雲は完璧な姿だと思う。。

いつの日か、愛する誰かが「アイツはこんな事考えて生きていたのか、、」と見つけてもらえたら。そんな思いで書き記してます。

巫女姫の太鼓 2

2013-09-01 01:00:14 | 不思議...パワスポ寺社
やがて彼女は小脇に抱えていた鼓のような太鼓を
そっと前に出しました。
よくよく見ると、ソレは、ちょっと驚くことに........

太鼓なのに...... “土” で出来ています。

木ではありません。

“土器” で出来ています。

真ん中が微妙に窪んでいて、
そこから両端にかけて少しずつ広がっていく美しいカーブを描いている土器で、
片方の端には動物の皮が張ってあります。
もう片方の端は少し大きめに広がっていて、何も貼られていません。
そちらの端は開いていて、
空洞となっている土器の内部まで覗き込めます。
土器の表面には縄文らしい縄文様と、
人の形をしたような不可思議な絵も少し描かれています。



彼女はその “土器の太鼓” を、
開いている空洞となっている方の端を......静かに......海に浸けました。



自分の前に漂う波の中に太鼓を少し沈め、セットして。
そうして彼女は空を見上げ。
一つ深呼吸をして。
顔を戻し。
今度は真っ直ぐに海の彼方を見据え......
また、何かを少し唱え。
海から出ている皮が貼られている部分を......片手でポンポン......と、
叩き出しました。



その音は、
海の中に入っている開いている方の土器の口から
海中に沁み込むように響き渡り、
遠浅の海の沖の方へと広がっていき、伝わっていきました。



彼女は一心に、
海につけた “土器の太鼓” をリズミカルに叩いています。



タンタンタンタン。。。



ホンの数分でしょうか。
彼女が太鼓を叩き出してから少しの時間が経った時、
海の向こうの方で何か......
大きな魚が海面に大きく跳ね上がりました。
海面から大きく、高く、水しぶきを上げてジャンプをしています。
何でしょうか......とても大きな魚です。



それは......



イルカ、です。



大きなイルカです。



少しするとそのイルカのジャンプが入り江のアチコチからも見えてきて。
その数はみるみるうちに増え。
皆一様に沖からドンドン......と浜辺に近づいて来ます。



タンタンタンタンタン。。。



彼女は凛とした姿勢を微塵も崩さずに、
一心に太鼓を叩き続けています。
それは本当に驚きの光景です。
こんな光景は見たことがありません。

何百です。

何百というイルカの大群です......

イルカの大群が沖から彼女をめがけて集まってきます。

海から飛び上がりながら、
海中で体を回転させながら、何百という、
見たこともないイルカの壮烈な大群が狭い入江に入り込んで来るのです。
それが、浜辺に......彼女に向かって押し寄せて来るのです。
入江は、静かだった小さな入江は......もう......
イルカに埋め尽くされました。。

入江に入り込んできたイルカ達は太鼓を叩き続ける彼女の周りに集まり出し。
そして、彼女の周りをグルグルと、
時折ジャンプしたりしながら泳いでいます。
そして彼女は、フイに太鼓を叩くの止め。
太鼓を叩いていたその片方の手を空に大きく挙げ。次の瞬間。
彼女の傍を泳いでいた何百というイルカの中から
“たった一匹” のイルカを指差しました。



不思議なことに、
その指を刺されたイルカは一瞬動きを止めたようでした。



その動きを止めたイルカに、
それまで彼女の近くで一連の様子をじっと見ていた村の大男達が
一斉に海の中をバシャバシャと駆け寄って行きます。
男達はそのイルカを難なく捉え、
手にしていた縄のロープでアチコチを縛り上げ。
皆で抱え上げて海から浜辺に運び上げました。

気がつくと浜辺には彼女と動きを共にしていた男達の他に、
多くの漁師たちが漁の準備をして立っていました。

浜辺に挙げられた一匹のイルカは、
沢山のイルカが集まる入江から上がってきた彼女と、
その祈りの言葉に見取られながら、
神への生贄として男達に屠(ほふ)られました。
その命は神に......捧げられました。

すると、浜で漁の準備をしていた大勢の漁師たちが、
沢山のイルカで埋め尽くされた海に一斉に飛び込み。
手にしていた網や鉾(ほこ)で十頭ぐらいのイルカを捕獲しました。
彼らはそれ以上は決して捕獲しません。
常に自分たちが生きる為に必要な分だけを捕まえます。
姫は先程男達と共に降りてきた道を、
また木柱が立ち並ぶサークルへ戻るためにユックリと歩き出しました。



生贄として最初に屠られたイルカは、
屈強な男達数人に抱え上げられ、
姫の後をついて丘の上へと運ばれて行きます。



木柱サークルに着くとイルカはその中央に寝かされ。
そしてまた巫女姫(みこひめ)から感謝の祈りを捧げられ。
やがて......
多くの人々の命と同化していきました————————



