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●《安倍政権下で始まった危険な言論統制に歯止めをかける判決…首相にヤジを飛ばした市民が、北海道警の警察官に違法に排除された事件》

2022年04月19日 00時00分32秒 | Weblog

[※ 「こんな人たち」 報道特集(2017年7月8日)↑]


―――――― 《警察庁幹部はこう漏らした。「当時、安倍首相の周囲がヤジを気にしているとの話があり排除となったようです。裁判所はそれはやりすぎ、違法とまで断罪している。こちらが安倍首相側に忖度しすぎたのか…」》



(20220406[])
リテラの記事【「安倍やめろ」のヤジ取締りに「表現の自由の侵害」判決! 安倍政権下で進行していた“日本のロシア化”の危険性が浮き彫りに】(https://lite-ra.com/2022/03/post-6177.html)。
dot.の記事【安倍元首相へヤジで警官に排除された男性らが勝訴「表現の自由を侵害」で警察庁に衝撃走る/今西憲之】(https://dot.asahi.com/dot/2022032700011.html)。

 《安倍政権下で始まった危険な言論統制に歯止めをかける判決と言っていいだろう。2019年の参院選で、札幌市で演説中の安倍晋三首相(当時)にヤジを飛ばした市民が、北海道警の警察官に違法に排除された事件。排除された2人が、憲法が保障する表現の自由を侵害されたとして、北海道に計660万円の損害賠償を求めていたが、この裁判で、北海道地裁が「2人の表現の自由などが違法に侵害された」として、道に対して計88万円の支払いを命じたのだ。しかも、判決内容は表現の自由の重要性を強調する非常に的確なものだった》。
 《判決を言い渡した後、広瀬孝裁判長は「原告らの表現の自由は警察官らによって侵害されたものと判断しました」と説諭した。判決要旨の言い渡しが終わると、法廷には大きな拍手が沸き上がった。問題のヤジは、2019年7月15日の参院選の最中に起こった。街頭演説中に安倍首相に対して、大杉さんが「安倍辞めろ」「帰れ」と声をあげると、北海道警の警察官に囲まれてその場から排除された。次に、別の場所で桃井さんが「増税反対」と訴えると、警察官に移動するように求められ、90分間、複数の警察官に付きまとわれた。2人は不当に行動を制限されたと訴訟を起こした》。

   『●《首相の演説にやじを飛ばしただけで、警官に排除される時代…
                 こんな「表現の不自由」な社会を誰が望んだ》?
    「桐山桂一さんの仰る通り、《今日では既に、首相の演説にやじを
     飛ばしただけで、警官に排除される時代である。
     こんな表現の不自由な社会を誰が望んだであろうか》?」
    「《鹿児島県警から任意の「捜査関係事項照会」と呼ばれる依頼を受け、
     うち4図書館で利用者の個人情報が提供》…。
     《警察は政党の手先ではない訳がないし警察は正義の味方
     呼ぶこともできない…悲惨な社会。最「低」裁を頂点とした司法も、
     検察や警察も、いまやアベ様に忖度する時代。
     《岸の末裔が首相では日本に未来はない》。」

 (桐山桂一さん)《首相の演説にやじを飛ばしただけで、警官に排除される時代こんな「表現の不自由」な社会を誰が望んだ》?  (リテラ)《現役の総理大臣へのヤジも許されず、それが報道もされない世界──》でいいの?
 《警察庁幹部はこう漏らした。「当時、安倍首相の周囲がヤジを気にしているとの話があり排除となったようです。裁判所はそれはやりすぎ、違法とまで断罪している。こちらが安倍首相側に忖度しすぎたのか…」》。それでも選挙になると自公お維に投票するんだから、呆れるしかないね。

 沖縄の辺野古や高江では日常茶飯事という訳だ。
 沖縄タイムスのコラム【[大弦小弦]やじ排除判決の行方】(https://www.okinawatimes.co.jp/articles/-/932990)によると、《北海道警による市民の強制排除を違法と断じた札幌地裁判決が、全国ニュースになっている。原告の桃井希生(きお)さん(26)は勝訴を喜びつつ、「沖縄ではこういう暴力が日常的に起きている」と話す ▼身をもって知っている辺野古新基地建設に反対する座り込みに参加し、強制排除された》。

   『●「戦前の治安維持法」の亡霊…「共産党幹部の夫のために
             家事をしただけで処罰の対象に」という悍ましさ

 《警察が市民の「言論」を奪うことこそ、排除に値する》。
 東京新聞の【<社説>ヤジ排除は違法 警察は「言論」を奪うな】(https://www.tokyo-np.co.jp/article/168657?rct=editorial)によると、《「安倍辞めろ」のヤジを飛ばした市民を警察が排除した是非を問うた訴訟で、札幌地裁が「警察官は表現の自由を制限した」とし、損害賠償を認めた。大いに評価する警察が市民の「言論」を奪うことこそ、排除に値する。…警察官職務執行法では、人の生命・身体に危険を及ぼすなどの場合には、危害を受ける恐れのある者を避難させうると定める。札幌地裁では当時の動画を点検しても、警職法の要件を満たさず、「違法だ」と弾劾した。二人の言動が「公共的・政治的事項に関する表現行為」であることも認めた。それゆえ同地裁は警察官の行為が「(憲法の)表現の自由を制限したというべきである」と断じた。原告の女性は歩いて移動中だったが、警察官は長時間、つきまとった。これについても「移動の自由を侵害した」と認めた。札幌地裁の判断には一つ一つ、うなずける。当時の現場が危険な状況でなかったことが、動画という“動かぬ証拠”で残っていたことが大きかった。北海道に対し損害賠償の支払いも命じている。…警察官の行動は、そんな政権批判の意見を事実上、封じ込めたに等しい道警は首相に忖度(そんたく)したのか市民排除に至った意図や経緯も明確に説明すべきである》。

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https://lite-ra.com/2022/03/post-6177.html

「安倍やめろ」のヤジ取締りに「表現の自由の侵害」判決! 安倍政権下で進行していた“日本のロシア化”の危険性が浮き彫りに
2022.03.27 09:42

     (自民党HPより)

 安倍政権下で始まった危険な言論統制に歯止めをかける判決と言っていいだろう。2019年の参院選で、札幌市で演説中の安倍晋三首相(当時)にヤジを飛ばした市民が、北海道警の警察官に違法に排除された事件。排除された2人が、憲法が保障する表現の自由を侵害されたとして、北海道に計660万円の損害賠償を求めていたが、この裁判で、北海道地裁が「2人の表現の自由などが違法に侵害された」として、道に対して計88万円の支払いを命じたのだ。

 しかも、判決内容は表現の自由の重要性を強調する非常に的確なものだった。まず、「表現の自由は民主主義社会の基礎となる重要な権利で、特に政治的な事柄に関する表現の自由は重要な憲法上の権利として尊重されなければならない」という大原則を強調した上で、今回のヤジについて「対象者を呼び捨てにするなど、いささか上品さに欠けるきらいはあるものの、政治的な事柄に関する表現行為だ」「特定の人種への憎悪を誘発させるとか、身体への危害といった犯罪行為をあおるようなものではなく、選挙演説自体を不可能にさせるものでもなかった」と正しく評価。「警察官の行為は、やじの内容や様子が安倍総理大臣の街頭演説の場にそぐわないものと判断して、それを制限しようとしたものと推認せざるを得ない」と、明らかに安倍首相を守るために、表現の自由を制限しようとしたと指摘したのである。

