漢方薬剤師の日々・自然の恵みと共に

漢方家ファインエンドー薬局(千葉県)
http://kampo.no.coocan.jp/

頭痛と目のかすみを漢方薬で

2009-08-29 | 老化・血流
目の乾燥、かすみ、やや眼圧が高いという60代女性。
漢方薬を飲むのは初めて、という方です。

週1,2回は運動でたっぷり汗をかくけれど、
その後に必ずといっていいほどひどい頭痛を起こすそう。
たまにめまいやふらつきあり。
体格はがっちりしているように見えますが、顔が赤らみやすく、
舌はやや渇き気味で舌苔がうすい状態でした。

杞菊地黄丸蝋丸を服用して1カ月。
「まだはっきりわからないけど、もう少し続けてみようかしら」
「あの(杞菊地黄丸)味にやっと馴染んできたみたい」
(蝋丸とは、蝋をで密封された直径2.5cmの、生薬を蜂蜜で練り固めた黒い玉。
 それを少しずつちぎって食べる)

杞菊地黄丸服用さらに1カ月
「なかなか、目がぱっとスッキリってわけにはいかないわね~」
それでも、
顔色の赤らみがとれて以前よりすっきりした表情です。
「運動の後の頭痛はどうですか?」
しばし、思い出しているような表情で、
「そういえばこの1か月、頭痛してないですねえ」

少しずつ効果が現れてきているようです。
悩みもひとつ消えてました。よかった


杞菊地黄丸(こぎくじおうがん)」は「肝腎陰虚」を補う漢方薬です。
陰虚(潤い不足)体質の場合、汗をかきすぎると陰虚が助長され
不快症状が発症しやすくなります。
杞菊地黄丸などでしっかりこれを補えば、汗をかいても快適に過ごせるようになります。
また、
「杞菊地黄丸」は「枸杞(クコ)の実」や「菊の花」が配合されているので
頭部の症状が改善されやすいようです。
最近では、パソコンなどで目を長時間酷使して、めまいや頭痛、慢性疲労に
陥ってしまう方にも好評です。

漢方の空間ファインエンドー薬局

頭痛持ちの養生と漢方薬   ぼーっとする、頭痛

一昨日グリムスクイズの答えをブログに書いたらやってきてくれた動物。
ハムスター??

グリムス・大人の木に成長2本目

2009-08-27 | 植物&動物
じっくり7カ月ほどかかりましたが、
グリムスの木が、本日2本目、大人の木に成長しました。
この木が世界のどこかに植林されるはずです。

さて、グリムスキーワードのクイズ
「Food Chain」って何のこと。

答えは「食物連鎖」。

その頂点にいるのが人間だ、ってその言葉を考えた人間が言ってるんですけど、
人間も自然の一部。
食物連鎖の中のひとつにすぎないんじゃないかなあ。
もっと大きな宇宙的食物連鎖が存在してるような気がします。
エゴでなくエコ、深く考えて行動したいものです。

ガガイモ・ケサランパサラン?

2009-08-26 | 植物&動物
先日の記事の名前がわからなかった植物は「ガガイモ」のようです。
この茎を折ると乳液がでて、イボにつけるといいそうです。



ところで「ケサランパサラン」て覚えてるかなあ。
(化粧品の名前じゃなくて)
話題になったのは、ずいぶん昔ですが・・・

秋も終盤になる頃、光り輝く綿毛がどこからともなくフワフワ飛んできて、
「きっと、ケサランパサランだー」とか言って騒いだことが・・・

「ガガイモ」は秋に細長い実(10cmくらいだそう)がついて乾燥してはじけると
中からケサランパサランみたいなフワフワが飛び出すそうです。

ガガイモの種子(ほのぼのノリかめ日記さんより)

「ガガイモ」は「カガミ」が古名で、「蘿摩(ラマ)」との呼び名もある。
日本書紀の大国主神のくだりに「白斂の皮をもって船となす」とあるのは
ガガイモの果実の皮をさし、果実が半分に裂けた状態が舟形になっている
ところを示していて、その中の種子についた綿毛が鏡のように光っていたので、
「カガミ」と呼ばれたとか。(薬草カラー図鑑より)