————————uzmetさん。。
そこは、そんなところです。
きっと、そこに行ったらわかると思います。
そんな場所です(^_^)」



Yさんは、
そう言ってニコニコと笑っていました。



真脇遺跡(まわきいせき)には
「縄文館」という名前のこんな大きな資料館が併設されていて。
館内にはココで発掘された考古学的に貴重な資料が沢山展示されています。
展示資料の写真撮影は硬く禁じられていて、
それでもそのロビーのあちこちには、
何やらインテリア的におかれている縄文式の土器が沢山ありました。
米俵ぐらい大きいものから中くらいのもの。
小さいもの。
ソレらはどうも、著名な陶芸家さん達が遺跡で発掘された破片などを元に
当時と同じ材料や焼き方やデザインを忠実に再現して作り上げた
「レプリカ」のようで。
コチらは撮影することも触ることも自由に出来ました。
その中に......一つ。
思わず僕が

「わぁーーーーーーっ!!」

っと、大声をあげてしまった土器がありました。
それはロビーの片隅にちょこんと、
地味に置かれていた小さな小さな土器。
その土器には珍しく動物の皮が張られていて......
小さな太鼓として飾られていました。



「......uzmetさん。
僕が最初に真脇に辿り着いた時、
自分の見た古代の風景そのままの空気や景色だけでもとても感激したのです。
それで、折角だから見てみよう、と寄った資料館のロビーに......
ですね......

あるのですよ......

ヒッソリと......

ロビーの片隅に......

あの、僕が見た巫女姫さんの土器の太鼓が......

文様までそのままなのです......

僕は最初、太鼓だから土器製なんて間違ってるだろうと、
自分が幻視していた風景を自分自身でかなり疑っていたのです。
だって太鼓ですし。
古代でも木は沢山あったわけですから。
太鼓なんてものは木で作るものだろうと。常識的に。
そう思っていたのです。
でもですね、そこに、

“発掘された土器の破片を元に、
当時の姿そのままに製法まで忠実に再現して作りました......”

っていう説明と一緒に、
僕がビジョンで見た姫さんの太鼓と全く同じ形、デザイン、
模様の入った土器が、、、
4000年前に戻ったように、、、ソコにあったのです。

本当に驚きました。

とても感動しました。

ああ、、やっぱり、、あったんだ、アノ太鼓。。。

と、ね。

感激しました......

それと、イルカの骨も沢山発掘されていたんです。その遺跡で。
それも展示してありました。
僕には見えたんです。また。その真脇の地で。
沢山のイルカがワァーーーッと、
入り江を埋め尽くすように集まって来る荘厳な風景が......
......僕の中では本当に衝撃的で、
今でも忘れられない風景なのですよ、、、」



「わぁぁぁーーーーーっ!!」



僕はロビーで大声を上げた後、
じーーーーーーーーーーーっ。。(゜゜)。。。と、
そこに飾られている小さな土器を身動き一つせずに見入っていました。
そんな僕に、受付にいた、
バッジを付けたスタッフさんらしき年配の女性の方が寄って来て、
こう声をかけて下さりまちた......



「土器、お好きなんですねぇ~(∩_∩)
ココにいらっしゃる方はですね、皆さんそうなんですよォ~」

「!☆◯×△?!?......あ、( ̄o ̄;)そ、そうなんですか。。
僕ちんはそ、それほどでも、、
、、こぉ、、あっ!!、、、」



と言いかけて、僕は口をつぐみました。
つぐんだ言葉というのはこんな感じです......



「この再現土器ですね、、
土器に皮が張ってある部分の発見と再現は凄いと思いますけど、、
惜しい!
のわ、ですね、この底の部分わ!ですね、、、
多分開いていたハズなのですよ。
この部分のカケラとかはきっと発見されてないでましょ!?
そこを他の土器と同じように考えてこう再現しちゃったりなんかしてませぬか?
違いまふ?
だって、ココ開いてたんだもの。ここ。
元々無かったんですよ。この部分は。
だって、姫さんが海で使ってたものですから......」



でも、
プロの方にこんなこと言ったらきっとこう言われるハズです。



「あんたバカぁ!?( ̄  ̄)…」



ええ。
きっとそうでございます。。(*μ_μ)ポッ...デキレバアスカ・ラングレイニイワレタイ...


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2 コメント

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Unknown (溝口丈)
2023-11-12 11:57:17
素敵なお話をありがとうございます。
繋げてくれた方がいらっしゃって
私も土でクリスタルボウルとか作ります。
今居るミュージアムでは似た陶器の太鼓も展示しており
いろいろシンクロしました!
返信する
溝口丈さんへ。 (amenouzmet)
2023-11-12 13:11:33
にゃんと!
よければミュージアムの名前を教えてくださいませ。
今度伺ってみます。
この大切な記事を見つけて頂き、本当に嬉しいです。
ありがとうございます(^^)
返信する

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