玉川上水の辺りでハナミズキと共に

春は花 夏ほととぎす 秋は月 冬雪さえてすずしかりけり (道元)

*日本の若者たち

2021年01月28日 | 捨て猫の独り言

 昨年11月の新聞切り抜きを読んでいる。見出しは『若者ほど「内閣支持」』で、毎日新聞が行なった世論調査を世代別に分析した記事だ。内閣支持率は若い世代ほど高く、日本学術会議の会員候補の任命拒否は「問題とは思わない」との回答が若年層ほど高かった。米大統領選では、若者ほどトランプ大統領が当選した方が日本にとって好ましいと答えた。

 関東学院大学教授(72)=社会学=は「意識調査をすれば、若い世代は日本社会の将来について明るい見通しをもっていない人が多数派だ。それでも若者が現状維持志向なのは「これ以上ひどくならないようにとの思いからだ」と語る。若い世代は「ルール」や「秩序」を重視する傾向があるという。今の生活がより悪くならないよう、守ってくれるのが「ルール」や「秩序」だという発想だ。(武蔵美卒・山本大貴作品集より)

 

 インスタグラムを通して「NO YOUTH NO JAPAN」という団体が若者に社会や政治への参加を呼び掛けていることを記事は紹介している。代表は能條桃子さん(22歳)で、団体名は「若い世代なくして未来の日本はない」を意味する。能條さんは同世代が「不支持」を選ぶことは、「支持」を選ぶことよりもハードルが高いと考える。政治に限らず「ノー」というにはきちんとした理由が必要。

 内閣についても基本は「イエス」に始まり、どうしても許せない時に初めて「ノー」という選択肢が出てくると説明する。「これまでの人生で、世の中が上向きだったことがない。20年後はもっと悪いだろうなというイメージがある。政治に対する期待感は他の世代と比べて低い」という。能條さんの分析はとてもよくわかる。根本の問題は、子どもだから危ないから政治には近づくなとする日本の学校教育に問題があるように思う。

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*江戸文化研究者

2021年01月25日 | 捨て猫の独り言

 大学以外でも多彩な活動を行っている法政大学総長の田中優子(1952年生まれ)はこの3月で総長任期が終了し、同時に大学教員も退職する。現在購読している週刊金曜日および毎日新聞のコラム「江戸から見ると」の二つを窓口に、田中の切れ味鋭いレトリックに接する機会を得ている。週刊金曜日編集委員は2009年から、総長就任は2014年からである。

 総長就任前を回顧している。繰り返し聞かれた質問の一つが「女性がどのようにここまでキャリアアップしたのか?」で、もう一つが「女性の総長であることで困ることはないのか?」だった。ガバナンスを担うことは研究や教育の延長線上にはないからキャリアアップではない。後者については、女性は男性に対し同僚や上司としての態度がとれないという想像からだろうが、これは一種の偏見とした。

 

 1月13日のコラム「江戸から見ると」にNHKBSプレミアム「英雄たちの選択 伊能忠敬」に出演したとあった。放送はちょうど同じ日の午後8時である。「英雄」と題するこの日のコラムは、放送番組の内容紹介になっていた。出演依頼のきっかけは、2019年3月に田中が佐原で「忠敬の名主としての姿勢や生き方」を講演したのを番組のディレクターが知ったからだった。

  今回の番組も測量の話よりも、18歳で伊能家に婿入りし名主としての忠敬の佐原時代が中心だ。天明の飢饉で打ち壊しの可能性が迫った時、武力で抑えるのではなく、困窮者を支援することで佐原を守った。忠敬の日本測量の初期において費用の8割は自己負担だった。それは豊かな忠敬の「隠居料」で賄われていた。番組で田中は「忠敬には宇宙から見た地球と同じように、天文から見た日本が見えていた」と語っていた。

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*税と不平等

2021年01月21日 | 捨て猫の独り言

 税と不平等の研究者の著作「つくられた格差」の書評欄を偶然読んだ。著者二人はともにカリフォルニア大学バークレー校の教授だ。その中でアメリカには付加価値税がないという箇所があった。調べてみると、アメリカは「消費税」ではなく「小売売上税」だという。前者は卸売業者、小売業者、消費者に税金が課せられるが、後者は消費者のみに税金が課せられる。

 その理由は、アメリカでは企業が日々立ち上げられその企業を助けることが経済の流れをよくすると考えられている。税率は州によって異なる。また小売売上税は免税・軽減税率の適用が容易である。本題にもどろう。富裕層の税率が逆累進になっているのは、その所得の多くが、配当、利子などの分離課税で、その税率が一定率のためであろう。このことは日本でも同じである。