おとぎの国の小舟、ってわけ。
ロマンチック、です。

カヤツリグサと秋

2009-08-24 | 植物&動物
どうやって蚊帳を吊るのか、
いまだに名前の由来に納得がいかない「カヤツリグサ」のこの成長ぶり。

お盆明けから1週間なぜか、無駄口をたたく暇もないほど忙しくて、
やっと日曜日に散歩をしたら、やけに秋めいた雰囲気。


稲穂が頭をたれていた。もううっすら黄金色。



ジュズダマ(数珠玉)。
子供のころはこれに針で糸を通してネックレスをつくりました。
意外に堅い実でね。
針でぐさっと指をさしちゃったっけ。



どうやら、日差しの色が真夏とは違っているようです。



暑さを避けて座ったベンチもずいぶん涼し気。


名前不明の花発見。
一瞬、なつかしいと思ったのだけど、名前が出てこず取り調べ中。
つる性です。わかる方教えてね。

さてさて、とうとう新型インフルエンザ流行中。
心配です。
熱帯型なのかなあ。
傾向が分からないのがとっても不安。
とにかく、のどから侵入するので、うがいはしっかり。
のど粘膜が乾きやすい人は、ナシなどの秋の果物には潤す働きがあるのでデザートに取り入れましょう。

梨とかぼちゃのサラダ

アトピー化粧品ってなに

2009-08-20 | 肌トラブル・アトピー・美容
昨日8/19の朝日新聞夕刊の記事から、いやだなーと思った話題です。

大きな見出しで《アトピー化粧品と偽る》
とあるので、そんな呼び名の化粧品があるのか?と
胸騒ぎを覚えながら記事を読んだら、

記事内容の冒頭から、
「アトピー性皮膚炎に効く化粧品と偽り、医薬品成分のステロイドを含む商品・・・」

化粧品は法律上医薬品ではないので、
「効く」とか「効能」をうたったりすること自体が違反なのだけど
(日常のはなしの中では「きく」という言い方をすることはあるかもしれないけど、たとえば利用者が「これがきいた」とか「これでなおった」とか)

この記事は、薬事法に違反する《偽り》行為を事件にしてるのはわかるけど
「アトピー化粧品」とか「アトピーに効く化粧品」という言葉そのものが
違反だということに、新聞記者はまったく意識がないようです。
法律違反の事件を扱う記事なのに、
新聞が堂々と違反言葉をつづっているのに唖然としてしまいました。


それにしても「輸入品なので成分が分からなかった」まま販売してしまうおそろしさ。

含有されていたステロイドは、強さ分類のうちで一番強い部類に属し、
そりゃー、塗れば赤みは引くだろうなと思う。
そして、そんな内容を知らずにちょっと塗って赤みがなくなれば、
「この化粧品きく!」「これで治った」と言っちゃうよね。

ステロイドは医薬品として治療上頻繁に使われるもので
けして悪いものではないけれど、それなりの副作用もあるので、
そのことを使用者も十分理解しておく必要があります。
それでもステロイドの即効的な抗炎症作用に頼って、
なかなかやめられなくなる人も多いくらいだから、
そんなに効く成分を説明なしにじゃんじゃんぬるのは恐ろしいことです。

私たち薬局などの医療機関は法律的にかなり厳しく縛られているので、
販売する商品についてはそのプライドをかけて、
ずいぶん神経質に慎重に選んでいますが、
一般の化粧品についてもそんな意識を欠かしたくないですね。

そうでなきゃ、
一生懸命、アトピーで悩む人々のためにいいスキンケア化粧品を作ろうと努力している人たちに申し訳ないし、
なにせ、末端消費者には調べようがない部分なのですから。

佐藤多佳子「一瞬の風になれ」覚書・陸上競技に浸る青春

2009-08-13 | 
やっと文庫本になり、購入してみた3部作。

1部:イチニツイテ
子供の本かあ?高校陸上部の部活のはなしだ。
おばさんの日常にはちょっと馴染まず失敗したかも
ま、買ってしまったものは読むしかない・・・

2部:ヨウイ
ルックス良く運動神経抜群、順風満帆のサッカー選手お兄ちゃんが交通事故。
これって前に読んだ本「さくら」とすごくストーリーが似ててやや興ざめ。
と不満を感じながらも、気持ちはかなり部活に打ち込む高校生たちの中に入り込んでる。
読書がだんだん止まらなくなる。

