種子より育てた 白菜の苗が
虫に食われて 穴があき
その上厳しい残暑に 萎れてへたり込む
最早 ものにならないのではないか
いっそのこと 処分してしまおうか
そんな思いが 心をよぎる
それでもあきらめきれずに 毎日水をやる
すると苗は 少しずつ息を吹き返し
緑が 濃くなってきた
そうして 秋の寒さが身に染みる頃には
立派に 白菜の形になってきた
人智を超えた生命の 大いなる秘められた力
そういうものに対して
人はもっと 謙虚であるべきではないか
素直に そう思ったことであった
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記憶の底深く埋もれた
数々の苦い思い出が
寒さが身に染みる頃になると
頭をもたげ 我が心を責め苛む
すべて終わったはずの燃えかすが
灰になることなく 燻ぶっている
それが我が心を 責め苛む
どんなに笑って過ごしたところで
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