 もっとも、今回の判決で改めて再認識なければならないのは、安倍政権下で日本国憲法で保障された集会・結社の自由や表現の自由を踏みにじる言論統制が進行したことの恐ろしさだ。ロシアのウクライナ侵略で、ロシア国内における反戦デモなど言論に対する取り締まりが連日報道されているが、安倍政権下でも、政権を批判するデモやヤジ取り締まりが強行されるという“ロシア的”な言論弾圧がどんどん強化されていった

 今回、芥川賞作家の平野啓一郎氏が判決の報道を受けて、〈当然でしょう。今ロシアで起きている街頭デモの取り締まりを見ていると、本当に危ない政権だったと痛感する。同じ夢を見てたのも頷ける。〉とツイートしていたが、まさにそのとおりだろう。

 安倍元首相は今頃になって「ウクライナとともにある」などというツイートをして、プーチンの犬となった過去をごまかしているが、首相時代、安倍元首相はたんに北方領土返還のためにプーチンと仲良くしていたのではない。明らかに、独裁者としてのプーチンに憧れ、「同じ夢」を見て、プーチン的な言論統制国家を目指していた。そして、その言論統制に、御用マスコミも全面協力していた

 実は本サイトは、2019年7月18日、この安倍の演説へのヤジに対する警察の取り締まりが発覚した直後、「「安倍やめろ」のヤジを警察が取締り! “選挙妨害”拡大解釈でロシア並み言論弾圧国家へ」というタイトルで、この暴挙の詳細をレポート、尻馬に乗って「刑事罰に当たる」などと攻撃した御用メディアの産経新聞や、違法排除の現場にいながら当初、一切報道しようとしなかったその他のマスコミについても批判していた。

 記事を再録するので、改めて安倍政権下で起きたことの危険性を再認識してほしい。

(編集部)



●「安倍やめろ」ヤジ排除の模様がSNSに! 即、警官が取り囲み強制的に…

 参院選投開票日を控えて全国遊説に精を出している安倍首相だが、いま、とんでもない動画がSNS上で拡散されている。

 安倍自民党は党役員の遊説会情報を特設サイトで掲載しているにもかかわらず、安倍首相の情報は一切出さないという“ステルス”遊説をつづけている。だが、それでも安倍首相の街頭演説がはじまると、聴衆から「安倍やめろ!」というヤジがどこからともなく飛び、安倍政権に反対するプラカードが掲げられるという状態が“定番”化しつつある。

 しかし、そうやって声をあげた市民が、すぐさま警察に排除されてしまう模様を収めた動画が、いま、SNS上で拡がっているのだ。

 その動画は、15日に北海道のJR札幌駅前でおこなわれた自民党の街頭演説会を撮影したもの。安倍首相は選挙カーの上でマイクを握り、北海道選挙区から立候補している高橋はるみ候補を紹介するのだが、その際、選挙カーから少し離れた正面あたりにいたひとりの男性が、こう声をあげた。

「安倍やめろー!」「帰れー!」

 すると、その声をあげている男性を、制服を着た警察官と私服警官と思われる数人の男性らがすぐさま取り囲み、男性を引きずるようにして後方へと強制的に“排除”したのだ。

 これはどう考えてもおかしい。総理大臣の街頭演説に対し、市民が怒りの声をぶつけるのは表現の自由にほかならない

 こう言うと「公選法には選挙妨害罪がある」と主張する者がいるだろうが、選挙妨害罪について定めた公選法225条および第230条には、こう規定されているだけだ。

〈交通若しくは集会の便を妨げ、演説を妨害し、又は文書図画を毀棄し、その他偽計詐術等不正の方法をもつて選挙の自由を妨害したとき〉(225条の2)
〈選挙に関し、多衆集合して、交通若しくは集会の便を妨げ、又は演説を妨害した者〉(230条)

 一方、動画に映し出されている男性は、たったひとり、肉声で声をあげている。動画をみるかぎり、安倍首相のスピーチが男性のヤジによってストップもしていないし、そのヤジで演説が聞こえなくなるということもないように見える。ましてや、男性は道路や選挙カーの前に出て叫んだわけでも、まわりの聴衆や選挙員に狼藉を働いたわけでも、マイクを奪い取ったわけでもない。男性の行為は、公選法違反としてどれも当てはまらないのだ。

 一体、何の法的根拠があって、警察は市民を排除したのか。本サイトは16日、北海道警察本部に取材を申し込んだが、同広報課報道係の担当者は「取材には応じられない」という返事。一方、朝日新聞デジタル16日付け記事では、北海道警察警備部は「トラブル防止と公選法の選挙の自由妨害違反になるおそれがある事案について、警察官が声かけした」とコメントしている。


弁護士も「演説妨害には当たらない」「行き過ぎた忖度」と指摘

 しかし、動画で男性はほかの聴衆と小競り合いになっているとか、そういう状況にはなっていないし、繰り返すが「選挙の自由妨害罪」に抵触した行為をおこなっていない。「表現の自由」を巡る問題に詳しい弁護士の芳永克彦氏は、公選法に定められた選挙の自由妨害罪について、こう話す。

「演説を妨害したということで、排除されたり、拘束されたりするというのは明らかに行き過ぎだと思いますね。
 北海道警は公職選挙法225条2号の〈演説を妨害し〉に当たる可能性を説明したようですが、これは単に演説を妨害すれば該当するわけではありません。条文では〈交通若しくは集会の便を妨げ、演説を妨害し、又は文書図画を毀棄し、その他偽計詐術等不正の方法をもつて選挙の自由を妨害したとき〉、つまり、偽計詐術その他不正の方法をもって選挙の自由を妨害したということが、要件になっています。
 同じ225条の1号や3号の条文を見ても、1号では「暴行若しくは威力を加え又はこれをかどわかしたとき」、3号も「威迫したとき」とあり、暴力、威力、さらう、脅かすなどの不正行為が要件になっています。
 最高裁で有罪になった判例が2つほどありますが、いずれも暴力絡み。演説者を拘束したり、押さえつけたり、という暴力が絡んだ事件なので、今回問題になっているケースとは違います。
 演説者を吊るし上げて演説できなくさせたとか、演説会場を塞いで入れなくするとか、スクラムを組んで演説者を取り囲んで聴衆が近づけなくするとか、あるいは街宣車の大音量のスピーカーで休みなくがなり立てて誰も演説を聞き取れないというような、違法性の高いケースでないと、この条文で取り締まるということは許されない、というのが私の解釈です。今回のことは安倍首相に対する忖度というのか、行き過ぎですね」

