今回は福岡ソフトバンク・ホークスのミランダ投手。キューバ出身である。横浜DeNAベイスターズの中南米出身選手はベネズエラ人が多かったが、ソフトバンクはデスパイネ、グラシアル、モイネロ選手など、ほとんどキューバ出身者である。ただ一人スアレス投手がベネズエラ出身である。
さて、ウィキペディア「アリエル・ミランダ」によると、フルネームは「アリエル・ミランダ・ギル」(Ariel Miranda Gil)とある。
“Ariel”が個人名、“Miranda”が父の父姓、“Gil”が母の父姓である。
まずは、個人名の“Ariel”から。検索サイトに「アリエル」と入力すると、まず出てくるのは「リトル・マーメイド」の人魚姫「アリエル」である。
人魚姫「アリエル」は英語では“Ariel”である。“Ariel”というタイトルのSF小説もあるようだ。洗剤に「アリエール」というのがあるので、これも調べてみたら、これはアメリカのP&G社の製品で、“Ariel”とつづることがわかった(ウィキペディア「アリエール(洗剤)」参照」。
「英辞郎on the WEB」には“ariel”には「アラビアガゼル」という意味もあることがわかった。
【アラビアガゼル】
“fregata ariel”は鳥の名前で「コグンカンドリ(小軍艦鳥)」と訳される。
【コグンカンドリ】
天王星の第一衛星の名前も“Ariel”である。
イスラエルの首相も務めたシャロンの個人名も“Ariel”である。
【アリエル・シャロン】
さらに調べていくと、“weblio 英和辞典”には、研究社 新英和中辞典の“Ariel”の項が紹介されていることがわかった。
発音はカタカナ表記では「エーリエル」。《空気の精; Shakespeare の「あらし」に出てくる》とのこと。
「あらし」と訳されているが、原題は“Tempest”である。早速、ウィキペディア「テンペスト(シェイクスピア)」を調べてみる。
ナポリ王アロンゾー、ミラノ大公アントーニオなどのイタリア名前の登場人物が多い。エアリエルは妖精で、女性のようである。
【プロスペローとエアリエル(画)ウィリアム・ハミルトン】
天王星の第一衛星の“Ariel”はシェークスピアの「あらし」に登場する空気の精“Ariel”に由来するものではなかろうか。
ところで、天使の名前には語尾に“-el”(「神」の意)がつくものが多い。ウィキペディア「天使の一覧」を調べてみたが、「アリエル」は見つからなかった。ありそうな気がしたのだが。「アリエル」に一番近いのは「ミカエル」、「ガブリエル」、「ラファエル」と並ぶ四大天使の一人「ウリエル」(Uriel)だった。
“Ariel”という名前は「Reichsarchiv~世界帝王事典~」にも掲載されていない。いったいどこからミランダ投手の個人名として“Ariel”が選ばれたのであろうか。
「リトル・マーメイド」が公開されたのは1989年11月。ミランダ投手は1989年1月生まれなので、「リトル・マーメイド」から“Ariel”の名をいただいたということはありえない。まさか、洗剤の名前から取ったとも考えにくい。
四大天使のうちの3人、「ミカエル」、「ガブリエル」、「ラファエル」はスペイン語では“Miguel”、“Gabriel”、“Rafael”になり、一般的な男子名になっている。しかしながら、「ウリエル」(Uriel)は聞いたことがない。「Reichsarchiv~世界帝王事典~」にも掲載されていない。ひょっとして、“Ariel”は“Uriel”から作られたのだろうか。それとも、親が天使の名前をつけるつもりが、間違って覚えていたのだろうか。
はたまた、親がインテリで、シェークスピアのファンだったのだろうか。
アラビアガゼルはキューバ人にはあまり縁がなさそうだし、ましてやイスラエルのタカ派政治家と言われたシャロン元首相の個人名にちなむものとも考えにくい。「コグンカンドリ」がキューバ人にもなじみのあるものだったら、この線が有力かもしれない。とにかく、最近のキューバ人の個人名には新奇なものが多い。
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“Ariel”が個人名、“Miranda”が父の父姓、“Gil”が母の父姓である。
まずは、個人名の“Ariel”から。検索サイトに「アリエル」と入力すると、まず出てくるのは「リトル・マーメイド」の人魚姫「アリエル」である。
人魚姫「アリエル」は英語では“Ariel”である。“Ariel”というタイトルのSF小説もあるようだ。洗剤に「アリエール」というのがあるので、これも調べてみたら、これはアメリカのP&G社の製品で、“Ariel”とつづることがわかった(ウィキペディア「アリエール(洗剤)」参照」。
「英辞郎on the WEB」には“ariel”には「アラビアガゼル」という意味もあることがわかった。
【アラビアガゼル】
“fregata ariel”は鳥の名前で「コグンカンドリ(小軍艦鳥)」と訳される。
【コグンカンドリ】
天王星の第一衛星の名前も“Ariel”である。
イスラエルの首相も務めたシャロンの個人名も“Ariel”である。
【アリエル・シャロン】
さらに調べていくと、“weblio 英和辞典”には、研究社 新英和中辞典の“Ariel”の項が紹介されていることがわかった。
発音はカタカナ表記では「エーリエル」。《空気の精; Shakespeare の「あらし」に出てくる》とのこと。
「あらし」と訳されているが、原題は“Tempest”である。早速、ウィキペディア「テンペスト(シェイクスピア)」を調べてみる。
ナポリ王アロンゾー、ミラノ大公アントーニオなどのイタリア名前の登場人物が多い。エアリエルは妖精で、女性のようである。
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天王星の第一衛星の“Ariel”はシェークスピアの「あらし」に登場する空気の精“Ariel”に由来するものではなかろうか。
ところで、天使の名前には語尾に“-el”(「神」の意)がつくものが多い。ウィキペディア「天使の一覧」を調べてみたが、「アリエル」は見つからなかった。ありそうな気がしたのだが。「アリエル」に一番近いのは「ミカエル」、「ガブリエル」、「ラファエル」と並ぶ四大天使の一人「ウリエル」(Uriel)だった。
“Ariel”という名前は「Reichsarchiv~世界帝王事典~」にも掲載されていない。いったいどこからミランダ投手の個人名として“Ariel”が選ばれたのであろうか。
「リトル・マーメイド」が公開されたのは1989年11月。ミランダ投手は1989年1月生まれなので、「リトル・マーメイド」から“Ariel”の名をいただいたということはありえない。まさか、洗剤の名前から取ったとも考えにくい。
四大天使のうちの3人、「ミカエル」、「ガブリエル」、「ラファエル」はスペイン語では“Miguel”、“Gabriel”、“Rafael”になり、一般的な男子名になっている。しかしながら、「ウリエル」(Uriel)は聞いたことがない。「Reichsarchiv~世界帝王事典~」にも掲載されていない。ひょっとして、“Ariel”は“Uriel”から作られたのだろうか。それとも、親が天使の名前をつけるつもりが、間違って覚えていたのだろうか。
はたまた、親がインテリで、シェークスピアのファンだったのだろうか。
アラビアガゼルはキューバ人にはあまり縁がなさそうだし、ましてやイスラエルのタカ派政治家と言われたシャロン元首相の個人名にちなむものとも考えにくい。「コグンカンドリ」がキューバ人にもなじみのあるものだったら、この線が有力かもしれない。とにかく、最近のキューバ人の個人名には新奇なものが多い。
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