丈夫ではないのです。

もうお分かりかと思いますが、この話の中に抜け落ちているのは、養生して「治す」という意識ですね。
風邪だって薬が治すというよりは、温かくして栄養のあるものを食べて充分な休息で抵抗力をアップした体が治しているのです。高血圧ならもっと毎日養生を重ねて治そうと努めるべきですね。
それが、「三分の治療、七分の養生」の意味です。

・地球の時間に則った規則正しい生活
・旬の食材をよく噛んで美味しく食べる
・夜食べ過ぎない
・適度の運動とストレス解消の時間を持つ
・体調の変化は、自然のもので(例えば漢方薬で)早めに微調整しておく
オナガガモまだ換羽中。冬を日本で過ごすカモたちがどんどんやってくる頃です。


不正出血、月経過多の中医学的タイプ・復習

2022-10-24 | 生理・生理不順・生理痛
・生理の量が多い(たとえば夜間は夜用ナプキンを取り換えなければならない量)
・だらだらと7日以上続く
・生理でないときに出血がある
の状態について。

中医学的タイプを知ると、ふだんの養生も明らかになるので、安心できますね。

タイプ1陰虚
閉経に近づく年齢、体力消耗が激しい、痩せているなどの人に現れやすい。辛いもの味の濃いものを控え、睡眠を充分にとり、イライラしないよう気分転換をはかりましょう。

タイプ2脾気虚
疲れやすい、食が細い、心労がたまるなどで発生しやすい。
冷たいもの、生ものを食べ過ぎないようにし、よく噛んでゆっくり食べ胃腸への負担を減らしましょう。
だらだら過ごさずメリハリのある生活を心掛けてください。

タイプ3 陽虚・衝任虚寒
寒がりでエネルギーが足りず、生理時に風邪をひきやすかったり、生理の終わるころにめまいやだるさ耳鳴りが現れることも。
下半身を冷やさない服装を心掛けて下さい。
冷生食を避け、体温より温かい食べ物を食べましょう。

タイプ4瘀血
血流がよくない状態。特に30代以降はこの状態に陥りやすようです。
むやみにイライラしないよう心掛け、ストレッチや柔軟体操、ウォーキングなどの運動で筋肉を動かしましょう。

基礎体温表も作成してみてください。出血しやすい時期が明らかになるので対策しやすくなり、中医学的体質も基礎体温から読み取ることができるので、これを漢方養生で改善すれば回復力が高まります。
よくご相談ください。
子宮筋腫、子宮内膜症、ホルモンバランスの乱れなどが原因となっている場合があるので、念のため婦人科検診も受け、子宮の状況を把握しておきましょう。
潮が引いていく昨日の谷津干潟。青い風景は心が落ち着きますね。
カワウのV字飛行。規則正しい形は飛行に負担が少ない。

足がつる

2022-10-21 | 老化・血流
睡眠中に足がつるのは、汗をかいてミネラルバランスが崩れやすいのと、寝ているうちにふとんから出た足が冷えてしまうことが原因だそう。
さらに年齢とともに、筋肉量の減少、筋肉センサーの衰え、血行不良、冷え、潤い不足などが重なってより足がつりやすくなります。

日々の予防策
・入浴や足湯で体を温める
・ミネラルウォーターやスポーツドリンク(常温か温かいもの)を寝る前に1杯
・寝ながら足首を曲げたり伸ばしたりのストレッチ
・栄養バランスの良い食事で栄養補給、野菜もたっぷりと

寒い時期に限らず、足がつりやすい人は、筋肉が栄養不足をおこしており、中医学的体質は血虚陰虚と考えられ、さらに年中慢性的に足がつるという人は加えて血行不良(瘀血)なので、ほかの疾患や症状も改善しづらくなっていると思われます。

つまり足がつるのは、体調不良のシグナルなのです。
補血活血などの漢方対策で積極的に体質改善することをおすすめします。

印旛沼のダイサギ。鳥は足がつったりしないのかな?