 だが、警官に排除された市民はこの男性だけではなかった。前述した朝日新聞デジタル記事によると、〈年金問題にふれた首相に対して「増税反対」と叫んだ女性1人も、警官5、6人に取り囲まれ、腕をつかまれて後方へ移動させられた〉のだという。


安倍首相の演説へのヤジは排除し、山本太郎と共産党の演説妨害は放置

 増税を決め、さらには年金問題で国民の不安を煽った政府の責任者である総理大臣が、マイクを通して言いたい放題で自己正当化をはかるなか、市民が「増税反対」と意見をぶつけることの、一体何が選挙妨害だというのだろうか。

 しかし、これとよく似たケースは、安倍首相の街頭演説では前々から起こっており、実際、本サイトもそうした場面に遭遇したことがある。

 それは2016年の参院選でのこと。安倍首相がJR吉祥寺駅北口前で街頭演説をおこなうと告知され大勢の人が集まっていたのだが、安倍首相の演説がはじまる前、「安倍政治を許さない」というプラカードを掲げて歩いていた男性がSPにぴったりマークされ、走って駆けつけた警官に注意を受けて選挙カーから遠ざけるように誘導されていた。本サイト記者がその警官にどういった法的根拠で移動させたのか話を訊くと、「プラカードはデモ扱いになるので、きょうはデモは禁止なので」との説明だった。

 プラカードを掲げたら「デモ扱い」になるのなら、安倍支持者が掲げるプラカードも下ろさせるべきだが、警察がそういう注意をしているところは見たことがない。ようするに、安倍首相や政権与党である自民党に反対するプラカードやヤジだけが取り締まりの対象になっているということではないのか。

 実際、JR札幌駅前での男性が警官に強制排除される動画が拡散されるなか、SNS上では今月12日におこなわれた京都選挙区から立候補している共産党・倉林明子候補の応援に山本太郎・れいわ新選組代表が駆け付けた街頭演説において、“メガホンで演説妨害していた人が警察に守られていた”と報告する写真付きツイートに注目が集まっている。写真では、拡声器を持った男性のまわりを4人の制服警官が取り囲んでいるのだが、そのツイートでは〈警察に抗議したら刑事さんが出て来て憲法で保障されているとバッサリ〉と記述されている。

 こちらは動画がないため事実関係を確認できなかったが、もしこれが事実であるならば、警察は憲法で保障された「表現の自由」を相手によって使い分けているということになるだろう。

 現に、こうした実態を裏付けるような証言も出てきた。元北海道警察警視長で2004年に北海道警の裏金問題を告発した原田宏二氏は、昨日、こうツイートした。

〈私は捜査2課長の経験者。そもそも、選挙は国の警察の警察庁が仕切ってる。都道府県警察の選挙を仕切る捜査2課長は若いキャリアのポスト、人事は警察庁。捜査費用も国費。警察庁長官の人事は内閣総理大臣が握る。
 道警が忖度するのは当然警察は政治的に中立は幻想。〉


産経新聞は呼びかけハッシュタグを「組織」と決めつけ「刑事罰に当たる」

 いや、安倍首相のために批判勢力を排除しようとしているのは、警察だけではない。今回の参院選では、安倍首相に反対・批判の声をあげる市民の行為を、自民党の萩生田光一・幹事長代行は「組織的に演説を妨害される方もいる」と発言。御用マスコミもその発言に倣って、安倍首相に向けられる声を“組織的ヤジ”などと表現している。

 御用メディアも同様だ。フジサンケイグループのサンケイスポーツは9日付けの記事で

〈安倍首相の街頭演説に対する組織的とみられる妨害〉と記載。さらに産経新聞は「首相演説で妨害相次ぐ 聴衆に被害 公選法に抵触も」と題した記事を掲載し(13日Web版)、安倍首相の街頭演説の情報が〈「#会いに行ける国難」として拡散されて〉いると指摘。安倍首相に対するヤジについて、こう記述している。

〈行き過ぎた集団によるやじなどは公職選挙法に違反し、刑事罰の対象となる可能性もある〉
〈公選法は演説妨害を「選挙の自由妨害」として刑事罰の対象にする。個人のやじは該当しないとみられるが、集団で演説が聞き取れないほどの妨害行為を行った場合は同法が適用される可能性がある〉

 産経は「組織的」などというが、いまおこなわれている「安倍やめろ」のヤジは、「組織的」なものではまったくない。

 JR札幌駅前の男性も、やはり札幌で警察に排除された女性も、いずれもひとりで声をあげていたと見られるし、今月7日におこなわれた東京・JR中野駅前での安倍首相街頭演説でも、声をあげている人の姿は多く見られたが、あらゆる場所で個別にヤジが起こっていた印象だ。横断幕を掲げた人たちでも多くて十数人〜数人規模だった。

 産経は「#会いに行ける国難」というハッシュタグで集まった市民まで「組織」扱いして「刑事罰の対象になる」などといっており、ここまでくると、いいがかりとしかいいようがない。


違法排除の現場にはマスコミが多数いたのに、動画が拡散するまでどこも報道せず

 この産経の記事の主張についても、前述の芳永弁護士はこう疑問を呈する。

「そもそも組織的だからといって、ただちに不正ということにはならないでしょう。安倍首相に野次を飛ばしたり、抗議をしたりする人たちが多数いたとしても、それだけでは、公職選挙法225条2号違反にはならない。
 判例には〈他の野次発言者と相呼応し、一般聴衆がその演説を聞き取り難くなるほど執拗に自らも野次発言あるいは質問などをなし、一時演説を中止するも止むなきに至らしめるがごときは、この公職選挙法225条に該当する〉とありますから、聞き取りにくい人が若干いたとしても、それだけでは要件に足りないと考えるべきです。刑事犯罪にならないようなことを、公職選挙法225条で引っ掛けようというのは本末転倒でしょう」

 ようするに、産経などの御用メディアは、正当な表現行為である市民による批判の声を封じ込めるため、そして強制排除を正当化するために、「組織的な演説妨害」「刑事罰の対象になる」などと脅しているのだ。

 しかも、今回の札幌のケースを見ると、それは脅しでなく、現実になっている

 それは、警察による違法な市民の強制排除だけではない。もうひとつ深刻なのは、この現場にはマスコミの取材陣がおり、声をあげた市民が強制排除される場面を目撃していた、ということだ。つまり、記者たちは市民を排除する警察を誰も止めなかったどころか、そのことを報道さえしなかった。動画が拡散されるまではどのメディアも記事にしなかった。

 現役の総理大臣へのヤジも許されず、それが報道もされない世界──もはやこの国の民主主義は、政権に抗議する市民に警官が弾圧を繰り返すロシアと同じようなレベルといっていいだろう。

(編集部)
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https://dot.asahi.com/dot/2022032700011.html

安倍元首相へヤジで警官に排除された男性らが勝訴「表現の自由を侵害」で警察庁に衝撃走る
2022/03/28 09:00
今西憲之

     (2019年7月15日、北海道へ応援に入った安倍晋三首相(当時))

