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●人質司法…《保釈請求…東京地裁も却下。否認を貫く相嶋さんに妻が「うそをついて自白して、拘置所から出よう」と頼んだが、首を縦に振らなかった》

2024年04月13日 00時00分39秒 | Weblog

[↑ 大川原化工機の訴訟 検察・警察の捜査「違法」東京地裁 都と国に賠償命令 (朝日新聞、2023年12月28日(木))]


(2024年03月26日[火])
無罪主張するほど保釈されない人質司法の大罪。相嶋静夫さんのご遺族の主張が認められず…東京地裁・男沢聡子裁判長殿、一体どういうことですか? 何度請求しても、保釈を認めなかった裁判所も、あまりに杜撰で冷酷。勾留後に亡くなった1人の命は戻らない。しかも、東京地裁・男沢聡子裁判長は、《勾留中に判明したがんで死亡した相嶋静夫さん》の《遺族の請求棄却》。《人質司法の残虐性が「病気」ではっきり現れる》。そもそも、推定無罪の原則はどこに行ってしまったのか? しかも、冤罪で不当に囚われ、まともな医療も受けられないのではあまりにデタラメ過ぎやしまいか。

 人質司法による《身柄拘束は実に約十一カ月間》、大川原化工機でっち上げ事件大川原正明社長ら…《こんなにひどいことはないと感じたという青木理さん。不当に長期にわたり囚われ、冤罪が晴らされる前にお亡くなりになった顧問の相嶋静夫さんの命はもはや取り戻せない。「起訴取り消しによる名誉回復すら見届けられず亡くなった」、《人質司法の残虐性が「病気」ではっきり現れる》。冤罪で罪を犯していなければ、《罪を認め》る訳がない…《罪を認めなければ長期に身柄拘束される「人質司法」》の前近代的なデタラメ司法。
 (東京新聞)《保釈請求もしたが、検察は罪証隠滅の恐れがあると主張し、東京地裁も却下否認を貫く相嶋さん妻がうそをついて自白して、拘置所から出ようと頼んだが、首を縦に振らなかった》そうだ。《保釈請求は8回に上ったが認められなかった》…検察と共に、裁判所も本当に酷過ぎる。《長男は相嶋さんの遺影を前に「父はがん判明後も尊厳を踏みにじられ、最悪な最期を迎えてしまった残念だ」と涙交じりに語った》そうだが、検察・裁判所の加害者は何も感じないのかね?

 (鈴木耕さん)《日本司法の異常さが世界からの批判の的になっているということを、国連ですら認めているのだ。よく言われるように「日本の常識は世界の非常識」の実例である》…それ故の犠牲者がまたしても。再審法改正も進まず。低「民度」なニッポンの《刑事司法はおそろしいほどに後進的代用監獄人質司法》…さらに、司法取引…。

   『●《日本の刑事司法はおそろしいほどに後進的…
       代用監獄…人質司法》…さらに、司法取引まで投げ渡す大愚
   『●《えっ、じゃあ日本はフランスより民度が高いの?》(鈴木耕さん)
                 …金(カネ)色の五つの輪と刑事司法等々

 東京新聞の【<社説>勾留中の医療 早期の保釈を認めねば】(https://www.tokyo-np.co.jp/article/317103?rct=editorial)、《「大川原化工機」の冤罪(えんざい)事件を巡り、東京地裁は「被告のまま死亡した同社元顧問の遺族への賠償を認めなかった。元顧問は勾留中に胃がんと判明したが、保釈が認められなかった。刑事施設での医療に第三者監査を入れるなど仕組みを抜本的に改めるべきだ》。

   『●人質司法による《身柄拘束は実に約十一カ月間》、大川原化工機の
     大川原社長ら…《こんなにひどいことはないと感じたという》青木理さん
   『●大川原化工機事件…でっち上げ事件、《勾留後に亡くなった1人を
     含め、会社側は起訴取り消しになっても大きな不利益を被りました》
   『●日刊ゲンダイ【辛口の経済評論家 佐高信氏が「いい会社」と就活生に
     薦めたい企業3社】《城南信用金庫…久遠チョコレート…大川原化工機》
   『●男性警部補「捏造ですね」…とんでもない冤罪事件・捏造事件・でっち
     上げ事件、国賠が認められても《勾留後に亡くなった1人》の命は戻らない
   『●大川原化工機事件は公安によるでっち上げ…《警視庁公安部が捜査し、
     公判直前に起訴が取り消された事件…現職警部補が「事件は捏造」と証言》
   『●《警察と検察が事件を捏造して、無辜の人たちを犯罪者に仕立て上げる。
     …大川原化工機の例は、この国がすでに“新しい戦前化”している…》
   『●大川原化工機捏造事件国賠…《女性検事は淡々と、「起訴当時の判断を
     間違っているとは思っていない。謝罪する気持ちなどない」と答えた》
   『●大川原化工機でっち上げ事件の国賠…《13年前の「正義の検事」が“冤罪”
       事件で謝罪拒む》、実は郵便不正事件当時も《問題検事》だった模様
   『●大川原化工機でっち上げ事件国賠訴訟…当然の勝訴判決ではあるが、《勾留
      後に亡くなった1人》の命は戻らないし、あまりに《大きな不利益》…
   『●大川原化工機捏造事件国賠、謝罪や責任を問うこともなく《国と東京都
     が控訴》…大川原正明社長「あきれた」「やっぱりか」「まだやるのか」
   『●大川原化工機でっち上げ事件:青木理さん《見込み捜査と強い政治性を特徴
     とする警備公安警察のゆがみが如実にあらわれた例として、大きな批判…》
   『●大川原化工機捏造事件国賠、国と都が控訴…《今回の事件は、日本の警
     察、検察、裁判所がいかなるものかを浮き彫りにしている》(長周新聞)
   『●冤罪で死刑執行、飯塚事件…『正義の行方』木寺一孝監督《が描いたのは、
     死刑執行後だからこそ、より鮮明に浮かび上がる「人が人を裁く重み」》
    《◆デスクメモ …恣意的な捜査がえん罪を引き起こした最近の
     大川原化工機事件を頭に浮かべつつ、そう強く思う》。

   『●東京地裁・男沢聡子裁判長殿、一体どういうことですか? 大川原化工機冤
     罪事件「起訴取り消しによる名誉回復すら見届けられず亡くなった」のに…
   『●ニッポンの《刑事司法はおそろしいほどに後進的…代用監獄…人質司法》
      …《法曹三者が「冤罪を学び、冤罪から学ぶ」こと》が重要だが…
    《◆無罪主張するほど保釈されない「人質司法」問題

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https://www.tokyo-np.co.jp/article/317103?rct=editorial

<社説>勾留中の医療 早期の保釈を認めねば
2024年3月25日 06時54分

 「大川原化工機」の冤罪(えんざい)事件を巡り、東京地裁は「被告のまま死亡した同社元顧問の遺族への賠償を認めなかった。元顧問は勾留中に胃がんと判明したが、保釈が認められなかった。刑事施設での医療に第三者監査を入れるなど仕組みを抜本的に改めるべきだ。

 元顧問は社長らとともに2020年3月、噴霧乾燥機を不正輸出したとの外為法違反容疑で逮捕された。勾留中に体調を崩し、外部の病院で診察を受けたいと保釈を求めたが、認められなかった

 同年10月、拘置所での内視鏡検査で悪性腫瘍と判明。外部の病院での治療を求めたが、認められたのは8時間の勾留停止だけ。大学病院での診察で「進行胃がん」と診断されたが、その直後の保釈請求も認められなかった

 勾留の執行停止は同年11月。すでに肝臓にがんが転移する末期状態で、翌21年2月に「被告のまま死亡した。保釈請求は8回にも上っていた

 この事件は同年7月、社長らの起訴が異例の取り消しとなり、冤罪だったことが判明。こうした経緯から元顧問の遺族が「拘置所には適切に治療し、早期に入院させる義務を怠る違反があった」などとして国を訴えていた。

 東京地裁は「20年10月1日時点で外部病院と調整を始めている」などとして、拘置所の医師に治療義務などの違反が認められない遺族の訴えを退けた

 しかし、勾留中でも病気なら一般人と同等の医療が受けられるべきだ。拘置所では人的・物的設備に限りがある。「進行がん」と診断されながら裁判所が保釈を認めないのは常識から外れている

 否認すれば長期の身柄拘束が続く「人質司法」により、命が軽んじられたとしたら許し難い。

 拘置所など刑事施設での医療を巡り、かつて日弁連は第三者による検証制度や刑事施設での医療を法務省から厚生労働省に移管するなどの抜本的改革を求めたが、いまだに実現していない。

 すでにフランスや英国では刑事施設での医療の質を向上させるため、監督権限を保健省などに移管したという。日本も見習うべきであり、少なくとも第三者の監査が働く仕組みの導入は不可避だ

 ましてや勾留中は「無罪推定の原則が働く。早期の保釈と適切な医療の保障は、当然の権利と考える。
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●東京地裁・男沢聡子裁判長殿、一体どういうことですか? 大川原化工機冤罪事件「起訴取り消しによる名誉回復すら見届けられず亡くなった」のに…

2024年04月02日 00時00分08秒 | Weblog

[↑ 大川原化工機の訴訟 検察・警察の捜査「違法」東京地裁 都と国に賠償命令 (朝日新聞、2023年12月28日(木))]


(20240322[])
大川原化工機でっち上げ事件。あまりに酷い冤罪事件というか、公安警察・検察によるでっち上げ事件・捏造事件。何度請求しても、保釈を認めなかった裁判所も、あまりに杜撰で冷酷。勾留後に亡くなった1人の命は戻らない。しかも、東京地裁・男沢聡子裁判長は、《勾留中に判明したがんで死亡した相嶋静夫さん》の《遺族の請求棄却》。

   『●人質司法による《身柄拘束は実に約十一カ月間》、大川原化工機の
     大川原社長ら…《こんなにひどいことはないと感じたという》青木理さん
   『●大川原化工機事件…でっち上げ事件、《勾留後に亡くなった1人を
     含め、会社側は起訴取り消しになっても大きな不利益を被りました》
   『●日刊ゲンダイ【辛口の経済評論家 佐高信氏が「いい会社」と就活生に
     薦めたい企業3社】《城南信用金庫…久遠チョコレート…大川原化工機》
   『●男性警部補「捏造ですね」…とんでもない冤罪事件・捏造事件・でっち
     上げ事件、国賠が認められても《勾留後に亡くなった1人》の命は戻らない
   『●大川原化工機事件は公安によるでっち上げ…《警視庁公安部が捜査し、
     公判直前に起訴が取り消された事件…現職警部補が「事件は捏造」と証言》
   『●《警察と検察が事件を捏造して、無辜の人たちを犯罪者に仕立て上げる。
     …大川原化工機の例は、この国がすでに“新しい戦前化”している…》
   『●大川原化工機捏造事件国賠…《女性検事は淡々と、「起訴当時の判断を
     間違っているとは思っていない。謝罪する気持ちなどない」と答えた》
   『●大川原化工機でっち上げ事件の国賠…《13年前の「正義の検事」が“冤罪”
       事件で謝罪拒む》、実は郵便不正事件当時も《問題検事》だった模様
   『●大川原化工機でっち上げ事件国賠訴訟…当然の勝訴判決ではあるが、《勾留
      後に亡くなった1人》の命は戻らないし、あまりに《大きな不利益》…
   『●大川原化工機捏造事件国賠、謝罪や責任を問うこともなく《国と東京都
     が控訴》…大川原正明社長「あきれた」「やっぱりか」「まだやるのか」
   『●大川原化工機でっち上げ事件:青木理さん《見込み捜査と強い政治性を特徴
     とする警備公安警察のゆがみが如実にあらわれた例として、大きな批判…》
   『●大川原化工機捏造事件国賠、国と都が控訴…《今回の事件は、日本の警
     察、検察、裁判所がいかなるものかを浮き彫りにしている》(長周新聞)
   『●冤罪で死刑執行、飯塚事件…『正義の行方』木寺一孝監督《が描いたのは、
     死刑執行後だからこそ、より鮮明に浮かび上がる「人が人を裁く重み」》
    《◆デスクメモ …恣意的な捜査がえん罪を引き起こした最近の
     大川原化工機事件を頭に浮かべつつ、そう強く思う》。

