太宰治「津軽」を終日かけて読み切った・・・

2017-05-09 20:59:46 | 日記
朝の行動ルーティンを実行後、太宰治「津軽」の読書に集中した。これまで読んだ「人間失格」「斜陽」などの太宰作品は登場人物の境遇や心情において、救われない・やりきれない思いを抱かせるものが多く、太宰の実体験に基づいて書かれているのだと考えて太宰の人柄も内気で暗い性格だろうと思っていた。が、「津軽」では憂鬱さを感じさせる出来事はなく、出会う人々との交流は清涼感すら覚える明るいもの、まるで落語のシーンのような諧謔さも感じた。太宰が内心で、自分が失態を見せたり、人から拒絶されたりするのではないかと身構える場面がいくつかあったが、彼をとりまく津軽の人々はまったく気にせず、常に快く太宰を迎えた。特に、最後にたけに出会えたところでは平穏を感じた太宰がいる。素のままの自分でいることが出来た旅であったことが「津軽」が明るい雰囲気の作品になった理由なのかもしれない。数ある太宰治の作品の中で一作だけ選ぶとすればそれはまさに「津軽」ではないかと、それほどにこの小説は高い評価を受けていると聞く。彼の後日の行動(玉川上水での入水自殺)から考えると、「津軽」の最後の一文が印象深い「さらば読者よ。命あらばまた他日。元気で行こう。絶望するな」。きょうは終日、太宰と付き合った。きょうの楽しかったことは、○「津軽」を終日かけて読み切ったこと、○太宰治へのイメージがかなり変わったこと、○ランチは三田屋の牛どん、ウマかったことだ。(12,360歩)