 北海道札幌市で安倍晋三首相(当時)が街頭演説中に「安倍辞めろ」とヤジを飛ばした2人が北海道警の警察官に現場から排除され、損害賠償を求めた裁判で、札幌地裁は3月25日、原告側の「勝訴」判決を言い渡した。

     (【写真】北海道警から排除された大杉雅栄さん)

 原告は大杉雅栄さん(34)と桃井希生さん(26)で、北海道に対し、慰謝料660万円の損害賠償請求し、札幌地裁は88万円の支払いを命じた。

 判決を言い渡した後、広瀬孝裁判長は「原告らの表現の自由は警察官らによって侵害されたものと判断しました」と説諭した。

 判決要旨の言い渡しが終わると、法廷には大きな拍手が沸き上がった

 問題のヤジは、2019年7月15日の参院選の最中に起こった。

 街頭演説中に安倍首相に対して、大杉さんが「安倍辞めろ」「帰れ」と声をあげると、北海道警の警察官に囲まれてその場から排除された

 次に、別の場所で桃井さんが「増税反対」と訴えると、警察官に移動するように求められ、90分間、複数の警察官に付きまとわれた

 2人は不当に行動を制限されたと訴訟を起こした。大杉さんは「ただ声を上げていただけだ。現場で小競り合いなどを生じさせることもないのに、警察官が警告もなく複数で排除したことは、実力行使」と訴えた。

 桃井さんは「興奮状態にはなく、周囲に危険な状況を発生させていない。警察官に体当たりもしていない」と主張していた。

 それに対して、北海道警は、大杉さんが安倍首相の乗っていた街宣車から3mほどの距離で大声を出して、右手を突き上げたことで「犯罪を起こす危険性が極めて高い」と主張。桃井さんについては「ヤジを制止したときに、警察官に体当たり、手をふりほどくなど、興奮していた。職務質問をしたが、つきまといではなく、安全な誘導」と反論した。

 2人に対して北海道警は「危険な事態があった」「危害回避のため」と警察官職務執行法の要件を満たし、適法であったと主張した。

 だが、北海道警の主張は裁判の審理で大きく崩れた。

     (2019年7月15日、安倍首相(当時)の演説時にヤジを飛ばし、
      北海道警に排除された映像(北海道テレビ放送提供))

 北海道警の警察官は以下のように主張した。

「大杉さんを排除した際に安倍辞めろという以外に『お前が帰れ』『うるさい』などと声をあげていた。それで肩や腕を掴んだ」

「バッグに手を伸ばしていたので、刃物やナイフなどの凶器を取り出す危険性があった」

 しかし、判決文によると、<(裁判所に提出された現場の動画に)「お前が帰れ」「うるさい」などの発言は全く録音されていない。そもそも「怒号」というからには、相当程度の声量があったはずであるのに、全く録音されていないというのは不自然>

<動画によれば、(大杉さんが)「安倍辞めろ」と声をあげてから警察官が動き出すまでに数秒程度。(大杉さんの)肩や腕をつかむまで10秒程度。わずかな間で聴衆との間で騒然となったり、小競り合いが生じる様子はうかがえない>

<警察官は「凶器を取り出す危険性を認めました」と証言しておきながら、(大杉さんの)右手を確認したのかと問われると「確認するいとまがなかった」と否定。動画からも確認していた様子はうかがわれない>

 裁判所は警察官の証言を<にわかに採用することができない>と断じた。

 桃井さんのヤジについても<警察官は証人尋問において(桃井さんに)「どうしたの」「落ち着いて」と声を掛けたところ、それを無視して全身を震わせて聴衆に向かって前進したと証言。念のため、当時の動画を見ても(桃井さんが)声をあげた時点で聴衆の多くは単に演説に耳を傾けていたようにうかがわれ、騒然とした状況ではない。(桃井さんが)前進したとの点についても(動画では)前進していない。危険な事態はうかがえない>

 北海道警の主張には<疑問を差し挟まざるを得ない>と認めなかった。

 判決は北海道警による2人に対する制止行為は警察官職務執行法を適用するのは無理があり、<違法と言わざるを得ない>と厳しく指摘した。

 そして、原告らが争点にしていなかった憲法で定められている「表現の自由にも踏み込んだ

     (北海道警に排除された大杉雅栄さん(左から2人目))

<「安倍辞めろ」「増税反対」などと声を上げ、上品さに欠けるきらいはあるものの、公共的・政治的事項に関する表現行為である。安倍首相の街頭演説の場にそぐわないものと判断して(ヤジを)制限しようとしたものと推認される

 さらに<原告らはいずれも表現の自由を侵害された>との判断を下し、北海道に賠償を命じた

 判決後、大杉さんは会見で「勝訴は嬉しい。現場で北海道警の警察官は『大声を出すと聞いているおばあちゃんがびっくりして死ぬかもしれない』など理屈が通らない理由を並べて排除した安倍政治と似たものではないかと思った」と語った。

 桃井さんは「排除された後も1時間以上もつきまとわれ、いつ家に帰れるのかと怖かった。判決は声を上げたら排除される社会はおかしいという内容だった力になる判決」と喜んだ。

 2人の弁護団も「北海道警による表現の自由の侵害が正面から認められた歴史的な判決」と高く評価した。

 安倍首相へのヤジに対する、警察官の「実力行使」が「違法」と判断された判決は、北海道警、警察庁に衝撃を与えた。警察庁幹部はこう漏らした。

当時、安倍首相の周囲がヤジを気にしているとの話があり排除となったようです。裁判所はそれはやりすぎ、違法とまで断罪している。こちらが安倍首相側に忖度しすぎたのか…」

 (AERAdot.編集部 今西憲之
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●《思想統制、言論弾圧につながる危険な兆候…反戦の声を上げる市民に敵意を向けた自衛隊の暴走を見過ごすわけにはいかない》(琉球新報)

2022年04月17日 00時00分06秒 | Weblog

[※ 「こんな人たち」 報道特集(2017年7月8日)↑]


(2022年04月04日[月])
琉球新報の【<社説>陸自、反戦デモ敵視 文民統制 逸脱許されない】(https://ryukyushimpo.jp/editorial/entry-1494580.html)。
リテラの記事【ロシアと同じ! 防衛省陸幕が安倍政権時代、「反戦デモ」「報道」をテロと同列視して「戦い」の対象とする勉強会資料を作成】(https://lite-ra.com/2022/04/post-6179.html)。

 《思想統制言論弾圧につながる危険な兆候だ。…反戦の声を上げる市民に敵意を向けた自衛隊の暴走を見過ごすわけにはいかない》。
 《2020年2月、防衛省陸上幕僚監部が記者を対象に勉強会をおこない、その際に配布した「陸上自衛隊の今後の取組み」という資料において、「予想される新たな戦いの様相」「グレーゾーンの事態」として、「テロ等」「サイバー攻撃」「不法行動」「特殊部隊等による破壊活動等」などと並んで、「反戦デモ」と記載していた、というのだ。言っておくが、「グレーゾーン事態」は平時と有事の間にあることを指し、安保法制を発動させる事態のひとつとなっている。そんな「グレーゾーン事態」だの「予想される新たな戦い」だのという物騒なもののひとつとして、テロやサイバー攻撃、特殊部隊による破壊活動と並列して、「反戦デモ」を挙げていたのである。つまり、戦争に反対し平和を願う市民によるデモを、政府は国家の主権を脅かす行為として敵対勢力扱いしていたのだ。しかも、注目すべきは、この資料が配布されたのが2020年2月、つまり安倍政権下だったことだ》。

   『●違憲な土地規制法 ――― 密告社会、《軍隊に監視される社会でいい
     のか?》、《戦争に市民を協力させるという構造》を許していいのか?