 東京新聞の記事【警視庁捜査員を刑事告発へ 大川原化工機側、外為法違反事件】(https://www.tokyo-np.co.jp/article/316227)によると、《「大川原化工機」の社長らが生物兵器製造に転用可能な装置を無許可で輸出したとする外為法違反罪などに問われ、起訴が取り消された外為法違反事件を巡り、同社幹部の弁解録取書に虚偽の内容を記し発覚後にシュレッダーにかけて破棄したとして、同社側が公文書毀棄などの疑いで捜査当時の警視庁公安部の捜査員らを今月中にも警視庁に刑事告発する方針を固めたことが20日、関係者への取材で分かった。事件を巡っては、東京地裁が昨年末、東京地検と警視庁の捜査の違法性を認定し、国と東京都に計約1億6千万円の賠償を命じた。国と都、同社側が控訴している》。

 東京地裁・男沢聡子裁判長殿、一体どういうことですか? 「起訴取り消しによる名誉回復すら見届けられず亡くなった」、《人質司法の残虐性が「病気」ではっきり現れる》。冤罪で罪を犯していなければ、《罪を認め》る訳がない…《罪を認めなければ長期に身柄拘束される「人質司法」》の前近代的なデタラメ司法。
 山田雄之記者による、東京新聞の記事【こちら特報部/「拘置所だから」医療の質が低くてもいいのか 冤罪と病に苦しみながら亡くなった男性の息子の涙と怒り】(https://www.tokyo-np.co.jp/article/315858?rct=tokuhou)によると、《「大川原化工機」(横浜市)の機械輸出を巡る冤(えん)罪事件で、勾留中に体調を崩し「被告」のまま亡くなった元顧問の親族が拘置所医療の改善を訴えて国に損害賠償を求めた訴訟の判決が21日、東京地裁である。判決を前に、国際的な人道ルールからみて不十分な刑事施設の医療の在り方罪を認めなければ長期に身柄拘束される「人質司法」との関係を考えた。(山田雄之)》。
 東京新聞の記事【「大川原化工機」遺族の請求棄却 拘置所の医療対応、不適切と主張】(https://www.tokyo-np.co.jp/article/316410)、《外為法違反の罪に問われた社長らの起訴が取り消された「大川原化工機」の元顧問で、勾留中に判明したがんで死亡した相嶋静夫さん=当時(72)=の遺族が、拘置所の対応が不適切だったとして国に計1千万円の損害賠償を求めた訴訟の判決で、東京地裁(男沢聡子裁判長)は21日、請求を棄却した》。
 ご遺族は《◆「父が死ぬのを待っているんだな」と感じた》そうだ。何度請求しても、保釈を認めなかった東京地裁を庇うがごとくの東京地裁ヒラメ裁判官・男沢聡子裁判長。《「池添徳明氏…。「日本の裁判官は上(最高裁)の方ばかり見ているヒラメ裁判官がほとんどだ」》。《保釈請求もしたが、検察は罪証隠滅の恐れがあると主張し、東京地裁も却下否認を貫く相嶋さん妻がうそをついて自白して、拘置所から出ようと頼んだが、首を縦に振らなかった》そうだ。《保釈請求は8回に上ったが認められなかった》…検察と共に、裁判所も本当に酷過ぎる。《長男は相嶋さんの遺影を前に「父はがん判明後も尊厳を踏みにじられ、最悪な最期を迎えてしまった残念だ」と涙交じりに語った》そうだが、検察・裁判所の加害者は何も感じないのかね?

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https://www.tokyo-np.co.jp/article/315858?rct=tokuhou

こちら特報部
「拘置所だから」医療の質が低くてもいいのか 冤罪と病に苦しみながら亡くなった男性の息子の涙と怒り
2024年3月19日 12時00分

 「大川原化工機」(横浜市)の機械輸出を巡る冤(えん)罪事件で、勾留中に体調を崩し「被告」のまま亡くなった元顧問の親族が拘置所医療の改善を訴えて国に損害賠償を求めた訴訟の判決が21日、東京地裁である。判決を前に、国際的な人道ルールからみて不十分な刑事施設の医療の在り方罪を認めなければ長期に身柄拘束される「人質司法」との関係を考えた。(山田雄之


◆「父が死ぬのを待っているんだな」と感じた

     (相嶋静夫さんが拘置所で記録していたメモ。
      「貧血」「便が出ない」と体調不良を訴える言葉が
      並ぶ=相嶋さんの長男提供)

 「ただごとではない状態なのに治療が一向に始まらず、父が死ぬのを待っているんだなと感じた。現在の拘置所医療を追認するようなことはあってはいけないんです」。大川原化工機の顧問だった相嶋静夫さんの長男(50)は3月上旬、判決を前に東京都内で開いた会見でこう語った。

 相嶋さんは2020年3月、外為法違反容疑で社長らと逮捕された。粉ミルクや粉末コーヒーの生産に使われる噴霧乾燥機の開発に技術者として長年携わってきた。逮捕前の任意聴取の段階から「軍事転用はできない」と訴え続けていたという。


◆貧血、血便…がんが分かっても保釈されず

 2度の起訴を経て東京拘置所に勾留されていた9月下旬、相嶋さんに異変が。貧血を発症し、黒い便が出た。もともと高血圧や糖尿病などの既往症があった。本人が拘置所で記録した当時のメモには「体に力が入らない」「少食です」と不調を訴える言葉が並ぶ。

     (相嶋さんの遺影を前に記者会見する長男(右)。
      左は大川原化工機の大川原正明社長=2023年12月、
      東京・霞が関の司法記者クラブで)

 10月1日の検査で胃に大きながんを発見。弁護人が外部病院での診療を拘置所に申し入れたが、なかなか聞き入れられなかった。16日になり、8時間だけの勾留執行停止を受け、大学病院で進行胃がんと診断された。保釈請求もしたが、検察は罪証隠滅の恐れがあると主張し、東京地裁も却下否認を貫く相嶋さん妻がうそをついて自白して、拘置所から出ようと頼んだが、首を縦に振らなかった

 11月5日、ようやく再びの勾留執行停止となり、入院できたが肝臓に転移があり、すでに末期だった。自力で立ち上がれずに車いすで移動する状況で、抗がん剤治療を受ける体力も無かった。21年2月、相嶋さんは「被告のまま72歳で亡くなった逮捕から11カ月保釈請求は8回に上ったが認められなかった


◆「一般と同水準の医療を受けられていたら…」

 死亡から5カ月後、東京地検は「犯罪に当たるか疑義が生じた」として相嶋さんらへの起訴を取り消した。そして東京地裁は昨年12月、警視庁と東京地検の逮捕・起訴を巡る国賠訴訟の判決で東京都と国に賠償を命じた

     (大川原化工機が製造した噴霧乾燥機と大川原正明社長
      =横浜市都筑区で)

 地裁は判決で、体調に異変があった相嶋さんが直ちに医療機関を受診できず、さらに勾留執行停止という不安定な立場で治療を受けざるを得なかったと言及した。直後の会見で、長男は相嶋さんの遺影を前に「父はがん判明後も尊厳を踏みにじられ、最悪な最期を迎えてしまった残念だ」と涙交じりに語った。

 捜査を巡る国賠訴訟に続き22年に起こされていたのが、今回の拘置所医療の改善を求める国賠訴訟だ。長男らの代理人を務める高田剛弁護士は「拘置所で一般の人と同水準の医療を受けられていたら、こんなにも早く相嶋さんは他界しなかったのではないか」と話す。


◆国側「患者の自己決定権制約はやむを得ない」

 訴状などによると、原告側は、拘置所には相嶋さんに適切に治療し、病状などを説明したり、早期に入院させたりする義務を怠る違反があったと主張。裁判で明らかになった相嶋さんのカルテによれば、20年7月の拘置所移送直後の血液検査で既にヘモグロビンの値が世界保健機関(WHO)診断基準で「貧血状態」だったという。長男は「7月時点で精密検査をしていれば、早期に治療できた。拘置所だから、医療の質が低くても仕方ないでは今後も同じような被害が起きる」と訴える。

 一方、請求棄却を求める国側は「拘禁の性質上、医療に関する患者の自己決定権はある程度制約される場合があることはやむを得ない」「必ずしも希望する通りの医療行為がされるものではない」と反論。また相嶋さんのような「貧血状態」の血液の値を示すことは「拘置所の高齢者にはよく見られる」として、精密検査をせずに「経過観察」とした医師の判断には「不合理な点は認められない」としている。


◆拘置所での医療は「受刑に耐えさせるため」

     (相嶋さんが勾留された東京拘置所=東京都葛飾区で、
      本社ヘリ「おおづる」から(2020年5月撮影))

 双方の主張の対立について、拘置所など矯正施設に詳しい龍谷大の赤池一将教授(刑事法学)は「医療の目的が、刑事施設の中と一般社会では全く異なる現状がある」と指摘する。赤池氏は、法務省矯正局の幹部から「施設での医療目的は受刑に耐えさせるための健康維持であって、被収容者本人のためではない」と言われたという。

 赤池氏が特に問題視するのは、被収容者の処遇を定めた刑事収容施設法の62条3項。「刑事施設の長は、やむを得ないときは被収容者を刑事施設の外の病院に入院させることができる」との規定だが、赤池氏は「医療の主体が患者や医師ではなく施設長になっていることは非常に違和感がある。『やむを得ない』との文言も、医療を施設内だけで完結するんだという強い意識を感じる」とみる。


◆日本の刑事施設の医師は外部のチェックなし

 そもそも身柄拘束された人への人道的な処遇は、国際的な約束事だ。20年以上投獄された元南アフリカ大統領のネルソン・マンデラ氏にちなむ国連規則「マンデラ・ルール」では、被拘禁者に対する医療の提供は「国家の責任」で、「地域社会と同水準のヘルスケア」を不可欠とし、「法的地位に基づく差別を受けない」とする。

     (法務省)

 フランスや英国では、刑事施設での医療の質を確保する目的で、監督する権限を厚生省や保健省といった別官庁に移管し、医療スタッフの増加などにより医療が向上したとされる。赤池氏は「日本の刑事施設の医師は外部の監督を受けていない独立した第三者がチェックする制度を設ける必要がある」と訴える。


◆人質司法の残虐性が「病気」ではっきり現れる

 日本の刑事施設の医療の在り方は、罪を認めなければ長期にわたり身柄拘束される人質司法」の観点からも問題視されている。国際人権団体「ヒューマン・ライツ・ウオッチ」日本代表の土井香苗さんは「人質司法の残虐性が一番はっきり現れるのが病気になった場合だ。相嶋さんのように、長期勾留と刑事施設の医療が相まって悲劇を生んでいく」と警鐘を鳴らす。