 1980年代のレーガン政権以後、経営者の租税回避が拡大した。経営者は株主のために株価を上げねばならない。そのために、資金の社外流出である税を少なくしようと、租税回避に走る。著者たちの主張は「巨額の資産を持ち、それを増加させながら、税をほとんど支払わない人がいる。こうした人たちの資産に富裕税をかけよ」それが本書の結論であると書評は結ばれている。(野火止用水沿いを小平霊園へ)

 

 翻って日本では1970年代から80年代にかけて、一億総中流という言葉が盛んに使われていた。他国と比べて貧富の差を小さなレベルに抑え、貧困を駆逐したかのように思われていた。しかし、90年代初頭のバブル崩壊以降、一億総中流の幻想は崩れ、所得格差は拡大の一途を辿る。日本の「貧困率」はOECD加盟41カ国中ワースト8位という。世界第3位の経済大国にもかかわらずこの位置というのはかなり深刻といえる。

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*街の変化

2021年01月18日 | 捨て猫の独り言

 近隣の農地の宅地化の勢いがとまらない。この世のすべてがそうであるように街の姿も確実に変化しつつある。オープンギャラリーの跡地は小型車が2台入る駐車場に作り変えられたが、しばらく利用者がなくやっと去年の暮れに契約者が現れたようだ。駅前の銀行の建物の撤去作業は年末に終わり、年が明けて道路整備工事が始まっている。

 鷹の台駅を利用する学生の数は多い。創価小中高、白梅、武蔵美、津田塾の学生が利用する。鷹の台駅前の再開発は素人目には絶望的なのだが、今回の駅前銀行の撤退によってわずかに風穴があいた。しかし通学路としての機能にはそれほど変化はない。駅前への車の乗り入れが、やや容易になることはたしかだ。

  

 コロナ感染者数の増加に歯止めがかからない。公民館での碁苦楽会は10月に再開されて、会員の半数が参加する状況でなんとか開催されていた。それが年明けの初回の参加者は4人と激減し、ついに3月までは休会が決まった。残念な事態となったが、これまで手つかずだったネット碁を始めようと考えている。

 週に1回の囲碁会は開始が12時45分だから、いつも昼食を早めに終わらせて出かける。そしてすぐ勝負を始めるのだから消化に良いわけがない。囲碁の日はなにかとあわただしい。囲碁会が休みの間は、その曜日は「片道1時間歩き」の日とすることにした。歩け歩けが週に2回となる。歩けば街の変化にぶつかる。 

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*届いた回顧川柳

2021年01月14日 | 捨て猫の独り言

 同年輩からの年賀状に「この度年賀状作成を千秋楽と決めました」とあった。自分もそうありたいと思いつつ宣言できないでいる。なりゆきに任せようと思う。さて今年も両面一杯に印刷された回顧川柳の年賀状がこの中旬になって届いた。暮れに催促?の賀状を出しておいてよかった。

 賀状には令和三年でなく辛丑(2021年)元旦とある。今年は「かのと・うしの年」である。つられて調べてみると、来年は壬寅(2022年)「みずのえ・とら」の年である。これは戊申の役とか甲子園とかでなじみのある年号だ。「ねたきりですが、それなりに明るく(?)しぶとく生きています。あなたも益々お元気でね」

 いくつか紹介したい。【フェイク】四月馬鹿嘘がホントになる恐さ【呆れマスク】「開いた口ふさげ」とマスク配ってる【スクープ】アッキーから目が離せない週刊誌【知事誤算】「閉めぬ店」公表したら客殺到【猿の尻笑い】米と中デモ鎮圧を競い合い【クールビズ】夏は来ぬボトムはステテコでテレワーク

 【おバカ】ウケるかもマスクつけての腹話術【NHK街録】欲しい声拾い集めて「街の声」【謎々】「長すぎて嫌われるもの」それなあに?【パラドクス】「女は嘘つき」という人もまた女【種苗法】菅総理あんたほんとに農家の出?【世界新】「アベノウソ」ギネス登録勧めたい【水俣条約】赤チンが消え去り昭和また遠く

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*本の福袋

2021年01月11日 | 捨て猫の独り言

 小平市図書館の「本の福袋」の年末企画は6回目を迎えるという。前々回に中学年向けの「地図を見ながら日本を旅しよう」と題した袋の中に「伊能忠敬」があって読んだ。それを契機に「ナンバ歩き」を覚えて、今でも長距離を歩く時は実践している。偶然出会った本を読むことで、思いがけなく視野が広がり生活が新たな展開を迎えることもある。

 昨年末に「江戸知りになる」と題して3冊入っている福袋を借りてきた。いつも通り英字新聞にくるまれている。家で開けるまでどんな本が入っているのかわからない仕掛けだ。福袋は今回が二度目だ。①とんぼの本「江戸の献立」、②歴史と文学の会編「江戸東京魔界紀行」、③門井慶喜著「家康、江戸を建てる」の3冊だった。①は江戸料理を再現した写真集②は多くの人による寄稿集③は江戸の町ができてゆく物語。

