閉ざされた

　　閉ざされた　心が

　　狭い己の中に　詩を書けば

　　狭い世界の　詩ができる

　　小さな　波紋となって


　　開かれた　心が

　　広い自然の中に　詩を書けば

　　広い世界の　詩ができる

　　大きな　波紋となって

　　そして世界に　広がっていく


　　～～～

徳沢にて

　　山ふところに　テントを張る

　　母なる大地に　抱かれて

　　大地に　耳を押しあてれば

　　遥か　地の底から

　　太古の声が　聞こえてくる

　　父なる　沈黙の声が


　　～～～

人もまた

　　トラクターで　山の畑を耕す

　　朝になれば　畑の中に　鹿の足跡が　点々とつづいている

　　人が寝静まった　深夜　動物たちは　活動しているのだ

　　人が自然の中に設けた　境界も何も　関係なく

　　すべての命が　母なる自然の中に　生きている

　　人もまた　同じように　

　　例外であるはずもなく


　　～～～

　　　

心なくして

　　頭ばかり良くても　仕方がない

　　心なくして

　　頭によって　すべて　わかったつもりになっている

　　人生を　世界を

　　心臓の鼓動ほどの　確かさもなく

　　己の愚かさを　知ることもなく

　　魂の　成長することもなく


　　～～～

人は

　　人は　光を求めて　生きている

　　そのために　こうして　生きている

　　心ある　限り

　　命ある　限り

　　そして　人間である　限り


　　～～～