 昨年7月の法務省の会議で提出された資料によると、自白した場合は約71%の人が1カ月以内に保釈請求が認められたのに対し、否認の場合は6カ [※ブログ主注: 「6カ月以内」?] でようやく74%に達したという。

 冤罪被害者を支援する団体「イノセンス・プロジェクト・ジャパン」の事務局長を務める甲南大の笹倉香奈教授(刑事訴訟法)は未決拘禁者における問題として「刑事収容施設に入った時点で、一般市民と同じように扱われなくなるのであれば『推定無罪の原則に反している」と指摘。「被疑者や被告の防御権の観点からも、健康は大前提だ。社会水準に満たない医療によって、命が危険にさらされることは許されない

 大川原化工機を巡る冤罪事件 警視庁公安部が2020年3月、同社の噴霧乾燥機が生物兵器の製造に転用可能だとして、国の許可を得ずに中国に輸出したとする外為法違反(無許可輸出)容疑で社長ら3人を逮捕し、東京地検が起訴。21年7月に一転、起訴を取り消した11カ月間、身体拘束された社長らは逮捕・起訴は違法だとして国家賠償訴訟を起こし、証人尋問で捜査を担った警察官が事件を捏造(ねつぞう)」と証言。東京地裁は昨年12月の判決で、捜査の違法性を認め、国と東京都に賠償を命じた。今年1月、原告、被告双方が控訴した。


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https://www.tokyo-np.co.jp/article/316410

「大川原化工機」遺族の請求棄却 拘置所の医療対応、不適切と主張
2024年3月21日 13時44分 (共同通信)

     ( 国に損害賠償を求めた訴訟の判決のため東京地裁に
      向かう「大川原化工機」元顧問の相嶋静夫さんの遺族
      (右の2人)ら=21日午後)

 外為法違反の罪に問われた社長らの起訴が取り消された「大川原化工機」の元顧問で、勾留中に判明したがんで死亡した相嶋静夫さん=当時(72)=の遺族が、拘置所の対応が不適切だったとして国に計1千万円の損害賠償を求めた訴訟の判決で、東京地裁(男沢聡子裁判長)は21日、請求を棄却した。

 警視庁公安部は2020年3月、生物兵器製造に転用可能な装置を中国に不正輸出したとして、相嶋さんや大川原正明社長らを逮捕した。訴状などによると、相嶋さんは勾留中の9月末に重度の貧血で輸血を受け、10月7日までに悪性腫瘍と判明。勾留停止を得て11月に入院、21年2月7日に亡くなった。東京地検は同7月、起訴を取り消した

 遺族側は、拘置所には早期に採血結果の精査や内視鏡検査をする義務があったのに怠り、死期が早まったことで「起訴取り消しによる名誉回復すら見届けられず亡くなった」と主張。一方、国側は貧血時の輸血対応や、がん確定後の診療手配は適切で、治療などの義務違反はなく、がんの早期発見と余命との因果関係もないと主張した。
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●金子勝さん《権力に近ければ、罪を犯しても逮捕されない…公安警察・検察が安倍政権を支配していることに事の本質が》

2020年01月17日 00時00分17秒 | Weblog

[※ 自公選挙公約「子育て…」小躍りするアベ様日刊ゲンダイ(2017年12月19日)↑]



日刊ゲンダイのコラム【金子勝の「天下の逆襲」/公正なルールがなければ産業も経済も機能しない】(https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/267212)。

 《日産自動車前会長のカルロス・ゴーン被告の脱出劇には驚いた。スパイ映画さながらだ。8日、ゴーンの記者会見が予定されているという。日本の司法、とりわけ東京地検特捜部のやり方が国際的批判に一層さらされるだろう。そもそも、ゴーンを有罪にする証拠が十分であれば、長期勾留で自白を強要する日本的な“人質司法”は必要なかった》。

   『●《日本の司法は中世なみ》《日本の前時代的な刑事司法制度を
     笑われて「シャラップ」と言い放つ始末》…その司法からの逃亡

 《日本の司法は中世なみ》…その司法からの逃亡。《人権先進国》ニッポンでは、検察や警察という行政サイドの言い分は、証拠をキッチリと揃えているからこその《検察が起訴した際の有罪率は約99%》だったのではないのか? 《そもそも、ゴーンを有罪にする証拠が十分であれば、長期勾留で自白を強要する日本的な“人質司法”は必要なかった》。森雅子法相《司法の場で無罪証明を》…推定無罪原則が成り立っている国ならば、ゴーン氏に法廷で無罪を立証させるなんていう、法治国家では考えられない無茶をさせる必要もなかったはず。また、アベ様は、「日産内部で…」発言で《国策捜査》を自白したようなもの。

   『●教員について密告させ、労組を監視する=
        自公支持者の皆さんの大好きな「超・監視管理社会」
   『●「検察・警察も冤罪防止のために“前向き”」?…
       刑事訴訟法の「改正案が成立すれば、新たな冤罪を生む」
   『●青木理さん「供述が立証の柱…もっと物証が欲しい。
         「通信傍受を縦横無尽に使いたい。司法取引も」と…」
   『●《日本の刑事司法はおそろしいほどに後進的…代用監獄…
          人質司法》…さらに、司法取引まで投げ渡す大愚
   『●検察による恣意的・意図的な証拠の不開示、証拠の隠蔽や
             喪失、逆に、証拠の捏造…デタラメな行政
   『●《「自白の強要をされたという認識に変わりはない」と反論
         …いまだにこんな水掛け論になるのかと嘆かわしい》

 金子さんは、《公安警察・検察が安倍政権を支配していることに事の本質がある》と言います。《権力に近ければ、罪を犯しても逮捕されない…、特捜部は数々の政治案件を見逃してきた。…秋元逮捕は検察捜査に客観的基準がないことをかえって露呈させた。公正なルールがなければ、産業も経済もまともに機能しない》とも。
 一方、青木理さんは《…本来は一定の距離を保つべき政権と警察・検察が近づき過ぎるのは非常に危うい民主主義国家として極めて不健全な状態と言わざるを得ません》

   『●金子勝さん「安倍さん関連は検察も警察も一切動かない」
     「まるで犯罪者集団。泥棒だらけ」「来年は泥棒しませ~ん」

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https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/267212

金子勝 慶応義塾大学経済学部教授
1952年6月、東京都生まれ。東京大学経済学部卒業。東京大学大学院 博士課程単位取得修了。 法政大学経済学部教授を経て。2000年10月より現職。TBS「サンデーモーニング」、文化放送「大竹まことゴールデンラジオ」などにレギュラー出演中。『資本主義の克服 「共有論」で社会を変える』集英社新書(2015年3月)など著書多数。新聞、雑誌にも多数寄稿している。

金子勝の「天下の逆襲」
公正なルールがなければ産業も経済も機能しない
2020/01/08 06:00

 日産自動車前会長のカルロス・ゴーン被告の脱出劇には驚いた。スパイ映画さながらだ。8日、ゴーンの記者会見が予定されているという。日本の司法、とりわけ東京地検特捜部のやり方が国際的批判に一層さらされるだろう。

 そもそも、ゴーンを有罪にする証拠が十分であれば、長期勾留で自白を強要する日本的な“人質司法”は必要なかった。退任後に受け取る予定だった報酬を有価証券報告書に過少記載したとして金融商品取引法違反に問われているが、重大な罪であるとは思えない。ゴーンは日産トップ時代に報酬をつり上げるかたわら、4万人以上をリストラして職を失わせた。こうした経営手法がよいとは思わないが、司法は手続き上の公正さが求められる。やはり国策捜査と言わざるをえない。

 一方、司法取引で免罪されたといわれる西川広人前CEOは不正報酬を受け取り、退任後も本社に日参し、自分を追い落とした役員たちへの報復人事に執着していた。その西川と比べて、ゴーンの罪が重いのかは疑わしい。

 公安警察・検察が安倍政権を支配していることに事の本質がある。公安警察出身の杉田和博官房副長官が内閣人事局長を兼任して霞が関を牛耳り、外事警察出身の北村滋氏は内閣情報官から国家安全保障局長に昇進した。伊藤詩織さんの性暴力被害をめぐっては、加害者の山口敬之元TBS記者が北村に泣きつき、警視庁の中村格刑事部長(当時)が逮捕状執行を止めたと報じられている。権力に近ければ、罪を犯しても逮捕されない。その異常さはBBCなど海外メディアに報じられた。

 カジノ汚職をめぐる秋元司衆院議員の逮捕で10年ぶりの国会議員逮捕だと大騒ぎしているが、特捜部は数々の政治案件を見逃してきた。大臣室で現金を授受した甘利明元経再相、公選法違反疑惑の証拠となるハードディスクをドリルで破壊した小渕優子元経産相。関西電力の原発マネー還流問題では、受注企業から政治献金を受けた世耕弘成元経産相は官房副長官時代に原発再稼働の旗を振っていた。菅原一秀前経産相や河井克行前法相ばかりでなく、高市総務相萩生田文科相下村博文元文科相も公選法違反疑惑を報じられたが、特捜部が動いた気配はない。何より、森友疑惑で公文書を改ざんさせた佐川宣寿元国税庁長官でさえ無罪放免である。

 秋元逮捕は検察捜査に客観的基準がないことをかえって露呈させた。公正なルールがなければ、産業も経済もまともに機能しない汚いものを一掃する年にしなければ、この国の社会も経済も立ち直ることはできなくなる。
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●「完全に司法に影響を与えようとする露骨な圧力にほかならない…暴挙」…着々と司法を掌握した効果

2017年10月16日 00時00分37秒 | Weblog

[※ 「こんな人たち」 報道特集(2017年7月8日)↑]



リテラの記事【「籠池氏は詐欺を働く人物」発言だけじゃない! 最高裁判事に加計学園元監事を異例の抜擢…安倍首相は司法も私物化!】(http://lite-ra.com/2017/10/post-3509.html)。

 《第二次安倍政権以降、司法の独立は脅かされつづけている。というのも、政権を忖度したような判決が次々に下されているからだ…そして、なかでも忘れてはいけないのが、木澤克之氏だ。木澤氏は学校法人加計学園の元監事という経歴をもつ》。

   『●アベ様のオトモダチのオトモダチを最高裁判事に任命?  
                「政治判断」乱発の最「低」裁からも忖度?
   『●あのアベ様のオトモダチのオトモダチ・木澤克之氏…
        《2017年最高裁判所裁判官国民審査》を迎える!!
    「【2017年最高裁判所裁判官国民審査】によると、以下の7名だそうです。
      ①小池裕
      ②戸倉三郎
      ③山口厚 
      ④菅野博之
      ⑤大谷直人
      ⑥木澤克之
      ⑦林景一
     …最後にもう一度、思い出そう…《はたしてこれらは、単なる偶然なのか
     つまり、安倍首相は最高裁人事まで私物化し、“オトモダチのオトモダチ”
     のために、ポストを用意してやったのではないか。そういう疑念が
     頭をもたげてくるのである》。 」

 最早テレビで暴言をいくら吐いても、誰も問題にしなくなってしまったようです。「トンズラ総理」「国難総理」は「息吐く様に噓つく」「病的嘘つき」でもある。
 《時の最高権力者である総理大臣が、いち民間人を有罪と決めつけ、さらにマスメディアを通じて詐欺をはたらいたと連呼するのは、完全に司法に影響を与えようとする露骨な圧力にほかならない。こんな暴挙が許されるわけがないが、ようするに、司法の独立という近代国家の大原則すら、この宰相は守っていないのである》…人治主義国家の「国難」な「裸の王様」アベ様が、着々と司法を掌握した効果がジワジワと。《最高裁判事まで私物化》している。いまや、最「低」裁を頂点に、様々な司法判断を放棄…。もはや政治判断乱発なのは当たり前な酷い状態だ。こんな司法の状況下、「ヒラメ」な裁判官は、上を見て、忖度するに決まっている。