 ①だしは江戸は鰹節一本。上方は北前船が運ぶ昆布が主体。東のののし餅より、西の丸餅の方がうまい。料理は包丁を入れるたびにまずくなる。四角に切った餅は四方から味が抜けてゆく。江戸っ子そっくり(笑)。上方はうどん。江戸は蕎麦。上方のおにぎりは俵型、東京は三角。②将門首塚が大手町のオフィス街の中心にある。神田明神の祭神が平将門で、平安中期の関東の豪族。東国の独立を標榜し朝敵となる。江戸っ子も将門に崇敬の念を抱いていた。

 ③1971年生まれの著者による、徳川家康が登場する物語。まるで見てきたような著者の騙りはおもしろい。全五話には、それぞれに適材適所の仕事人が登場する。秀吉に関東移封を命ぜられ慣れ親しんだ東海五か国をあとにして関八州の領主となる。まず関東平野北部から流入してくる利根川をはじめ数本の大河を東へ捻じ曲げる(流れを変える)。良質な貨幣の鋳造(金貨を延べる)。七井の池・井之頭の湧水を発見(飲み水を引く・神田上水)。江戸城の石はそのほとんどが伊豆から切り出されたもの(石垣を積む)。青梅の石灰岩で白壁の簡素な天守閣(天守を起こす)。

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*問いをもつ

2021年01月07日 | 捨て猫の独り言

 池田晶子は究極のところへすっといって、終わったところから始める。逆向きに歩き始める。「自分にはいのち根性がない」ともいう。生まれてきた理由も、生きてゆかねばならない理由もわからない。そんな問いを問うてしまう理由もわからない。これらの「なぜ」に答えはなく、それを問い続けるのが哲学と言う。

 問いも答えもせずとぼけてそのまま生きてゆくのが禅だ。生死と宇宙のからくりについて、知りつつ知らないふりをする。あるいはまったく知らないものを全て知っているふりをする。思想と処世とが、一部の隙もなく一致する。禅は最も自由で、最も老獪な方法と言う。(5日の小金井公園、ソシンロウバイと八重野梅ヤエヤバイ)

 

 それはさておき、原理についての問いを五つに分けた、トム・ジャクソンという人の本を図書館の新刊コーナーで見つけて斜め読みした。冒頭に掲げられていたのは①実在とは何かを探究する、「存在」の学問(形而上学)②真理とは何か、どのように物事を知ることができるかを問う「知識」の学問(認識論)③善く生きるとは何かを追求する「善悪」の学問(倫理学)

 ④人々が一緒に暮らしていける制度を考える、「権力や良き社会」の学問(政治学)⑤美の本質や、美が私たちの世界観に訴えるものを見いだそうとする「芸術」の学問(美学)。④⑤に関する記述はほとんどない。この雑学本には100のエピソードが紹介されている。たとえばそのうちの一つ、20年にわたって師プラトンから教えを受けるうちアリストテレスはイデア論に物足りなさを感じ始めた。そして「人間は試行錯誤して善や悪を学び、経験を通して正義や美を理解することもできる」と考えた。

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*短歌入門

2021年01月04日 | 捨て猫の独り言

 暮れに毎日歌壇優秀賞が発表されていた。4人の選者がそれぞれ最優秀1名優秀3名をえらび16名が賞を受けた。垂水市の岩元秀人さんが優秀賞だった。その作品「きさらぎの丘をくだればゆるやかにピアノ流れてわたくしは川」、それに対する評は「寺山修司を思わせる作風でノスタルジックな世界を展開した」だった。

 

 勘違いかもしれないが自分にも短歌が作れそうな気がしてきた。意識あるかぎり人は何かを感じて生活している。その感じたままを三十一文字で表現すればよい。自分にノルマを課して追い込む必要がありそうだ。しばらくこの難行苦行に耐えることができるなら、あらたな展望が開けるにちがいない。

 ◯始めるとつぎの子もする緑道で砂ぼこり舞う落葉ラッセル◯大相撲とことんまでに人体が改造されてこれはスポーツ◯なんとまあ呼吸するよにウソをつくそんな総理を許すこの国◯聞こえたか聞こえてないかどっちなの耳おとろえし老いたる二人

 ◯ヤツデ花白き球体連なりてゆれる姿は宇宙船基地◯問いかけにことば少なき子供らの小さき胸にはあふれる想い◯目をとじて咀嚼の吾を諭す声手作り料理ならぶ夕餉に◯今年またツワブキの花あちこちにその花の一つはまたいで通る

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