3部:ドン
あちゃー、すっかり陸上部の高校生になりきってる。
走るようにはまったくできていない、しかも50代の私が、
物語の中で100mを一歩一歩地面を蹴って確実に前へ体重移動して疾走している。
自分が風を起こすという走りはなんと10秒台!
そして4継(100m×4リレー)では、
《連》が風のようにほかの選手を追い越すのを見て、
「れ~ん!イケーッ!」と叫んでいる「モモッチ、いいぞー!」
なんちゅーこっちゃ。
物語の中でアタイは体も思考もすっかり10代だあ

「ああ、走りて~」・・・しゃべり方も高校生になっちまった

深夜まで止まらず読みふける。ひたすら走ってる。ひたすら体力を絞り出してる。
ただし
翌朝起きたら腰が痛かったのは単に歳のせいだ
無理やり現実に引き戻されて、残念

陸上競技に四六時中浸る青春
もう無理だと思う人も、もう関係ないと思う人も、
この本の中ならできてしまう気持ちの良い作品。

佐藤 多佳子 1962年11月 東京都出身

瀬尾まいこ「卵の緒」覚書・しみるなあ

2009-08-12 | 
「卵の緒」と「7's blood」の2作が入ってます。

「卵の緒」をステップにして「7's blood」に読み進むと《やられたー》って感じでした。
感動したような悲しいようなで涙が出てしまいました。

「7's blood」は2004年にドラマ化(NHK「七子と七生~姉と弟になれる日~」)され
たしか見た覚えがあるのですが、
おさない二人(七子高校生、七生11歳)の会話に含まれる
深い心情を、その時はちっともつかめていなかったようです。


子供って大人に依存してしか生きていけない存在。

だから両親に問題があって(幼い子にとってはまず両親だ)安心して生活できないと、
大人に捨てられないようにとやたら利口になるようで(11歳の七生)、
それを七子(高校生)に
「子供らしくない」と責められると、
「それじゃだめなの?」と真剣に反論する七生には、切ない気持ちになる。
「子供にとって死活問題」なんて、ませた言葉を使われると、読んでいて泣きそうになる。

子供っておそろしいほど鋭敏に大人を見て
めまぐるしく頭を使って行動を起こしてるようです。
自分にとって必要な大人には最大限の注意を払っているらしいです。
それはまさに防衛本能なんだろうけど、そこまでさせたくないなあって思う。

そしてそんな子供の発想は、子供の中では大正解なのに、
大人にとって衝撃的だったりする。

一生懸命毎日を育った幼いころの想いを忘れないようにしたいし、
子供を守ってやらなきゃって、大人としての愛情も自覚させられた作品。


瀬尾まいこ 1974年 大阪府生まれ 若いからこそ書けた作品だと思います。

HACHI 約束の犬(映画)吹替えだけってなぜ・・・

2009-08-11 | 映画
「忠犬ハチ公」のアメリカリメイクですよ。
監督がラッセ・ハルストレムじゃなかったら絶対見に行かないと思う。
動物をだしに使って無理やり泣かされるのは悔しいしね。

ラッセ・ハルストレムは「ギルバート・グレイプ」
「サイダーハウス・ルール」「ショコラ」の監督。
「ギルバート・グレイブ」はあのレオナルド・ディカプリオが
注目を浴びた作品で、その時のレオの演技と言ったらもう最高でした。
相手はジョニー・デップやジュリエット・ルイスでがっちり青春してましたし。

      

「吹替え」だけってなぜかなあ。
特にジョーン・アレン。
彼女は、ちょっとした間とか冷たそうな言い方でも奥深い、
そんな、独特の雰囲気で伝わってくるものがあるはずなのに、
吹替えでつぶされてるような気がしたのは私だけかなあ。

突然夫に死なれてすぐさま住み慣れた家を離れた
妻の深い悲しみなんかうまく演技してたと思うけど、
どうしても吹替えの声が耳に障って雰囲気が壊されてしまう。

それにしても、HACHIの目線とか視界を取り入れて
徹底したHACHI中心の映画に仕上げてましたね。

なぜ懲りずに何年も御主人さまを待っていたかなんて
理屈をこじつけるのもおこがましいくらい、HACHIは
素直に御主人を愛して待ってた。
そのままで、なんだかすごいことだって思わせてくれる。
悔しいけど、やっぱり泣いちゃいました。