   『●「沖縄の大衆運動そのものを取り締まっていく
       国策捜査だと思う」…山城博治さん「予防拘禁、プレ共謀罪」
   『●沖縄でのプレ「平成の治安維持法」実験…
      《実験の結果、今の国民の無関心は国に自信を与えてしまった》

   『●「誰が見ても安倍政権による政治的弾圧」…
      山城博治さん「沖縄の大衆運動を潰す政府の方策」
   『●「基地の偏在を沖縄が訴えても「裁判所はほとんど答えない」」…
                「政治判断」しかできない司法の悲劇
   『●レトリックを吹聴する…「政治判断」乱発な最「低」裁を
          頂点とする裁判所の劣化がニッポンをメルトダウン
   『●最「低」裁(鬼丸かおる裁判長)、
     沖縄に弁論もさせずに「政治判断」…「司法判断」出来ない死んだ司法
   『●斎藤貴男さん「人権を否定することに喜びを感じている変質者集団」
                    …「人権の砦」のはずが最「低」裁…
   『●「森友、加計、準強姦事件の3つ…諸悪の根源である
             “主犯”は目の前にいるのだ」=アベ様御夫妻

 司法まで手中にし、法治国家が終焉…三権分立も破壊してしまったアベ様。
 2017年10月衆院選、構図は単純な「2極」。〔与党自公+癒党お維キト〕 対 〔真の野党〕 …「2極」のどちらに投票すべきか、もはや明白でしょう。「地獄」へ投票するのか「平和な未来」を志向するのか? さあ、絶対に選挙に行きましょう! そして、2017年最高裁判所裁判官国民審査にも、必ず参加しましょう
 少なくとも「×」をつけるべき方は明らかなはず。木澤克之氏らの「罷免を可とする票」=「×」の割合が有効票数の過半数に達する、なんていうこと【奇跡】は起きないものでしょうか…。

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http://lite-ra.com/2017/10/post-3509.html

「籠池氏は詐欺を働く人物」発言だけじゃない! 最高裁判事に加計学園元監事を異例の抜擢…安倍首相は司法も私物化!
2017.10.13

     (首相官邸HPより)

 「籠池氏は詐欺をはたらく人物」──安倍首相が、11日に出演した『報道ステーション』(テレビ朝日)で発した言葉がいま、波紋を呼んでいる。
 籠池泰典氏の逮捕については、国の補助金不正受給に詐欺罪を適用することに対し法律関係者からも疑問の声があがっていた。だが、そもそも籠池氏は公判もまだ始まってすらおらず、判決も下されていない状態だ。にもかかわらず「詐欺をはたらく人物」と決め付けることは、推定無罪という司法の基本中の基本である大原則を無視した発言だ。
 しかも、安倍首相はこのとき「(籠池氏が)こういう人だから(昭恵夫人は)騙されたのだろう」と述べている。ようするに、昭恵夫人の関与をごまかすために、籠池氏を有罪判決が出た「詐欺師」であるかのように喧伝したのだ。よりにもよって、総理大臣がテレビの党首討論で、である。
 進行中かつ未確定の司法案件について、時の最高権力者である総理大臣が、いち民間人を有罪と決めつけ、さらにマスメディアを通じて詐欺をはたらいたと連呼するのは、完全に司法に影響を与えようとする露骨な圧力にほかならない。こんな暴挙が許されるわけがないが、ようするに、司法の独立という近代国家の大原則すら、この宰相は守っていないのである。
 だが、第二次安倍政権以降、司法の独立は脅かされつづけている。というのも、政権を忖度したような判決が次々に下されているからだ。
 たとえば、今回の衆院選と同時におこなわれる最高裁判所の裁判官に対する国民審査では7名の裁判官が審査を受けるが、そのなかのひとりである小池裕氏は、NPO法人による森友学園問題で国側が持つ交渉記録等の証拠保全の申し立てについて、最高裁の裁判長として保全を認めなかった高裁判断を支持し、抗告を棄却した。また、菅野博之氏は、昨年、沖縄の辺野古新基地建設をめぐって翁長雄志知事が国を訴えた上告審で、全員一致で県側の上告を棄却した判事のひとりだ。
 そして、なかでも忘れてはいけないのが、木澤克之氏だ。木澤氏は学校法人加計学園の元監事という経歴をもつ。本サイトでは今年3月に報じたが、岡山理科大学の獣医学部新設をめぐって問題になっている安倍首相と加計孝太郎理事長のオトモダチ関係が、木澤氏の最高裁判事任命にも何らかの影響を及ぼしたのではないかという疑惑が浮上したのだ。


異例中の異例の抜擢…安倍首相は最高裁判事まで私物化している?

 もともと木澤氏は東京弁護士会所属の弁護士で、昨年、定年退官した最高裁判事・山浦善樹氏の後任として任命されたのだが、2013年から加計学園の監事を務めていた。実際、昨年の最高裁人事が発表された直後には、加計学園はホームページで〈学園の監事であられた木澤克之氏が(略)7月19日付で最高裁判所判事に任命されることが決定しました 学園としても大変名誉なことであり、心よりお祝い申し上げます〉と祝福している。
 木澤氏は加計理事長と立教大学の同窓で、卒業年も同じ。二人が学生時代からの深い付き合いだった可能性は高い。しかも、木澤氏が最高裁判事に就任してすぐの昨年7月21〜22日には、安倍首相が加計理事長と食事をし、ゴルフを楽しんでいる。さらに言えば、立教大出身の最高裁判事は史上初めての“快挙”だ。
 これらはたんなる偶然なのか。つまり、安倍首相は最高裁人事まで私物化し、オトモダチのオトモダチのためにポストを用意してやったのではないか。そういう疑念をもたれてもおかしくはない。
 ただ、いくら安倍首相でも、最高裁にまで“オトモダチ人事”を強引に進めてくるとはにわかに信じがたい、そう思う向きもあるだろう。しかし、実際に最高裁人事をめぐっては、第二次安倍政権になってから政治介入が露骨になってきたとの指摘がある。
 そもそも、法的には最高裁判事の任命権は内閣にあるが、もともと15名の最高裁判事の人事は長年の「慣例」として、前職が裁判官、検察官、学識者、弁護士などという出身枠が存在してきた。そのうち裁判官枠は最高裁判所が選び弁護士枠は日本弁護士連合会が複数の候補者リストを推薦し、そこから内閣府が人選することになっている。
 この「慣例」についてはもちろん批判もあるのだが、一方で時の政治権力による人事介入を防ぎ、司法の独立を担保するのに役立っているとも言われている。ところが、第二次安倍政権はその「出身枠」を強権的に無視することで司法にプレッシャーを与えているのだ。
 朝日新聞3月2日付によれば、第二次安倍政権の最高裁人事では、たとえば定年退官する職業裁判官1枠に対し、これまで行政の最高裁担当者が1人の候補を提示していたのを、2人の候補をもってくるように指示したという。任命する内閣に選択肢を設け、内閣による最高裁人事の恣意性を強めようとしたのは明らかだろう。
 また、今年1月の人事発表では、任期終了で交代する判事2名のうち、ひとつは“弁護士枠”であったにもかかわらず、安倍内閣は日弁連推薦の候補者をはずし、その後任に刑法学者の山口厚氏をあてた。山口氏は一応弁護士資格を持ってはいるが、取得してわずか1年足らず。事実上の“学識者枠”の拡張であり、弁護士枠の削減だった。そんなところから、法曹界では「官邸による最高裁への人事介入ではないか」と恐れられ、安倍政権を忖度した判決が連発されるのではと危惧する声が上がったのだ。
 木澤氏の任命は昨年のことであり、今年のごり押し人事の前の話だが、こうした安倍政権による司法への介入の実態を考えると、木澤判事が加計学園とつながる人物であることが、判事任命の決め手になった可能性は決して低くない。
 少なくとも、安保法特定秘密保護法沖縄米軍基地問題など、安倍政権の政策や方針には憲法訴訟や行政訴訟のリスクがつきまとっている。そこで、個人的信頼の厚い加計学園の関係者ならば自分の意向を判決に反映させるだろうとの思惑を働かせ、“弁護士枠”のリストのなかからあえて木澤氏をピックアップした。そうだったとしても不思議はないだろう。


実際に木澤氏は「安倍政権を忖度」するような判決を下していた

 事実木澤氏は、最高裁判事として行政側に有利な判断を下しているたとえば、2014年に金沢市が同市役所前広場で陸上自衛隊パレードに対する反対集会の開催を認めなかったのは、表現の自由を担保する憲法に違反するとして、集会を計画した市民団体が損害賠償を求めた訴訟だ。この訴訟をめぐっては、一審の金沢地裁が市による不許可は違憲でないとして請求を棄却。二審の名古屋高裁金沢支部もこれを支持した。
 そして今年8月、木澤氏は最高裁の裁判長として、市民団体側の上告を退ける決定を出し、敗訴を確定させたのである。
 繰り返すが、森友問題での交渉記録保全申し立ての却下にしても、辺野古新基地建設での県側の敗訴にしても、自衛隊パレード反対集会拒否の合憲判断にしても安倍政権のもとで任命された最高裁判事たちの多くは、まるで政権の意向を忖度したかのような決定を下している
 それは、前述のように安倍政権が司法に対する強い人事介入の動きを見せていることも原因のひとつだ。安倍首相こそが司法の独立をないがしろにし、自分の意に沿うようコントロールしようという欲望をむき出しにしているのである。
 有権者は政権を忖度する不当判決を起こさせないよう、最高裁裁判官の国民審査を通じ、その意思を表明することはもちろん、政治権力による露骨な司法への介入・圧力に対しても、毅然とNOを突きつける必要がある。

(編集部)
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●防犯カメラと云う監視カメラ: 「監視カメラを覗くのは誰か」?

