現代児童文学

国内外の現代児童文学史や現代児童文学論についての考察や論文及び作品論や創作や参考文献を、できれば毎日記載します。

小原秀雄「猛獣もし戦わば」

2024-04-29 09:18:16 | テレビドラマ

 [地上最強の動物は?」という副題を持つこの本を初めて読んだのは、この本が出版された中学三年生のときでした。
 小学生のころの「大きくなっったら動物園の園長になる」という夢は、その後プロ野球選手やサッカー日本代表などになる夢に取って代わられたものの、動物好きは当時も変わりませんでした。
 今だったら動物愛護協会に怒られそうなテーマですが、その頃の男の子の関心をそそったのでしょう。
 しかも、作者は私と同様にサッカーファンだったようで、目次には「猛獣ワールドカップ」なる表記もあります。
 この本が出た1970年には、ワールドカップと言えばサッカーしかなく、1968年のメキシコオリンピックで、杉山、釜本のゴールデンコンビ(先に杉山を書くのが通です)を擁し、名指導者クラマーコーチの薫陶を受けた日本チームが銅メダルを獲得する快挙で、日本は第一次サッカーブームだったのです。
 話は脱線しますが、この1970年のサッカー・ワールドカップで、ペレを擁するブラジルチームが史上初の三度目の優勝をはたして、ジュール・リメ杯(ワールドカップを創設した時のFIFAの会長にちなんだ優勝カップ)の永久保持(それまでは持ち回りでした)が許されたのでした。
 ブラジルには、ペレ以外にも、リベリーノ、ジャイルジーニョ、トスタンなどの名手がいましたし、それ以外の国にも、ウベ・ゼーラー、ゲルト・ミューラー、ベッケンバウアー(以上西ドイツ)、ボビー・チャールトン(イングランド)、リーバ、リベラ(以上イタリア)などの綺羅星のようなスーパースターたちがいました。
 この本の目次を見ると、そうしたサッカー界のスターたちにも劣らない猛獣界のスーパースターたちの対戦が並んでいます。
対決1: ライオン対トラ
対決2: ライオン対ヒョウ
対決3: トラ対ヒョウ
対決4: チーター対ライオン
対決5: ヒグマ対トラ
対決6: ゴリラ対ヒョウ
対決7: ジャガー対ピューマ
対決8: ワニ対大蛇
対決9: ワニ対サイ
対決10:ホッキョクグマ対セイウチ
対決11:シャチ対マッコウクジラ
対決12:ドール対トラ
対決13:ハイエナ対ライオン
対決14:イノシシ対トラ
対決15:オオカミ対ハイイログマ
対決16:ペッカリー対ジャガー
対決17:ライオン対サイ
対決18:スイギュウ対トラ
対決19:アフリカスイギュウ対ライオン
対決20:カバ対ライオン
対決21:カバ対クロサイ
対決22:ゾウ対サイ
対決23:ゾウ対ライオン・トラ
 それぞれの内容は、少年漫画雑誌に載っているようなキワモノではなく、当時の猛獣に関する日本の第一人者である作者が、動物学的な目撃情報から判定している正当なもの(目撃情報の少ない対戦には若干怪しげな情報も含まれていますが)で、その他のコラムも含めて猛獣ファン(そんなのがいるとしたら)にはたまらないものばかりです。
 そして栄えある猛獣チャンピオンの座は、ライオンとトラが分け合い、アフリカゾウは別格として、さらに海中の王者シャチとマッコウクジラは対象外としている、至極まっとうな(ライオン派にもトラ派にも、アフリカゾウ・ファンにも顔が立つような)結論でした。



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