 (リテラ)《「陸上自衛隊の今後の取組み」という資料において、「予想される新たな戦いの様相」「グレーゾーンの事態」として、「テロ等」「サイバー攻撃」「不法行動」「特殊部隊等による破壊活動等」などと並んで、「反戦デモ」と記載》《戦争に反対し平和を願う市民によるデモを、政府は国家の主権を脅かす行為として敵対勢力扱いしていた》…ねぇ。(琉球新報)《戦争に反対する市民の行動を国家の主権を脅かす挑戦と位置付け、敵視していたのだ》。戦争したい戦争に行かせたいという本音、政府や自衛隊に逆らうものは許さないという本音がポロリでしょうか。ウクライナへのロシアの侵略で世界中の多くの市民が暗い気分になっている所で、一方で、アベ様政権下でのニッポンではこの有様だったわけです。
 昔、「市民活動も取り締まりの対象となる」なんて言っていた与党自民党の首脳が居ましたね。「数十万人単位のテロリスト」のいる「そんな国の与党の首脳」が特定秘密隠蔽法の本質について本音をポロリでした。

   『●「恥」の三重塗り: 高市早苗氏・稲田朋美氏の
      「ネオナチ」写真問題・「在特会」機関紙執筆問題
    「それにさらに輪をかけて、「「ヘイト」規制 国会デモにも広げる愚……
     
政権批判は耳が痛くても、民の声に耳を傾けることこそ政治家の
     仕事ではないのか」? その発言者・高市早苗氏は当然として、
     座長・平沢勝栄氏や各委員はこんな発議に異議を唱えないのであれば
     高市氏同様の「愚」「恥」」

   『●「数十万人単位のテロリスト」のいる
       「そんな国の与党の首脳」が隠蔽法の本音をポロリ
    《国民の「知る権利」を侵害する恐れがある特定秘密保護法案をめぐり、
     自民党の石破茂幹事長がブログで、市民団体らのデモ活動をテロ
     とみなした。憲法が定める「表現の自由」に基づく
     市民の政治への訴えを犯罪と同一視する言葉が政権中枢から出たことで、
     法案が成立すれば国民の権利が抑圧されるとの懸念は現実味を増した》

   『●もはやニッポンに「民主主義の看板を掲げる資格はない」
          …アベ様は「盲目的に服従しない者には弾圧で…」

 《記者向け勉強会で配布》《テロと並べて反戦デモ報道についても、武力攻撃に至らない手段で自らの主張を相手に強要するグレーゾーン事態に当たると明記していた》そうだが、記者も随分と舐められたものですね。《安倍政権が「反戦デモ」「報道」をテロ扱いするという言論弾圧体質を記者相手に公然と見せつけ、それを記者がスルーする──》、ああぁ…。

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https://ryukyushimpo.jp/editorial/entry-1494580.html

<社説>陸自、反戦デモ敵視 文民統制 逸脱許されない
2022年4月1日 05:00

 思想統制言論弾圧につながる危険な兆候だ

 陸上自衛隊が2020年に作成した資料で、「予想される新たな戦いの様相」として、テロやサイバー攻撃と共に反戦デモを例示していたことが分かった。戦争に反対する市民の行動を国家の主権を脅かす挑戦と位置付け、敵視していたのだ

 主権者として行動する国民を自衛隊が戦う相手として名指しするなど、文民統制シビリアンコントロール)を明らかに逸脱している。政府は実力組織を統制する立場として、文書が作成された経緯の検証と公表など毅然(きぜん)とした対処をとるべきだ。

 資料は陸上幕僚監部が作成し、記者向け勉強会で配布された。陸上自衛隊の今後の取り組みの中で、テロと並べて反戦デモ報道についても、武力攻撃に至らない手段で自らの主張を相手に強要するグレーゾーン事態に当たると明記していた。記者から不適切だとの指摘を受けて回収し、「暴徒化したデモ」と修正したという。

 デモ行進は憲法21条で保障された表現の自由であり、反戦平和の主張を危険視することは憲法19条の思想・良心の自由を侵害する。抑制されることがあってはならない大切な権利だ。「新たな戦いの様相」の中に反戦デモを位置付けた認識を、根本からたださなければならない。

 自衛隊の国民監視を巡っては07年に、陸自のイラク派遣に批判的な市民を監視した内部文書の存在が明らかになった。派遣反対の集会やデモ、ビラ配布などを行った団体・個人の動きを詳細に記録。県内でも沖縄弁護士会沖縄平和運動センターなどが監視対象となっていた。

 この文書を作成していた陸自の情報保全隊は、宮古島市与那国町への陸自配備に伴って両島でも発足している。今年9月には米軍や自衛隊基地の周辺で住民の調査を可能とする「土地利用規制法」が施行される。戦前の治安維持法下をほうふつとさせる監視体制が一層強まる。

 文民統制を果たすはずの政府にも深刻な懸念がある。13年の特定秘密保護法案を巡る議論で、当時自民党幹事長だった石破茂氏は市民団体のデモを「テロ行為」になぞらえた。特定秘密の報道にも「わが国の安全が極めて危機にひんするのであれば何らかの方向で抑制されることになる」と述べ、報道機関への処罰を示唆する発言をしていた。

 個人の権利より国家を優先する自民党の志向は、国民に監視の矛先を向ける自衛隊の活動と重なる。

 沖縄戦の体験や過重な基地負担、台湾有事をにらんだ自衛隊の南西シフトなどを抱える沖縄では、県民の生命や安全な暮らしを守る上で、反戦デモは政治に主権者の意思を示す大切な手段となる。

 反戦の声を上げる市民に敵意を向けた自衛隊の暴走を見過ごすわけにはいかない。
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https://lite-ra.com/2022/04/post-6179.html

ロシアと同じ! 防衛省陸幕が安倍政権時代、「反戦デモ」「報道」をテロと同列視して「戦い」の対象とする勉強会資料を作成
2022.04.01 07:50

     (首相官邸HPより)

 ロシアのウクライナ侵略で、ロシア国内における反戦デモなど言論に対する取り締まりが連日報道されているが、そんななか、日本政府がとんでもない資料を作成していたことが判明した。

 2020年2月、防衛省陸上幕僚監部が記者を対象に勉強会をおこない、その際に配布した「陸上自衛隊の今後の取組み」という資料において、「予想される新たな戦いの様相」「グレーゾーンの事態」として、「テロ等」「サイバー攻撃」「不法行動」「特殊部隊等による破壊活動等」などと並んで、「反戦デモ」と記載していた、というのだ。