2015年04月02日 00時00分27秒 | Weblog


東京新聞の記事【顔認証でスムーズ 成田、運用開始】(http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/news/CK2015033002000233.html)。

 「新システムでは通行人の顔を認証できる約百九十のカメラを駅や旅客ターミナルなどに備え、道路や駐車場には車両ナンバーを記録できる約百四十のカメラも設置・・・・・・身分証を準備する手間がなくなったのは便利。これまで以上にテロ対策を徹底してほしい」。

 テロが減る? ホント? なんか怖い「世界」なんですが?? 「防犯カメラと云う監視カメラ」。

   『●『日本の公安警察』読了(2/2)


   『●『創(2009年4月号)』(2/2)
     「森達也さん「極私的メディア論 第41回/セキュリティ意識と
      刑事司法」・・・・・・小説『東京スタンピード』で、「・・・オオカミが来たと
      言い続ければ、そしてオオカミが来たと多くの人が思い続ければ
      実際にオオカミは来るのです」。マスコミの過剰な喧伝、
      街中にあふれる防犯カメラと云う監視カメラ、道路にはNシステム
      「安全を保障するはずのセキュリティが、逆に治安を悪化させる。
      皮肉といえばこれ以上の皮肉はない」」

   『●『分断される日本』読了(1/3)
     「斎藤貴男著・・・・・・
      「第1章 構造改革の先にある「封建社会」」、
      「第2章 監視カメラを覗くのは誰か」、
      「第3章 格差拡大がホープレス社会を招く」、
      「第4章 市民階層が分断されゆく」、
      「第5章 この息苦しさは何だろう」」

   『●『安心のファシズム ―支配されたがる人びと―』読了
     「斎藤貴男著・・・・・・
      第一章「イラク人質事件と銃後の思想」、
      第二章「自動改札機と携帯電話」、
      第三章「自由からの逃走」、
      第四章「監視カメラの心理学」、
      第五章「社会ダーウィニズムと服従の論理」、
      第六章「安心のファシズム」」

   『●森達也さん「組織全体の病理と民意の後押し」
     「・・・・・・殺人事件の件数は毎年のように戦後最少を更新しているのに、
      人口比においては世界で最も治安のよい国といえるのに、
      メディアの過剰な事件報道によって体感治安が急激に悪化し始めた
      のはこの頃だ。街には監視カメラや特別警戒実施中などの掲示が
      増殖し、自警団や市民パトロールの数は急激に増え、厳罰化が
      進行し始めたのも同時期だ」

   『●『東京番外地』読了
     「・・・・・・氏と監視カメラ(p.43)。「・・・こんな理由で尾行されては
      たまらない。・・・明らかな悪意・・・」。推定無罪原則のあまりの軽視」

   『●『自然と人間』(2014年11月号、Vol.221)についてのつぶやき
     「森達也さん【第104回つぶやくニッポンの街角 誰が誰に何を言ってんの?】、
      「高飛車な口調・・・・・・こちらは新宿警察署です・・・・・・通行の妨害です。
      すぐやめなさい・・・・・・管理され統治されることに・・・・・・
      すっかり慣れてしまった。監視カメラもその一つ」」

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http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/news/CK2015033002000233.html

顔認証でスムーズ 成田、運用開始
2015年3月30日 夕刊

     ((上)午前中、成田空港の車両入場ゲートで車両を止め検問する
      警備員(下)正午ごろ、新警備システムに切り替わるとスムーズに
      車両入構が始まった=30日)

 成田空港で三十日、一九七八年の開港以来続けてきた利用客らの身分証を確認する検問が廃止され、不審者の動きを把握するため、顔認証機能を持つカメラなどを配備した新しい警備システムがスタートした。

 成田国際空港会社(NAA)によると、新システムでは通行人の顔を認証できる約百九十のカメラを駅や旅客ターミナルなどに備え、道路や駐車場には車両ナンバーを記録できる約百四十のカメラも設置。爆発物探知犬を導入して巡回も強化する。

 正午ごろ、新システムに切り替わると、車両入場ゲートでは遮断機が上がったままになり、大型バスなどがスムーズに入構。駅でも身分証を確認する警備員の配置がなくなり、利用客らは立ち止まることなく出発ロビーなどへ向かった。

 子ども二人と福岡市に帰省する東京都墨田区の主婦・・・・・・さん(39)は「身分証を準備する手間がなくなったのは便利。これまで以上にテロ対策を徹底してほしい」と話した。
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●『自然と人間』(2014年3月号、Vol.213)についてのつぶやき

2014年03月09日 00時00分15秒 | Weblog


自然と人間』(2014年3月号、Vol.213)の最新号について、最近のつぶやきから、AS@ActSludge。

 最も注目の記事は、山口正紀さん【「筋弛緩剤点滴殺人」という虚構 ヤマ場を迎えた北陵クリニック事件再審】と今中哲二さん【放射能汚染とどう向かい合うのか 前編 放射能汚染の情報隠しが被害を拡大させた】。

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■①『自然と人間』(2014年3月号、Vol.213) / 森達也さん【第96回つぶやくニッポンの街角 誰が誰に何を言ってんの?】、「いつのまにこれほど懸賞金付きの指名手配が増えたのだろう。ほとんど西部劇の世界だ・・そもそも推定無罪推定原則からすれば・・もっと議論されるべきだった」

■②『自然と人間』(2014年3月号、Vol.213) / 森達也さん【・・誰が誰に何を言ってんの?】、「・・というわけで、国内の治安対策や隣国に強い態度を示す元自衛官の田母神候補への支持が強くなる。あーあ。書きながら力が抜ける。救いのない三段論法だ」。「無関心の責任」(http://blog.goo.ne.jp/activated-sludge/e/a0ec683a189b11df3c34e8f1e0bc126c

■③『自然と人間』(2014年3月号、Vol.213) / 森田実さん【東京都知事選の総括と今後の課題】、厳しい総括、「結論から言えば、・・安倍晋三首相を調子づかせ、安倍政治の暴走をさらに後押しするという、平和と民主主義と基本的人権尊重の政治を愛する日本国民にとって最悪の結果

■④『自然と人間』(2014年3月号、Vol.213) / 島田興生氏【ビキニ事件から60年、避難島民のいま】、「放射能汚染残る島への帰郷・・子どもたちは被ばくし続けている」、「第五福竜丸・・周辺にいた約800隻の被ばくも明らかに」。映画『放射線を浴びた『X年後』』(http://blog.goo.ne.jp/activated-sludge/e/8048da440ef992da9c1fdd4c4685c149

■⑤『自然と人間』(2014年3月号、Vol.213) / 今中哲二さん【放射能汚染とどう向かい合うのか 前編 放射能汚染の情報隠しが被害を拡大させた】、「事故が起きてもスピーディーのことが報じられないので、てっきり地震でシステムがつぶれたと思っていました・・政府がそれを活かさなかった」

■⑥『自然と人間』(2014年3月号、Vol.213) / 山口正紀さん【筋弛緩剤点滴殺人」という虚構 ヤマ場を迎えた北陵クリニック事件再審】、「恐怖の点滴男に仕立てた大誤報・・筋弛緩剤の点滴では人を殺せない・・再審請求で決定的な新証拠提出・・矛盾をさらけ出した検察の「意見書」」

■⑦『自然と人間』(2014年3月号、Vol.213) / 山口正紀さん【筋弛緩剤点滴殺人」という虚構 ヤマ場を迎えた北陵クリニック事件再審】、「注目される仙台地裁の判断」、「「冤罪を雪(そそ)」と書いて雪冤(せつえん)。そんな雪が一日も早く降ることを、筆者も祈っている」。その背後(http://blog.goo.ne.jp/activated-sludge/e/4443c18f725cc3d55ed231e44d57db68

■⑧『自然と人間』(2014年3月号、Vol.213) / 五十嵐仁氏【労働者に実質賃金低下を強いる経営者団体 日本経団連『経営労働政策委員会報告』批判】、「非正規労働者の待遇が悪化する・・「限定正社員」は正社員の有期雇用化」。会長はもちろん、あの「老残」米倉弘昌氏(http://blog.goo.ne.jp/activated-sludge/e/83d757fef46ee2a77424c41905a08d7e

■⑨『自然と人間』(2014年3月号、Vol.213) / 五十嵐仁氏【労働者に実質賃金低下を強いる経営者団体 日本経団連・・】、「さらなる長時間労働が強いられる・・原発政策をめぐる資本の対立・・日本の産業を交配させる道だ」。あの「老残」米倉弘昌会長は原発大推進派http://blog.goo.ne.jp/activated-sludge/e/bbd454decf606e18e45b2bb2400acafa

■⑩『自然と人間』(2014年3月号、Vol.213) / 安達修氏【普天間飛行場の辺野古移設にノーを突きつける 沖縄県民の気概と誇りをしめした名護市長選】、「金と権力で恫喝する政府・自民党・・もう一人の敗者・仲井真知事」。次の県知事選では選択を誤っていはイケナイ(http://blog.goo.ne.jp/activated-sludge/e/fdc6a10535a8a00886c61fd0d4f9afd3

■⑪『自然と人間』(2014年3月号、Vol.213) / 【大谷昭宏の言いたい放題/都知事選は原発推進派の舛添さん勝利 候補一本化とワンイシューが中途半端の結果 電力一大消費地東京は核のゴミも引き受けるべき】、「舛添さん当選に電力会社は大喜び」。斎藤美奈子さんの総括(http://blog.goo.ne.jp/activated-sludge/e/de7db62d22c10fb741110ce684ca2a67
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●書籍紹介『20人の識者がみた 「小沢事件」 の真実 捜査権力とメディアの共犯関係を問う』

2013年08月30日 00時00分51秒 | Weblog


長々と全文引用させてもらっており、すいません。原文は、NPJ(http://www.news-pj.net/index.html)に出ていた記事【「小沢事件」 の真実権力の暴走とメディアの加担による民主主義の破壊】(http://www.news-pj.net/npj/kimura/20130814-ozawajiken.html)ですので、是非そちらをご覧ください。

 このような本が出版されていること、全く気づきませんでした。最近は、書店に足を運べる機会が激減し、読書量もそれに引きづられ激減してしまいました。
 何度も書いてきましたが、ブログ主は小沢一郎氏が好きではありません。でも、それとこの「小沢問題」は別です。おそらく、もはや小沢氏の復権は無いでしょう。とはいっても、ブログ主は自民党の復権は無いと思っていましたので、小沢氏の復権の可能性についても大した根拠があるわけではありませんし、確度も高くはないでしょう。

   『●小沢裁判控訴審: すべての証拠採用が却下され、即日結審
   『●小沢裁判、控訴棄却
   『●小沢裁判、控訴棄却のまともな記事が少なすぎる
   『●小沢氏元秘書裁判の暗黒
   『●政治的なトドメかな・・・・・・マスコミや裁判所によるこんなことが許されていいの?
   『●期ズレと証拠捏造、どちらが重要な犯罪なのか?

 この「小沢問題」で気に入らないのは、結局のところたかが「期ズレ」で、あれだけのバカ騒ぎをしたマスコミや自民党・民主党の議員、検察や(イカサマ)検察審査会メンバー・・・・・・が、小沢氏を政治的に〝抹殺〟しておきながら、「知らんぷり」を決め込んでいることです。その〝抹殺〟に、あるいは、その〝抹殺〟により生じた政治的な結果に、意識的かあるいは無意識にかは知りませんが、彼らは無自覚であることです。彼らは、小沢氏の政治生命を抹殺するという一点のみに浮かれて、バカ騒ぎを行いました。その無茶苦茶ぶりに、小沢一郎氏嫌いのブログ主も無性に腹が立つ訳です。
 下記の記事で紹介されている本書にはその辺の全てのことがおそらく網羅されていると思うのですが、本書をマスコミが取り上げてくれることはおそらくないでしょうから、ますます絶望的な気分になります。

   『●魚住昭さんが記者生命をかけて断言 ~小沢一郎氏関連裁判~
   『●小沢裁判、終わりの始まり?
   『●小沢裁判、検察の問題であると同時に、癒着したマスコミの問題

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http://www.news-pj.net/npj/kimura/20130814-ozawajiken.html

2013.8.14
「時代の奔流を見据えて──危機の時代の平和学」
木村 朗 (きむら あきら、鹿児島大学教員、平和学専攻)

NPJ特別寄稿
「小沢事件」 の真実 権力の暴走とメディアの加担による民主主義の破壊

  この8月に鳥越俊太郎氏と私との共編著 20人の識者がみた 「小沢事件」 の真実 捜査権力とメディアの共犯関係を問う が、日本文芸社から出版されることとなりました。本書の目的は、この日本中を4年近くずっと揺るがせた、いや今もゆるがせ続けている小沢問題(「小沢事件」)の本質と全体像を現時点であらためて多様な角度から考察することにあります。本書を一読していただければ、いまの日本の司法・政治がどれほど深刻な危機に陥っているか、あるいは日本はすでに法治国家・民主国家ではなく暗黒社会・全体主義国家(ファシズム)に移行しつつあるのではないかという問題提起の意味が分かっていただけると思います。