★★★☆ 

監督:ラッセ・ハルストレム
出演:リチャード・ギア  ジョーン・アレン  サラ・ローマー  ケイリー=ヒロユキ・タガワ  ジェイソン・アレクサンダー

梅雨時から夏におなかを壊しやすいを漢方薬で

2009-08-08 | 胃腸
いつも《もっと太りたい、痩せぽちでやだわ~~》と嘆いている60代女性。
太れない原因は、胃腸が弱いことにあるようです。

「毎年この時期は便がゆるくなっちゃって、体力落ちちゃう」
「も~また痩せちゃうわ~、どうしてみんないつも元気なのかしら、やんなっちゃうわ~」

胃腸の力を高め元気をつける処方「健脾散(参苓白朮散)」を毎日しっかり服用していただき、
おなかが冷えて急に下痢がひどくなったりしたら「勝湿顆粒(かつ香正気散)」に入れ替えて2,3服するように対策しました。



約半月後、
「この間の漢方薬、いいのよ~」
「だけどたまにちょっとおなかがゆるくなっちゃうから、今日は勝湿顆粒を少し補充しとこうと思って」
前回は勝湿顆粒は3日分しか処方しなかったな)

「今年の夏は一段と湿気が多くて、胃腸の弱い方にはよくないですね」

「まったくね~、ほかの人はみんな元気そうでうらやましいわ~」
「でもね、私、この年齢で健康診断は全部OKなの。」
「それってやっぱ、どこかおかしいのかしら? やんなっちゃうわ~」

やんなっちゃうわ~~はこの女性の口癖のようですが、
漢方養生を重ねてもっと元気になれば、そんな悲観的な思考も改善されるかな~

人は毎日食べることと呼吸することで体を養っています。
だから胃腸が弱い体質の場合、それを《しばらく休ませる》というわけにはいかないので《胃腸を元気にする》対策は結構年月がかかるのは、確か。
だけど養生を重ねてだんだん丈夫になってくれば、心身ともに余裕が生まれていろんな病気の予防にもなるし思考だってアクティブになると思います。
コツコツ続けてほしいな。

漢方の空間ファインエンドー薬局   夏の下痢

生理不順と不正出血を漢方薬で対策

2009-08-01 | 子宝・妊娠体質つくり
40歳女性
若いころから生理周期が不規則。生理出血はだらだらと長く続くタイプ。
第2子妊娠を希望して婦人科のホルモン治療をしばらく受けたものの、
そのうちだんだんホルモン剤に対する反応が悪くなり、昨年秋くらいから、
基礎体温は二層に分れなくなり、不正出血がしばしばおこるという状態。



しばらくホルモン治療を休んで、「漢方周期調節法」をやってみたいと来局されたのですが、
漢方薬の服用を始めたころからまた不正出血が始まったので、
気血を補う対策で対応。(帰脾錠プラス婦宝当帰膠)

なかなか出血が止まらず、しかも次第に出血量が増えてきた。
だけど、

「それが・・・・」
「出血したほうが下腹部の重苦しい張りや肩こりが楽になるので、
もしかしたらこれでいいのかも、って思うんですけど」

結構心配性の彼女が、そうのんびり話すのだから間違いはないのかも。

漢方薬を服用していると、不要なものを排泄する力が高まる場合もあります。
その場合、排泄することによって、これまでの不快症状はかえって改善されることが多いものです。
彼女の場合おそらく、
これまで、周期のリセットがきちんと行われずにきたので
不要な子宮内膜が子宮内に残っていたのではないかと思われます。

その後しだいに出血量は減ってきたものの、
1か月あまり続いていたので、一応婦人科でホルモン剤を処方してもらい
周期のリセットを図りました。

その間にも、あえて活血剤(桂枝茯苓丸)をプラスし、生理後からは炒麦芽をスタート。

その後はばっちり。
自力で基礎体温が二層に分かれ、しっかり2周期を刻みました。
これまでは
「ホルモン剤がないと私生理来ません」
といっていたのに、とてもうれしそう。

やっと今周期から「漢方生理周期調節法」に入れそうです。
早く妊娠に至ればいいなあ。

漢方の空間ファインエンドー薬局   不妊症と漢方薬