幾人もの 著名な日本の作家が 自ら命を絶つ
人間の業の深さに 行き詰まり 悩み苦しみ 疲れ果て
そんな 彼等の小説を 我々は愛読する
言わば 人生に挫折した者の小説を
我々は 小説に何を求めているのだろう
老いて猶 創作意欲の衰えぬ作家は 稀有に違いない
人生は 一篇の小説で 足りるはずもないのに
それが画家であれば
たとえば北斎は 老いて猶 絵を描くことに没頭した
死ぬまで 創作意欲の衰えることなく
作家と画家の違いは何だろう
それは 心の働き方にあるのではないか
己の内に真理を求める心と 己の外に真理を求める心
己の内に真理を求め 心の深くに潜行すればするほど
闇は深まり 心は閉ざされ やがて身動きができなくなる
しかし己の外に真理を求め 外界に目を向ければ
そこには 光があふれ 命の喜びがあふれている
どんなに 己の内に真理を求めても そこには 不完全な心があるばかり
人は 神のように完全であることなど できるはずがない
この世に生きる人間とは 本来 そういうものなのだ
そう悟り 外に向かって 心を開く
そこには 光あふれる世界が 広がっている
そこで 心を正せばいい
太陽の光に 心を天日干しにして
それが この世に生きる人間の 健全な生き方であり
生きる知恵であると 私は思う
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