  執筆陣は、共編者である鳥越俊太郎氏をはじめ、三井環仙波敏郎、鈴木宗男、佐藤栄佐久石川知裕植草一秀郷原信郎、川内博史、有田芳生、小川敏夫、八木啓代、青木理、高野 猛、二木啓孝山口一臣神保哲生浅野健一、マーティン・ファクラー各氏などこの問題に精通した蒼々たる方々に加わっていただいています。

  本書には小沢一郎衆議院議員(生活の党代表)から貴重な序言を寄せていただいています。また、孫崎 享先生(元外務省国際情報局長)からも 「政治的謀略としての小沢問題をここまで多角的に検証した本は初めてだ」という力のこもった帯の言葉をいただきました。

  本書が、小沢問題(「小沢事件」)の解明にどこまで成功しているか、そしていままさに危機に瀕している民主主義の再生に寄与できるかどうかは、読者の皆さんにお任せするしかありません。しかし、前回のNPJ特別寄稿 「日本は真の独立国家なのか 『終わらない〈占領〉』 を問う」 でご紹介させていただいた孫崎享氏と私の共同編著 『終わらない〈占領〉: 対米自立と日米安保見直しを提言する!』(法律文化社 書評はこちら )と同じく、現在の政治状況に一席を投じるだけでなく、日本の戦後史にとっての貴重な歴史的文書・資料としての価値をもっていると確信しています。

  この8月に来日されたアメリカのオリバー・ストーン監督がピーター・カズニック先生(アメリカン大学)と共同で作られた 「もうひとつのアメリカ史」は、アメリカ現代史の暗部を明らかにした作品(映画と本)であり、アメリカしに限らず、世界の現代史に対する大きな貢献だと思います。またそれは、日本の戦後史の<影の部分>に挑戦した孫崎享氏の 『戦後史の正体』(創元社)と 『アメリカに潰された政治家たち』(小学館)、あるいは鳩山由紀夫氏、孫崎 享氏、植草一秀氏の3者による共著 『「対米従属」という宿痾(しゅくあ)』(飛鳥新社)とともに、これまでタブー視されてきたテーマ・問題を解明しようとしている点で共通点があり、大きな歴史的意義があると思います。日米両国において期せずして同じ時期にこのようなこれまで語られなかった(教えられなかった)歴史の真実が明らかにされようとしていることは決して偶然ではないと思います。

  いまの日本内外の状況は、1930年代の戦争とファシズムの時代状況にかなり近づきつつあるといっても過言ではありません。こうした閉塞状況を克服・打破していくためにも、わたしたち一人ひとりが思考停止状態から脱してまずは知ることからはじめる必要があるのではないでしょうか。


☆鳥越俊太郎・木村 朗共編 『20人の識者がみた「小沢事件」 の真実 捜査権力とメディアの共犯関係を問う』(日本文芸社)の目次・構成目次は以下の通り。

序言 小沢一郎
序章 鳥越俊太郎

第1章 被害者たちが証言する 「国策捜査」 の実態
  三井環 検察がつぶれる 「最大の弱み」 を告発
  仙波敏郎 「暴力組織」 に成り下がった検察、「既得権益」 にしがみつくメディア
  鈴木宗男 権力とメディアの暴走を許さない
  佐藤栄佐久 原子力帝国・全体主義国家に変貌する日本
  石川知裕 日本の民主主義のため最後まで闘う
  植草一秀 小沢裁判事件の評価と主権者がとるべき行動

第2章 民主主義の危機、「検察」の暴走を検証する
  郷原信郎 陸山会事件における検察とメディアの暴走
  川内博史 法務・検察官僚に組織としての正義派あるか?
  有田芳生 政治的冤罪事件「小沢ケース」の奇々怪々
  小川敏夫 検察の暴走と「指揮権発動」の真相
  八木啓代 検察の暴走・司法の崩壊に、市民に何ができるか
  青木 理 暴走検察の背後にある刑事司法の巨大な歪み

第3章 なぜ、大メディアは「検察」の暴走に加担したのか
  高野 孟 革命的改革を阻止した官僚と、それに手を貸したマスコミ
  二木啓孝 「アンチ小沢という空気」の正体
  山口一臣 「週刊朝日」と大手メディアの違いはどこから生じたのか
  神保哲生 民主統制なき刑事司法に、メディアが最後の砦になれないことの悲劇
  浅野健一 小沢事件をメディアはどう報じてきたか
  マーティン・ファクラー 官僚機構の一部と化したメディアの罪

終章
  木村 朗 検察の暴走とメディアの加担―小沢問題の意味を問う

小沢関連問題の参考文献



     序 言         小沢 一郎

  昨年(2012年)11月12日に東京高裁・控訴審で無罪判決が出され、その後に検察官役の三人の指定弁護士が上告を断念した結果、陸山会事件に関する私の無罪判決が確定しました。私にとっては、この三年七か月余りに及ぶ、検察の捜査と裁判の日々は本当に忍耐の毎日であり、大変厳しい試練の月日でした。国民の皆さんの支援や励ましがなければ、到底この重圧に耐えることはできなかったと思います。これまで私を信じ、励ましてくれた多くの国民の皆さんに、この場をお借りして心から感謝したいと思います。
  しかし、陸山会事件での私の元秘書3人(石川知裕氏、大久保隆規氏、池田光智氏)に対する不当な有罪判決が今年に入って出されました。また、検察審査会への捜査報告書を捏造した検事が不起訴処分となっています。私や秘書たちに対するいわれなき誹謗中傷や理不尽な人物攻撃などもいまもかたちをかえて続いています。その意味で、この陸山会事件はまだ終わったなどとは到底いえるような状態ではありません。

  本書には、いわゆる 「小沢問題(捜査・事件・裁判)」 ともいわれる私・小沢一郎と私の3人の秘書に向けられた 「政治とカネ」 をめぐる問題の背景・経緯と本質・核心がそれぞれの論者によって詳細かつ明確に分析・叙述されています。多くの論者は、小沢問題は単なる刑事(えん罪)事件ではなく、その背景には何らかの政治的意思を持ったある特定の個人・集団が検察と司法を暴走させ、それにメディアが加担した結果として作られたものであると結論付けておられます。
  こうした見方にはじめて接せられる多くの読者の方は、きっと驚かれるかもしれません。ただ、本書を一読していただけるならば、これまで取り沙汰された私に対する疑惑のほとんどが何ら根拠のないものか、まったくの誤解に基づくものであることに同意していただけるのはないかと思います。

  私自身も今回の一連の事件や裁判の本質や背景については思うところはございますが、ここではそれは申し上げません。何らかの特定の思惑を持って行動した人たちや、不公正な言動をした人たちに対しては、いずれ国民が判断を下すものと考えています。そういうことで、国民の裁き、天の裁きにお任せしたいと思います。この検察審査会を通じて強制起訴にいたった経過も、すでに国民の皆さんがよくよく自分の目で見て、耳で聞いて分かっていることと存じます。

  ここで申し上げたいことは、いまの日本は独立した主権国家でも、真の民主主義国家でもないということです。特に、捜査当局による公権力の濫用とメディアの加担という状況は、日本の民主主義と法治主義にとって最大の脅威となっていると言わねばなりません。私が本当に心配しているのは、日本の民主主義そのものの危機であります。まさにいつか来た道と同じ状況にさしかかっています。いままさに滅亡への道を歩んでしまっている現状をただこのまま黙って見過ごすことはできません。これはいま現在、すべての日本人が本当に真剣に考えなければならないことです。
  私は本当の議会制民主主義を定着させることにこれまで自分の政治生命をかけてきました。日本を真の意味での独立国家にすることも私の長年の夢です。他国の意向を忖度するだけの主体性なき外交・政治や思考停止状態のメディアと国民も変わらなくてはなりません。
  私にはまだまだやらなければいけないことがたくさん残っています。微力ではありますが、これから日本に民主主義と自主独立を実現するために全力投球で頑張ることを国民の皆さまにお約束します。

  最後に、本書を世に出すことに尽力されたすべての関係者の皆さま方に深く感謝いたします。本書がより多くの人々に読まれて、こうした日本が直面する深刻な現状と課題について共通の問題意識を一人でも多くの国民がもつようになることを心から願っています。



     まえがき       共同編者 鳥越 俊太郎、 木村 朗

  今年(2013年)3月7日夜、東京・池袋にある豊島公会堂において 「小沢一郎議員を支援する会(日本に真の民主主義を実現する会、代表世話人 伊東章弁護士)」が主催する 「小沢一郎議員の無罪判決確定報告と石川知裕、大久保隆規、池田光智元秘書の無罪を勝ちとる国民大集会」 が開催されました。この国民大集会は、昨年11月12日の東京高裁での小沢一郎氏への陸山会事件での無罪判決とその確定(検察官役の指定弁護士による上告断念)を受けて開かれる予定でしたが、急激に変動する政局の中での突然の解散・総選挙によって延期されていたものでした。

  満場の参加者から大きな拍手を受けながら登壇した小沢一郎氏は、「日本の民主主義を守るために私を本当に熱い思いで支援し、激励してくださった皆さんのおかげで、小沢一郎を抹殺しようとした法務・検察官僚の思惑を打破することができました。私がこの会に出席させていただいたのは今日が初めてです。本当に皆さんが日本の将来を心配し、今日も会場いっぱいの皆さんが来てくださいました。私自身は終わったが、秘書裁判がまだ続いております。これからも皆様のお力添えをいただきたい」と述べて深々と頭を下げました。

  この間に小沢一郎氏とその秘書たちの身に起こった出来事は、いったい何であったのでしょうか。またそれは、日本の政治と社会のあり方にどのような影響を与えたのでしょうか。

  本書の目的は、この日本中を4年近くずっと揺るがせた、いや今もゆるがせ続けている 「小沢問題」 の本質と全体像を現時点であらためて多様な角度から考察することにあります。

  小沢問題(あるいは小沢事件・捜査・裁判)ともいわれる、小沢一郎氏をめぐる 「政治とカネの問題」 は、西松建設事件(2009年3月3日の小沢一郎議員公設第一秘書の大久保隆規氏逮捕)にはじまり、陸山会事件(2010年1月15日の石川知裕議員、大久保隆規氏、池田智光氏ら3人の秘書逮捕)へと続き、小沢裁判(2010年9月14日の東京第五検察審査会での2度目の 「起訴相当」 議決による強制起訴)へと展開しました。

  結局、西松建設事件は裁判途中の不可解な 「訴因変更」 によって事実上立ち消えとなり、陸山会事件では、小沢一郎氏の無罪判決は2012年11月19日に確定したものの、検察審査会をめぐる捜査報告書の捏造をはじめとする様々な謎はいまだに解明されずに残されたままです。また、3人の秘書裁判では2013年3月13日に控訴審でも再び有罪判決が出されて、石川知裕氏(5月21日に議員辞職願を衆議院が許可)が単独で上告しており、まだ最終的な決着はついていません。