 言っておくが、「グレーゾーン事態」は平時と有事の間にあることを指し、安保法制を発動させる事態のひとつとなっている。そんな「グレーゾーン事態」だの「予想される新たな戦い」だのという物騒なもののひとつとして、テロやサイバー攻撃、特殊部隊による破壊活動と並列して、「反戦デモ」を挙げていたのである。

 つまり、戦争に反対し平和を願う市民によるデモを、政府は国家の主権を脅かす行為として敵対勢力扱いしていたのだ

 しかも、注目すべきは、この資料が配布されたのが2020年2月、つまり安倍政権下だったことだ。

 安倍政権下では、政権を批判するデモやヤジを取り締まる言論弾圧がどんどん強化されていった。実際、先日も、2019年の参院選において札幌市で演説中の安倍晋三首相に「安倍やめろ」「増税反対」とヤジを飛ばした市民2人が北海道警の警察官に排除された件で、北海道地裁は道警が表現の自由を侵害したとしてその違法性を認め、道に対して計88万円の支払いを命じる判決を出たばかりだが、警察庁幹部は「当時、安倍首相の周囲がヤジを気にしているとの話があり、排除となったようです」と市民排除にいたった裏側について語っている(「AERA.dot」3月28日付)。

 また、安保法制や森友公文書改ざんなど安倍政権の問題が噴出すると、国会前や首相官邸前では市民による大規模な抗議デモがおこなわれてきたが、そのたびに警察の過剰警備や公安の監視が問題になってきた。

 ほかにも、ラジオDJのピーター・バラカン氏が告発したように、「No .9」「NO WAR」「LOVE & PEACE」とプリントされたTシャツを着ていただけで警官に止められたり、「No.9(憲法九条)」と書かれた小さなタグや缶バッジをつけた市民が国会本館や議員会館に入ろうとすると警備員らに制止される例が続出。平和を訴える集会が「政治的」とみなされ、自治体が会場使用を認めないような事態も進行していった。


■防衛省資料で「反戦デモ」「報道」を「新たな戦い」の対象扱いしていたのにメディアは…

 つまり、当時は、安倍政権が政権批判を封じ込める言論弾圧を繰り広げ、憲法に保障されている「思想・良心の自由」や「集会・結社の自由」の侵害が加速していたのだが、まさか、防衛省・自衛隊が「反戦デモ」を「新たな戦い」として研究していたとは……。

 これはようするに、安倍政権は現在のロシア政府のように、市民による反戦デモをテロ扱いにし、反戦を訴える市民を武力で鎮圧できるような状況をつくり出すことを目指していた、というわけだ。

 今回、発覚した防衛省資料は、いかに安倍政権が危険かつ恐ろしいものだったか、あらためて痛感させられるものだが、しかし、問題はこれだけではない。

 というのも、この防衛省資料では、「予想される新たな戦いの様相」「グレーゾーンの事態」のなかに、「反戦デモ」のみならず「報道も挙げられているからだ。

 言わずもがな、ロシアでは反戦を訴える市民だけではなく、プーチン政権に批判的なメディも取り締まり対象にされ、ウクライナ侵略を正当化する報道しか許されていない。また、プーチン大統領は「偽情報」を流した記者を最高15年の禁錮刑を科す法律に署名したばかりだ。

 他方、防衛省は「事実に反する事柄を意図的に報道する行為」を「予想される新たな戦いの様相」「グレーゾーンの事態」として挙げている。この事実を考えれば、政府はプロパガンダしか許されない状況をつくり上げようとしているとしか考えられないだろう。

 だが、今回の問題で浮き彫りになったのは、メディア側の姿勢の深刻さだ

 というのも、前述したように問題の資料は2020年2月4日におこなわれた記者勉強会で配布されたものだったというのに、当時、これを取り上げたメディアは皆無。日本共産党の穀田恵二・衆院議員が資料を入手し、3月30日の衆院外務委員会で追及したことによってはじめて表沙汰となったのだ。


■防衛省は「反戦デモ」をテロと同列扱いした資料を保存期間中に廃棄する隠蔽行為

 外務委員会での鬼木誠・防衛副大臣の答弁によると、「反戦デモ」の記述については「参加者(記者)から『用語が不適切ではないか』との指摘を受け、資料を回収し、誤解を招かないよう『暴徒化したデモ』と修正した」とし、翌日、修正後の資料を再度記者に配布したという。だが、防衛省が指摘を受けて文言を修正したことも、当時報道は一切なされていない

 いや、そればかりか、「反戦デモ」については指摘を受けて修正がなされているが、「報道」にかんしては修正されていない。つまり、「報道」が「予想される新たな戦いの様相」「グレーゾーンの事態」としてやり玉に挙げられたというのに、記者たちは抗議や指摘をすることもなく、挙げ句、「反戦デモ」「報道」がテロと同等の扱いにされていることを報じようともしなかったのだ。

 いまのロシアを見ればよくわかるが、反戦デモを取り締まり、報道を抑圧してプロパガンダを垂れ流すといった言論弾圧は、国を「戦争ができる状態」にしてしまう。明らかに、それと同じ姿勢を示した政府を黙認し、報じようともしないというのは、報道機関・記者としての責務を放棄したに等しい

 その上、防衛省は資料を記者から回収した翌日、保存期間は1年であったにもかかわらず、これを廃棄。つまり、情報公開請求がなされても開示できないよう、隠蔽工作までおこなっていた。この問題も、穀田議員の追及ではじめて明らかになったものだ。

 安倍政権が「反戦デモ」「報道」をテロ扱いするという言論弾圧体質を記者相手に公然と見せつけ、それを記者がスルーする──。だが、安倍首相が退陣したからといって、こうして安倍元首相が残した民主主義の軽視・破壊という戦争の萌芽は、政府にも社会にも根を下ろしたままであり、メディアの腑抜けぶりも相変わらずだ。「ロシア化」を目指すために安倍政権が目指した言論弾圧体質の批判、そして脱却のために一掃することが、いまこそ必要だ。

(編集部)
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●「平成の治安維持法」…「いつの間にか「こんな人たち」にくくられる危険性が、この法には色濃く潜む」

2017年07月28日 00時00分44秒 | Weblog

[※ 報道特集(2017年7月8日)↑]




沖縄タイムスの磯野直記者のコラム【[大弦小弦]具体的な犯罪行為がなくても…】(http://www.okinawatimes.co.jp/articles/-/111244)。

 《合意という「心の中」を処罰できる「共謀罪」法が11日、施行された…軍国主義が拡大し、同法は一般人の権力批判と少数意見も徹底的に弾圧した。何かが劇的に変化したわけではない。昨日より今日と、なし崩し的に社会の空気を変え、言論の自由を消滅させた》。

 よっぽど後ろめたいのだろう、こんな短期間で「平成の治安維持法」を施行。じわじわとボディーブロ-のように…今は何も感じなくても。気づいた時には茹でガエル。いま踏んばらねば。
 斎藤貴男さん《人間が人間であるために、最後まで抗おう》、木下昌明さん《いまがふんばりどきなのだ》。

