ある時、阿難尊者は恐る恐る摩訶迦葉尊者に尋ねられたのです。
「私は長い間、おシャカ様からあなた様に”法”が伝えられたことを
よく知って居ります。しかも、その証拠として授けれられたものを
私は手に取るようにして、貴方様に渡しましたから、それもよく
わかっておりますけれども、どうもそれだけのものではないように
思えて仕方ありません。そういうものがあるのでしょうか」
ということを、摩訶迦葉尊者にお尋ねになったのです。
阿難尊者は自分の知らない間に何か「密語(みつご)」という、
そのほかに密かにおシャカ様から摩訶迦葉尊者に何かお授けに
なったのではないか、というような疑ってはならないことを
疑われたのです。
これを「疑煩悩(ぎぼんのう)」といいます。