  カレル・ヴァン・ウォルフレン氏(オランダ人研究者・ジャーナリストで、日本の政治・官僚制度の専門家)は、「小沢氏という政治家への “人物破壊” の一連の動きには、ある密約が存在している事実が見えてくる」とし、その 「密約を取り交わしたのは日本とアメリカであり、その恩恵を受けるのは両国の政治エリートたちである」、「省庁の高級官僚と、ビジネス界やメディア界の幹部からなる日本の政治エリートは、決して純粋な意味での日本の独立を求めようとはしない。それどころか、彼らは、アメリカ政府が日本の超法規的で非公式な権力システムの存続を支援してくれる見返りに、日本を引き続きアメリカに隷属させようとしているのである」と小沢問題の核心をずばり突いています(ウォルフレン著 『人物破壊 誰が小沢一郎を殺すのか?』 角川書店、を参照)。

  また、元参議院議員で小沢氏の盟友でもある平野貞夫氏は、その著書 『小沢一郎 完全無罪-「特高検察」 が犯した7つの大罪』(講談社)の中で、「小泉政権は、経済の構造改革をする一方で、日本の社会に格差と停滞をもたらしたと厳しい批判がある。それもさることながら、公訴権による国策捜査により、国家統治の基本を狂わせたと私は論じたい」、「“検察の裏金” を封印するため、取材当日に三井環元大阪高検をでっち上げ逮捕し、マスコミを操って極悪検事の虚像を作り上げ、三井氏を無実の罪に落としいれた。本来、正義をなすべき司法が、世間の批判を怖れ、時の権力者 “自民党” の番犬となった。三井環氏のいうところの “けもの道” に落ちた訳だ」 など、当事者しか知り得ない内情を率直に語っています。検察の裏金問題を実名で告発しようとした三井環氏を “口封じ” 逮捕したことが、その後の村上正邦氏、鈴木宗男氏(・佐藤優氏)、村岡兼造氏、緒方重威氏、佐藤栄作久氏、村木厚子(・石井 一)氏、小沢一郎氏(あるいは植草一秀氏や堀江貴文氏)などへの “国策捜査” につながる検察の暴走のきっかけとなったという重要な指摘です。小沢氏の政治資金団体の元資金管理責任者であっただけに、その言葉には非常に説得力があります。

  とりわけ注目されるのは、平野氏がその著書の文庫版 「まえがき」 で次のように述べていることです。

≪「小沢問題」 を通じて私に見えてきたものとは、いま日本に 「新しいファシズム」 が展開しはじめたということである。「ファシズム」 の教科書的定義は、「資本主義が危機的状況になると、権力が暴力装置を活用して議会制民主主義による政治の機能を失わせ、独裁的政治を展開する」ということだ。(中略)21世紀ではファシズムの定義も再考が必要である。繰り返しになるが、「小沢問題」 での大手マスコミの報道は、検察の根拠なきリークだけでなく、捏造された「事実」 が次から次へと報道され、その異常さは 「社会心理的な暴力」 といえるものだった。≫

  まさに 「小沢問題」 の本質は、権力(特に検察と司法)の暴走とメディアの加担による 「ある種の政治的謀略」、「静かな政治的クーデター」 であり、その背後に「新しいファシズム」 が胎動し始めているということではないでしょうか。

  今の日本における最大の問題は、権力犯罪の発生、すなわち公権力が恣意的に濫用されたときにそれを裁くシステムが存在していないこと、そして権力の暴走を監視・批判するはずのメディアがその役割を放棄していま起きている出来事の本質・真相を伝えないことです。そして、いまの日本は、本当に民主主義国家なのか、また真の独立国家といえるのかがまさに問われているのです。

  本書には、「冤罪」 「国策捜査」 の当事者自身からの証言だけでなく、司法とメディアに精通した選りすぐりの論者による数多くのすぐれた深い分析・洞察が収められています。まさに本書自体がそのまま貴重な歴史的文書・資料となっていると言っても過言ではありません。本書を一読すれば、多くの読者は、テレビや新聞を通じて報じられてきたものとはまったく別の見方があることを知って、それまでの自分の考えを見直すきっかけになるかもしれません。もちろん、本書の最終的評価は読者の手の中に委ねられていることは言うまでもありませんが…。

  いずれにしても、一人でも多くの市民がメディアの発する情報を主体的かつ批判的に読み解く能力(「メディア・リテラシー」)を身につけることで現在の思考停止状態から脱して、いまの日本が陥っている(議会制)民主主義の危機と検察ファシズムの到来から目を背けずに直視するようになることを切に願っています。

  最後に、本書を発行するにあたって、いまだに事件の渦中にありながら貴重な歴史的証言となる序言をお寄せいただいた小沢一郎衆議院議員(生活の党代表)にも心から御礼を申し上げます。

2013年6月30日 参議院選挙を目前に控えて


『検察の暴走とメディアの加担―小沢問題とは何か―』
木村 朗(鹿児島大学教員、平和学専攻)

1. 小沢一郎問題とは何か-小沢問題をめぐって二つに割れ続ける世論
  ①西松建設事件、②陸山会事件(水谷建設)、③小沢裁判(検察審査会による強制起訴)
A 金権政治家の不正献金疑惑追及→「政治とカネをめぐる問題」 (「違法な犯罪行為」)
  ※ 「検察の正義」(東京地検特捜部=「史上最強の捜査機関」)を前提とした 「小沢VS検察」 という問題
B “えん罪(でっち上げ)” “報道被害”→「国策捜査」 による不当な逮捕・捜査・裁判
  ※ 「検察ファッショ」 と 「メディア・ファシズム」 が結合した 「静かな政治クーデター」:
  「民主党VS全官僚機構」 あるいは 「鳩山連立政権VS官僚機構・自民党・マスコミ(・米国)」 という権力闘争・政治闘争
  ※ 「国策捜査」 か? (森法務大臣の指揮権発動、漆間巌官房副長官のオフレコ発言、石川知裕議員を取り調べた検事の脅し的文句、検察審査会への捜査報告書の捏造)
  検察の暴走とメディアの加担=権力とメディアが一体化した情報操作・世論誘導
  → 検察権力と司法記者メディアの癒着構造(民主主義の危機=ファシズムの到来)

<関連事件・裁判>
A 三井環事件(検察の裏金問題の告発)→「獣(けもの)道」(官邸の犬となった検察)
  ※ 検察が犯した三つの犯罪
B 佐藤栄佐久前福島県知事の 「汚職」 事件→国策(原発)反対の首長を特捜が政治弾圧
  ※ 佐久間達哉現東京地検特捜部長、大鶴基成東京地検次席検事、前田主任検事らが関与!
C 郵政不正事件(村木厚子氏、石井一民主党副代表、前田主任検事によるFD改ざん事件)
  ※ 鳩山由紀夫氏の政治献金(「故人献金」 の謎)事件の影響
  ※ 鈴木宗男(・佐藤優)事件との関連(ロッキード事件やリクルート事件、日歯連事件、朝鮮総連ビル詐欺事件、ライブドア事件、防衛省汚職事件なども)

2. 政権交代とは何であったのか-日本で最初の本格的な政権交代(一種の 「市民革命」)
<挫折した脱官僚政治と対米自立>
A 脱官僚政治(官僚主導から政治主導へ)…事務次官会議の廃止、特別会計の見直し、「歳入庁」 構想、天下りの廃止、機密費の廃止、日米密約の調査・公表
B 対米自立…「より対等な日米関係」の構築、海上自衛隊の撤退、年次改革要望書の廃止、日米地位協定・思いやり予算見直しの失敗、普天間問題での「国外移転、せめて県外移転」の模索と挫折

<幻となった検察改革とメディア改革>
  ※ 検察権力と記者クラブ・メディアの共犯関係(検察とマスコミのリーク情報を通じたもたれ合いの関係):「検察官僚と司法記者クラブが横暴を奮う恐怖国家」(上杉隆)、「検察庁という組織の、骨の髄まで腐った不誠実さと恐ろしさ」(鳥越俊太郎)、「検察リークを受けて報道がつくられているというより、むしろメディア自らが進んで検察の提灯持ちに走っている」(青木理)、「特捜検察の捜査能力の劣化とモラルハザード」(魚住昭)、「検察権力の恣意的乱用とそれに追随するマスコミの権力監視機能の放棄、そして、「検察の正義」を微塵も疑わずにマスコミ報道を鵜呑みにして翻弄される我々一般国民の思考停止こそが目下の最大問題、すなわち日本の民主主義の危機をもたらす根源的問題である」(木村朗)
  ※ 「彼らは政治家の汚職を摘発し正義を貫く事が正しいと思い込んでいるが、実際は民主党政権による司法制度改革で検察の権益が縮小することを恐れているはずだ」(堀江貴文)
A 検察(司法)改革…検察・警察・裁判所を含む司法制度改革! 「検察の犯罪を糺す機関は存在しない」という点が最大の問題:起訴独占主義と起訴便宜(裁量)主義の弊害
  ① 取り調べの可視化法案、② 民間陣からの検事総長の登用(検事総長人事を国会承認案件に)、③ 裏金の解消、④ 裁判員制度の見直し、 ⑤ 死刑制度の見直し、⑥ 証拠の全面開示のための法改正の断行
B メディア改革…真の意味でのメディアの再生を! (神保哲生氏の指摘)
  ① 「記者会見のオープン化」(政府の記者会見をすべてのメディアに開放し、既存のマスメディアの記者クラブ権益を剥奪する。)
  ② 「クロスオーナーシップの規制・禁止」(クロスメディア:新聞社とテレビ局の系列化のあり方を見直す。)
  ③ 日本版FCC(米連邦通信委員会のように行政から独立した通信・放送委員会)を設立し、放送免許の付与権限を総務省から切り離す。
  ④ NHKの放送波の削減を検討する
  ⑤ 新聞再販制度・押し紙制度の見直し・廃止
  ⑥ 電波オ-クション制度の導入・・・等々

3. 日本は民主主義国家・独立国家なのか-「米国の影と圧力」 について
  ※ 「この政治家は二つの注目すべき持論を隠し持っている。一つは米国との距離を測り直すこと、他のひとつは象徴天皇制を隠れみのにした官僚支配への問題意識だ」(斎藤学)
  ※ 孫崎享さんの日本の 「特捜検察」 と米国との特殊な関係という重要な問題提起:
    「(小沢捜査の-木村)スタートは、外為法か何かで外国から出発していますよね」 「検察の動きを見ていると、アメリカの意思が分かる」
  ※ 「日本国内の、国民に選ばれた正当な政治権力に対しても特捜部は歯向かう。その背後には、そもそも出発点からアメリカの存在があった。ということは、東京地検が日本が対米隷属から離れて、独立独歩の道を歩もうとする政治家をねらい打ちにしてきたのは、ある意味で当たり前なんですね」(岩上安身)