   『●斎藤貴男さん「人間が人間であるために、
      最後まで抗おう」と呼びかけ…コンナ「裸の王様」に負けたくない
   『●「自由新聞(フライエ プレッセ)!」と「下足番」新聞:
                  主犯の「A」(A夫妻)が抜けている

 琉球新報の【<社説>「共謀罪」法施行 国会解散し廃止論議を】(https://ryukyushimpo.jp/editorial/entry-532194.html)も同様。《犯罪を計画段階で処罰する「共謀罪」法がきょう施行される。この法律は監視社会を招き、憲法が保障する「内心の自由」を侵害する。捜査機関の権限が大幅に拡大し、表現の自由集会・結社の自由に重大な影響を及ぼす。国会で法案審議の際、政府は立法府と真摯(しんし)に向き合わず、曖昧な説明に終始した。審議時間が不十分なまま、与党が参院法務委員会の採決を省く「中間報告」という奇策を使って強行採決し、成立させた。共謀罪を巡る問題を置き去りにしたまま施行されることに強く抗議する》。

 主犯「」の好き嫌いで、「こんな人たち」と指差される社会…《いつの間にか「こんな人たち」にくくられる危険性が、この法には色濃く潜む》。コンナ「裸の王様」に負けてはいけない。

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http://www.okinawatimes.co.jp/articles/-/111244

[大弦小弦]具体的な犯罪行為がなくても・・・
2017年7月11日 07:15 磯野直 共謀罪 テロ等準備罪

 具体的な犯罪行為がなくても、合意という「心の中」を処罰できる「共謀罪」法が11日、施行された。277もの犯罪の「準備」という容疑をかけるだけで、警察は動きだすことができる

▼施行されたからといって、今日から私たちの生活が劇的に変わることはないだろう。「そう目くじらを立てて騒ぐことはない」と思うかもしれない

▼日本が大正デモクラシーで比較的平和だった1925年、治安維持法はすんなりと成立した。共産主義者の摘発が目的で「一般人は対象ではない」とされ、当初は広く行使されないでいた

▼しかし30年代に入ると軍国主義が拡大し、同法は一般人の権力批判と少数意見も徹底的に弾圧した。何かが劇的に変化したわけではない昨日より今日と、なし崩し的に社会の空気を変え、言論の自由を消滅させた

▼「こんな人たちに負けるわけにはいかない」。東京都議選の最終日、安倍晋三首相は秋葉原での演説で声を張り上げた。「辞めろ」コールを大合唱する人々を指さして

▼「共謀罪」は「一般人が対象ではない」と政府は言う。だが、一般人かどうかを決めるのは政府だ首相が政権批判する国民に敵意をむき出しにし、その発言を菅義偉官房長官が「極めて常識的と擁護するいつの間にか「こんな人たち」にくくられる危険性が、この法には色濃く潜む。(磯野直
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●沖縄破壊、「まるで学校における「いじめ」そのもの」…「傍観者たちが見て見ぬふりをすることで…」

2016年12月21日 00時00分19秒 | Weblog


沖縄タイムスのコラム【米国版「高江」との落差 不条理に慣れてはいないか 【金平茂紀の新・ワジワジー通信(22)】】(http://www.okinawatimes.co.jp/articles/-/75923)。

 《僕はこんな例えをしてきた。本土(中央政府)と沖縄県との関係は、まるで学校における「いじめそのものではないかと》。

 「「ダコタ・アクセス・パイプライン」の建設では、スタンディングロック・スー族やその支援者による反対運動により、オバマ政権は中止を決定したそうです。一方、辺野古や高江といった「民主主義の圧殺現場」(金平茂紀さん)では、オバマ政権は沖縄破壊や日米地位協定の滅茶苦茶ブリを全く無視している」。

   『●「民主主義の圧殺現場」としての
      辺野古破壊や高江破壊…生活と生態系を根こそぎ破壊
    「沖縄タイムスのコラム【米国にもう一つの「高江」 
     【金平茂紀の新・ワジワジー通信(21)】】」
    《先住民にとっては、このミズーリの流れは先祖代々
     「命の水をもたらしてくれる聖なる地」で、そこが原油漏れの汚染の
     危機に常時さらされることに強い反対の意思をあらわした。
     そこで行われた環境アセスメント内容がずさんきわまりないもので、
     連邦政府(オバマ政権)も工事の許認可権をもつアメリカ陸軍工兵隊に
     見直しを要請したが、軍は工事をあっさりと認可、先住民たちはついに
     裁判所に訴えを起こした。と同時に、工事予定地で
     非暴力直接行動の座り込みを行った》

   『●オバマ政権の「二重基準」: 
     沖縄差別・沖縄破壊はトランプ次期大統領の就任で悪化?


 まさに、「沖縄イジメ」。
 オバマ政権の「二重基準」を積極的に支持し、「沖縄差別」「沖縄破壊」を自ら続け、「植民地」として番犬様に献上する…アベ様や最低の官房長官沖縄負担軽減担当相のスガ殿、「差別と断定できない鶴保庸介沖縄担当相らのやっていることは「沖縄イジメ」。「沖縄差別・沖縄破壊はトランプ次期大統領の就任で悪化?」することを怖れる。アベ様らによる、より苛烈な「沖縄イジメ」を怖れる。
 《理不尽をスルーする傍観者たち》…心に突き刺さる。

   『●「沖縄の声に耳を傾けて、理解を得るべき担当相が、
          県民を敵視するかのような発言…。もはや失格」
   『●目取真俊さん「差別用語であることは一目瞭然」…
       沖縄負担軽減相ら閣僚の皆さん方全員がヘイト体質
   『●高江の皆さん、ご唱和を! 「鶴保庸介沖縄担当相殿、
                「無実だと断じることは到底できない!」」
   『●遺族の願いとはほど遠い現実…「沖縄に米軍基地が
           あるゆえに起こる。一日でも早い基地の撤去を…」
   『●グッドタイミングな沖縄県警やアベ様、
      「負担軽減」相らのヤルことのあまりのアザトさ…「沖縄イジメ」
   『●高江破壊差し止め仮処分申請が却下…
       司法判断ではなく、「工事者の政府に寄り添う」政治判断
   『●現在進行形の「身代わり」: 「反省と不戦の誓いを
            …沖縄を二度と、身代わりにしてはならない」
   『●最「低」裁(鬼丸かおる裁判長)、沖縄に弁論もさせずに「政治判断」
                        …「司法判断」出来ない死んだ司法
   『●「植民地意識丸出し」(安慶田光男副知事)な
      番犬様に尻尾をフル「言葉の偽装に長け」た政権(琉球新報)
   『●言論の府として死んでいる国会議事堂や、
      責任者である首相官邸の上空で「空飛ぶ棺桶」の訓練したらどう?
   『●「オスプレイ墜落事故が「看板」の偽りを証明」…
              最「低」裁裁判長に感想を聞いてみたい!
   『●翁長雄志知事「そういう政府は相手にできない。
      法治国家ではない」…刃が心に突き刺さる沖縄イジメの放置