悲しんだり思い悩んだりすると「気」を消耗する

2022-10-17 | 気持ち・眠り
日が短くなると気持ちが沈んで、ぐるぐる思い悩んだり、悲しくなったりしがちですが、
中医学の五行学説では、
「思い悩むと気は固まり、悲しみ過ぎると気が消える」
と言われます。

「気」は十分にあって穏やかに巡っていなければなりません。
気候に左右されず、時々体に気合を入れてください。

息を吐き出す深呼吸もおすすめです。腹筋に力を入れると体の芯がしっかりします。
それでも間に合わなければ漢方薬で補いましょう。
心脾顆粒、酸棗仁湯、麦味参顆粒、八仙丸など体質によっていろいろありますよ。

気持ちと「気」の関連について他には、
怒り過ぎると気が頭に上り、
喜び過ぎると気が緩み、
恐れおののくと気が下がり、
強い驚きは気が乱れる と言われます。

穏やかに過ごしたいものです。

昨日は、地元の探鳥会を楽しみました。自然の中にいると心が癒され充実もします。
ザクロの実をおいしそうに食べるヒヨドリです。


「気象病」は血流改善で

2022-10-12 | 老化・血流
「気候に体がついていかないわ~。」
やっと晴れたかと思えば、また暗い曇天ときどき小雨。蒸し暑かったり、うすら寒かったり・・・

体がこわばって、肩こりや頭痛、背中がバリバリ、耳鳴り、頭の圧迫感、血圧不安定など、様々な不快症状を心配されるお客様も多いこのごろです。

こんな症状を「気象病」と言ったりします。
寒暖差の激しい気象下では、血栓、心筋梗塞、脳出血など循環器系疾患が悪化しやすいと言われます。
血流改善を心がけることですね。

腕回し、肩回し、首回しでリラックス、柔軟体操、ウォーキング、散歩、できる範囲で体を動かしてください。
ゆっくりと湯舟につかって体の芯から温まるのもいいですね。

血流を改善する漢方薬などを早めに利用するのもおすすめ。体がスッキリしますよ。

また気象に左右されてしまうのは気虚体質でもあります。元気を養う基本の漢方養生もお忘れなく。よくご相談なさり体質にあった漢方薬で養生してください。

曇天でも元気な西印旛沼の若いオオタカです。キリッとしていますね。


食べ方変えて血糖コントロール

2022-10-05 | 老化・血流
糖尿病対策としてダイエットすることも多いのですが、食事回数や食べる順番によって逆効果になることもあるという結果を現したグラフです。
(DIプレミアム版300号より)

食事回数と血糖値の変化です。
規則正しく3食を食べると(赤線)一日の血糖値は安定しているのですが、回数を減らすと食後血糖値の上昇が激しくなり、インスリンをより消耗してしまうことになります。一日の摂取カロリーが少ないにもかかわらず、です。
また血糖値の変動が大きいと低血糖時はイライラしたり疲労感が出たりと体調がよくありませんね。

こちらは、食べる順番の違いによる血糖値の変化です。

肉や魚を先に食べるほうが血糖値の上昇が抑えられています。
また夕飯の時間が遅かったり、夜に間食をすると血糖値の高い時間が長引いてしまうので、早めに食事を済ましてしまうことも大切です。

つまり、1日3食を規則正しく食べ、夜食間食を控えれば、しっかり食べられてインスリンを消耗せず、血液のドロドロ(動脈硬化)解消も速いのです。


生薬、オケラ(朮)ほかにカシワバハグマ、ヤマハッカ、コノシロセンダングサなど

2022-10-03 | 薬草・生薬
里山の公園を歩いていたら、オケラ(朮)が咲いていました。

この根の周皮を除いた部分を白朮(ビャクジュツ)といい、生薬です。
健脾益気、燥湿利水、固表止汗、安胎などの作用を持ち、参苓白朮散、六君子湯、苓桂朮甘湯、玉屏風散など多くの漢方薬に配合されています。

いつもの通勤道(田んぼのそば)とはずいぶん違う秋の植物が咲いていました。

ヤマハッカ
カシワバハグマ


コウホネ

コシロノセンダングサかな?白い舌状花が5枚そろっています

メスグロヒョウモンという大振りの蝶


池にはカモがやってきています。これはハシビロガモの♀。
手前の個体は小さいので幼鳥でしょうか。

小さな畑に育っていた燃えるように赤い植物、なんでしょう?

通勤道の草花たち、その2

2022-10-01 | 植物&動物
朝の通勤道に咲く花たちその2です。
ヒヨドリつながりでヒヨドリバナとヒヨドリジョウゴ


秋になるとハルジオンがないので、わかりやすいヒメジョオンです。
ヒメジョオンのほうがハルジオンより菊っぽいですね

ヒナタイノコヅチ

アメリカセンダングサかと思うのですが。
こちらはただのセンダングサでいいのかな?


蔓延るカナムグラの雄花と雌花

こちらもはびこる
アレチウリ。これも雌雄があったはず。

アキカラマツは先始め

イヌホオズキは奥の方にまあるい実がついています

この根で染めると茜色になるというアカネ。