現代児童文学

国内外の現代児童文学史や現代児童文学論についての考察や論文及び作品論や創作や参考文献を、できれば毎日記載します。

内田百閒「千丁の柳」ノラや所収

2017-02-03 08:24:26 | 参考文献
 ノラがいなくなって憔悴している老先生の気晴らしに、編集者が取材旅行(名所をまわって、有名な旅館や料亭で宴席を囲むだけですが)を企画してくれます。
 旅行が二か月先で、それまでにノラが返ってくると思って、老先生は引き受けますが、あにはからんやノラは出発日までに帰ってきません。
 全体的には、老先生得意の紀行文(阿房列車シリーズが有名)なのですが、時々ノラを思い出して泣き出してしまい、いつものユーモアはかげをひそめています。
 旅行(特に海外)が容易でなかったころには、児童文学でも紀行文的作品がよく出版されましたが、世界中へ簡単に行けて、テレビやインターネットで容易に海外や地方の風物の情報が手に入る現代では、このジャンルは衰退しています。

 
ノラや (中公文庫)
クリエーター情報なし
中央公論新社

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