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http://www.okinawatimes.co.jp/articles/-/75923

米国版「高江」との落差 不条理に慣れてはいないか 【金平茂紀の新・ワジワジー通信(22)】
2016年12月15日 16:56
金平茂紀 高江 ヘリパッド ヘイトスピーチ 普天間移設問題・辺野古新基地 沖縄差別 本土と沖縄
金平茂紀

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金平茂紀 (かねひら しげのり)
TBS報道記者、キャスター、ディレクター
1953年北海道生まれ。TBS報道記者、キャスター、ディレクター。2004年ボーン・上田記念国際記者賞受賞。著書に「ホワイトハウスから徒歩5分」ほか。
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 今年も押し詰まってきた。沖縄にとって2016年という年は、何とワジワジーすることだらけだったことか。

     (ヘリパッド建設に市民が抗議する中、警察車両の先導で、
     米軍北部訓練場に入る砂利を積んだダンプカー
     =11月25日、東村高江 拡大する)

 僕はこんな例えをしてきた。本土(中央政府)と沖縄県との関係は、まるで学校におけるいじめそのものではないかと。いじめには、いじめる者といじめられる者とがいる。だがそれ以外に多数の傍観者たちがいる傍観者たちが見て見ぬふりをすることで、いじめは黙認され、正当化され、続行することになるのだ執拗(しつよう)にいじめを繰り返す東京の政府・官庁・司法。それに対して、いじめに耐えながら必死に誇りと矜持(きょうじ)を保とうとしている県側。

 けれども、あまりにいじめ続けられていると限界というものも見えてくるだろう。身を震わせながら無力感と敗北感に膝を屈する時もあるだろう。いつだってその脇には、理不尽をスルーする傍観者たちがいる。沖縄は自分たちとは違う環境にあるのだから仕方がないんだと割り切っている傍観者たちがいる。そうした傍観者たちの姿が見えてきたのも、2016年という年の大きな特徴なのではないか。

 前回の新ワジワジー通信でご報告した米国版「高江」=ダコタ・アクセス・パイプライン計画の建設で大きな展開があった。今月4日、何とオバマ政権は、ノースダコタ州内の先住民スタンディングロック・スー族の居留地近くを通るルートのパイプライン建設工事を許可しないとの決定を下したのだ。

 居留地近くを通る建設ルートが変更される可能性が大きくなった。他の地区での工事はすでにかなり進んでいる。決定の主体は、アメリカ陸軍工兵隊だが、この決定以前に、連邦政府(オバマ政権)が軍に対して環境アセスメントの見直しを要請するなど、工事強行に難色を示してプレッシャーをかけていたという経緯がある。

 先住民の土地・環境と生存権をまもる非暴力直接行動(座り込み)の闘い、そして、それに対する警察や警備会社による凄(すさ)まじい強制排除の構図は、まさに「高江」「辺野古」で僕らが見てきた光景と重なる。今回の決定について、スタンディングロック・スー族の代表らは「歴史的な決定だ」と捉え、オバマ大統領に対し「永遠に感謝する」と述べた。来年1月にホワイトハウスを去っていくオバマ大統領の大きな置きみやげと評価する声が多く聞かれる。ノースダコタの「高江」は先住民が勝利した

 さて、沖縄はどうなっているか。眼前で進行している現実を直視してみる。今月の初旬と中旬、久しぶりに沖縄本島を訪れた。那覇の市街は賑(にぎ)わいをみせていた。でも、しばらくいると、何かどこかが違っているように感じてしまった。テレビ局の仕事を終えて、市内の居酒屋さんで旧知の人々と泡盛を飲んでいたら、振動を伴う重くて鈍い音が屋外から聞こえてきた。「オスプレイですよ。普通のヘリとは全然違うでしょ」。

 そうか、夜9時すぎでも飛んでるんだ。沖縄タイムスでオスプレイが連日連夜、宜野座村などでいわゆる「つり下げ訓練」を行っていると報じられていたが、こんな身近にも飛んでいるとは。その日の2日前に、騒音や低周波音被害の違法性が「十分に疎明されているとは言い難い」との判決文を書いた那覇地裁の裁判官官舎の上空はおそらく飛んでいないのだろう。

 その直前まで、僕らは那覇市の県庁前広場で行われていた沖縄平和運動センターの山城博治議長らの逮捕や家宅捜索に抗議する集会を取材していた。周辺はとんでもないことになっていた。複数の右翼団体の街宣車があらん限りの騒音をまき散らし、集会を妨害していた沖縄県警はそれを放置していた。

 騒音レベルだけでも明らかに違法だが何もしない。これが法治国家・日本の那覇の現実だ。街宣車のマイクからはデモ参加者を攻撃するヘイトスピーチが流れていた。県警は何もしない。辛うじて「直接接触」をさせないようにはしていたが。人は慣れるものだ。こんな異常な状況にも。

 その直前まで僕らは県庁ロビーで取材をしていた。県議会開催中で、翁長雄志知事のぶら下がり会見があるという。直前になって県庁の広報担当者が「質問は税制など二つの内容に限ります」と居合わせた記者たちにアナウンスしている。何を言っているのだろう。けれども記者たちは誰1人文句も言わない。人は慣れるものだ。質問を事前に制限することはよくないことだ。知事を支える環境に変化が生じているのだろうか

 その直前まで僕らは高江にいた。筆者の取材で得た情報では、12月16日までにヘリパッド建設工事を終了させよとの東京からの指令で、突貫工事が進められていた。N1ゲートには3分から5分おきに砂利を積載したダンプカーが4台編成で次々に入っていく。前後に警察車両がエスコートしている。決して多くはない抗議運動の人々がそのたびに抗議の声をあげる。「森を殺すな!」その数倍の人数の機動隊員が壁をつくって包囲して封じ込める。これが憲法で保障された集会・結社の自由の現実だ。

 それに先だって、座り込み抗議をしていたこれらの人々は、まるで荷物を運搬するように機動隊員によって排除されていた。ヘリパッド工事現場にも機動隊員が配置されている。彼らはある時は工事車両の荷台に乗って現場に移動していた。また警察車両に工事作業員が多数乗っていたこともある。何のことはない。工事完遂という目的の前に、作業員と警察官は一体化しているのだ。警察法に違反していないか。だが人は慣れるものだ。

 道路際に立つ若い機動隊員に話しかけてみた。右耳にはイヤホンが刺さっている。「ずっと立ちっ放しで辛(つら)いですね」「…仕事ですから」「もうここには長いんでしょう?」「…」「帰りたくなることはないですか?」「…2カ月を越すとちょっとあれですね」。はじめて本音の肉声が返ってきた。彼は「土人」と暴言を吐くタイプとは違うようにみえた。

 北部訓練場の返還式典が今月22日に挙行される予定だ。これら眼前で起きているすべての不条理な現実が、「負担軽減」というマジックワードによって覆い隠されることのないように祈るばかりだ。(テレビ報道記者・キャスター)=随時掲載
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