A 官僚独裁国家:カレル・ヴァン・ウオルフレン氏の指摘
  「いま日本はきわめて重要な時期にある。真の民主主義をこの国で実現できるかどうかは、これからの数年にかかっている。 …国際社会で、真に独立した国家たらんとする民主党の理念を打ち砕こうとするのは、国内勢力ばかりではない。アメリカ政府もまたしかりである。 …民主党政権発足後の日本で起こりつつある変化には、実は大半の日本人が考えている以上に大きな意味がある、と筆者は感じている。 …あらゆる国々は表向きの、理論的なシステムとは別個に、現実の中で機能する実質的な権力システムというべきものを有している。 …日本のシステム内部には、普通は許容されても、過剰となるや、たちまち作用する免疫システムが備わっており、この免疫システムの一角を担うのが、メディアと二人三脚で動く日本の検察である。…検察とメディアにとって、改革を志す政治家たちは格好の標的である。 彼らは険しく目を光らせながら、問題になりそうなごく些細な犯罪行為を探し、場合によっては架空の事件を作り出す。 …日本の検察が、法に違反したとして小沢を執拗に追及する一方、アメリカは2006年に自民党に承諾させたことを実行せよと迫り続けている。 …いま我々が日本で目撃しつつあり、今後も続くであろうこととは、まさに権力闘争である。これは真の改革を望む政治家たちと、旧態依然とした体制こそ神聖なものであると信じるキャリア官僚たちとの戦いである。 …日本の新政権が牽制しようとしている非公式の政治システムには、さまざまな脅しの機能が埋め込まれている。何か事が起きれば、ほぼ自動的に作動するその機能とは超法規的権力の行使である。このような歴史的な経緯があったからこそ、有権者によって選ばれた政治家たちは簡単に脅しに屈してきた。」
  ※ メディアの劣化と言論統制の拡大
B 米国の 「属国」 から 「属領」 へ…終わらない 「占領」(間接統治)から 「再占領」(直接統治)へ、「トモダチ作戦」と日本の 「アメリカ化」(日本本土の 「沖縄化」)

4. 検察審査査会の闇と最高裁事務局のスキャンダル
  ※ 検察審査会は、裁判員制度の先駆的形態:市民から無作為に選ばれた11人の審査員が、検察の起訴・不起訴の処理に対して不服の申し立てがあった場合にこれを審査して、(1) 不起訴相当 (2) 不起訴不当 (3)起訴相当のいずれかの判断を下す。司法制度改革の一環として、裁判員制度導入にともなう法改正で2009年5月からは、審査会が同じ件で2度「起訴相当」 と決議すると、検察ではなく裁判所が指定した指定弁護士により強制的に容疑者が起訴されることになった。小沢裁判ではこの制度改正が完全に悪用された!
  ※ 「新政権は検察審査会法を再改正すべきかどうかを検討課題とすべきだろう」(高野猛)
  ※ 当初から批判が多い情報開示の少なさや〝密室性〟黒く塗りつぶされた公開文書。容疑者がまったく意見を言えないことも大きな問題。
  ① 小沢一郎民主党元代表を 「起訴相当」 と議決した審査員十一人の平均年齢が不自然な形で一転二転したこと(小沢元代表審査員 生年月も黒塗り)は不可解
  ② 検察審査会の不正、検察の虚偽報告書に対する裁判所の判断に納得出来ない。
  ※ 強制起訴制度で初の判決公判も 「検証へ情報開示を」、指定弁護士による控訴は不当!?
  ③ 森ゆう子議員が明らかにしたくじ引きソフトの不正
  ④ 小川敏夫法務大臣による指揮権発動の封じ込め
  ※ 「健全な法治国家のために声を上げる市民の会」 が、最高検察庁に新たな告発状を提出した。被告発人である佐久間達哉(法務総合研究所国連研修協力部部長)、木村匡良(東京地方検察庁公判部副部長検事)、大鶴基成(元最高検察庁公判部部長検事)、斉藤隆博(東京地方検察庁特捜部副部長検事)、吉田正喜(元東京地方検察庁特捜部副部長検事)、検察審査会の第五検察審査会の事務局長、担当課長らを証人申請が採用されるかが焦点。
  ※ 最高裁事務局のスキャンダル:最高裁判所発注のコンピューターシステム関連の一般競争入札で 「一社応札」が続出し、 100%を含む高い落札率が大半を占めていた疑惑!
    改めるチャンスが何度もありながら、一向に変わらなかった最高裁の手法。

5. 現在の閉塞状況を打開するためには何が必要か
  【検察とマスコミが一体化した情報操作による小沢氏の狙い撃ちと民主党叩きの世論誘導が米国の圧力をうける形で行われた可能性、すなわち検察権力のリーク情報を無批判的にマスコミが裏づけを取らないまま小沢氏を犯罪人扱いするような過剰な印象操作・偏向報道を一方的に垂れ流し、その結果、検察の正義を疑わない一般国民がそれを鵜呑みにして小沢批判を強めて民主党離れを加速させるというある意味で分かりやすい構図】
  ※ 旧勢力(小泉流に言えば 「守旧派」 「抵抗勢力」)による既存秩序の維持と既得権益の保持を目的とした改革潰しの動き!
  ※ マスコミが検察の監視役ではなく、「検察の正義」(あるいは 「正義の検察」)という前提を無批判に受け入れて、検察の「最大の味方」 となってその露払いや煽り役を果たしてしまうことが最大の問題である!
  ※ 「小沢不起訴になってから検察の危機が言われていますが、それ以上に、今回はマスコミの危機を露呈させたと言えますね」(魚住昭)
A 検察による恣意的な強制捜査と違法な取調べによる直接的な人権侵害
B 検察のリーク情報に依存したマスコミの過剰な偏向報道と、その影響をまともに受けた世間の人々のバッシングという深刻な報道被害
  ① 市民の覚醒と官邸デモ-政府不信とメディア不信の高まり
  ② ソーシャル・メディアとメディア・リテラシー
  【海外メディアの 「報道の5原則」】 原則1 「推定無罪の原則」(最初から有罪であるよう印象づける報道はしないこと)、原則2 「公正な報道」(検察の発表だけをたれ流すのでなく巻き込まれた人や弁護人の考えを平等に報道すること)、原則3「人権を配慮した報道」(他の先進国並みに捜査権の乱用を防ぐため、検察・警察の逮捕権、家宅捜索権の行使には、正当な理由があるかを取材、報道すること)、原則4 「真実の報道」(自主取材は自主取材として、検察・警察の情報は、あくまでも検察・警察の情報である旨を明記すること)、原則5「客観報道」(問題の歴史的経緯・背景、問題の全体構図、相関関係、別の視点などをきちんと報道すること)

【小沢問題関連重要文献】
・小沢一郎を支援する会 (編集) 『私たちはなぜ小沢一郎を支援するのか』 (諏訪書房) [新書] ノラ・コミュニケーションズ (2011/5/15)
・森 ゆうこ 『検察の罠』 日本文芸社 (2012/5/26)
・平野 貞夫 『小沢一郎 完全無罪 -「特高検察」が犯した7つの大罪』 (講談社プラスアルファ文庫 ( 2011/7/21)
・郷原 信郎 『検察崩壊 失われた正義』 毎日新聞社 (2012/9/1)
・カレル・ヴァン・ウォルフレン 『人物破壊 誰が小沢一郎を殺すのか?』 角川文庫(2012/3/24)
・マーティン・ファクラー 『「本当のこと」を伝えない日本の新聞 』 双葉新書 (2012/7/4)
・山崎行太郎 『それでも私は小沢一郎を断固支持する』 総和社 (2012/6/23)
・三井 環 『ある検事の告発』 (双葉新書) (2010/12/22)
・村木厚子編 『あきらめない 働くあなたに贈る真実のメッセージ』 日経BP社 (2011/11/28)
・石川知裕 『悪党―小沢一郎に仕えて』 朝日新聞出版 (2011/7/7)
・鈴木 宗男 『汚名-検察に人生を奪われた男の告白 』
・佐藤 栄佐久 『知事抹殺 つくられた福島県汚職事件』 平凡社 (2009/9/10)
・大坪 弘道 『勾留百二十日  特捜部長はなぜ逮捕されたか』 文藝春秋 (2011/12/16)
青木理 『国策捜査―暴走する特捜検察と餌食にされた人たち』 金曜日 (2008/05)
・副島隆彦、植草一秀、 高橋博彦 『国家は 「有罪(えんざい)」をこうして創る』 祥伝社 (2012/6/30)
・粟野仁雄 『検察に、殺される』 (ベスト新書) ベストセラーズ (2010/11/16)
・岐 武彦、山崎行太郎氏 『最高裁の罠』 (志ケイアンドケイプレス 、2012/12)
・佐藤 優/魚住 昭 『誰が日本を支配するのか!?検察と正義の巻』 マガジンハウス (2010/8/12)
・石川 知裕/佐藤 優 『小沢一郎はなぜ裁かれたか―日本を蝕む司法と政治の暴走』 徳間書店 (2012/3/26)
・今西憲之/週刊朝日取材班 『私は無実です 検察と闘った厚労省官僚村木厚子の445日』 (著) 朝日新聞出版 (2010/9/7)
・孫崎 享 (著) 『戦後史の正体』 創元社; 初版 (2012/7/24)
・孫崎 享 (著) 『アメリカに潰された政治家たち』小学館 (2012/9/24)
・孫崎 享 (著) 『日本の国境問題 尖閣・竹島・北方領土』 (ちくま新書)
・孫崎 享 (著) 『日米同盟の正体~迷走する安全保障』 (講談社現代新書)
・郷原 信郎(著) 『検察の正義 』 (ちくま新書) ( 2009/9)
・郷原 信郎(著) 『特捜神話の終焉』 飛鳥新社(2010/7/22)
・『郷原 信郎(著)検察が危ない』 (ベスト新書) ( 2010/4/9)
・三井 環 (著) 『検察の大罪 裏金隠しが生んだ政権との黒い癒着』講談社 (2010/7/29)
・三井 環 (著) 『「権力」 に操られる検察 』(双葉新書) 双葉社 (2010/7/21)
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●「疑わしきは罰する」名張毒ぶどう酒事件、あ~っため息が・・・

2012年05月31日 03時37分55秒 | Weblog


東京新聞の記事(http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/news/CK2012052502000260.html)と社説(http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/editorial/CK2012052602000131.html)。裁判員制度への過剰な期待らしきものがうかがえる点は残念ですが、優れた社説だと思いました。

 名張毒ぶどう酒冤罪事件の第7次再審請求差戻審で、またしても、名古屋高裁は開きかけた扉をあっさりと閉じてしまった。本当にまじめに新証拠の審査を行っているのか? 奥西勝死刑囚は無実の罪で囚われ、すでに86歳だそうだ。警察や裁判所の罪を糊塗したままで、冤罪は続いていく。

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http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/news/CK2012052502000260.html

名張毒ぶどう酒事件 奥西死刑囚の再審認めず
2012年5月25日 夕刊

 三重県名張市で一九六一年、農薬入り白ぶどう酒を飲んだ五人が死亡した「名張毒ぶどう酒事件」の第七次再審請求差し戻し審で、名古屋高裁刑事二部(下山保男裁判長)は二十五日午前、弁護側が提出した新証拠は「毒物がニッカリンTではないことを示すほどの証明力はなく、確定判決に合理的な疑いは生じない」として、検察側の異議を認め、奥西勝死刑囚(86)の再審を開始しないと決定した。いったんは再審を開始すると判断した名古屋高裁刑事一部の決定(二〇〇五年)を取り消した。 

 今回の決定により、死刑執行の停止は取り消された。弁護団は決定を不服として五日以内に最高裁に特別抗告する。棄却されれば第八次再審請求も検討するが、奥西死刑囚の年齢から今回が事実上「最後の再審請求」と位置付けている。事件発生から五十一年、再審の扉が開かれるのは相当難しくなった。

 差し戻し審の争点は、毒物が当初の自白通りニッカリンTか否かだった。高裁はニッカリンTを再製造し、最新機器で鑑定した。

 決定は、ニッカリンTなら含まれるはずの副生成物が「エーテル抽出」という工程の後には検出されなかった点を重視した。

 弁護側は、エーテル抽出の前段階では、副生成物が検出されたことから「毒物はニッカリンTではなく別の農薬だ。自白が根底から崩れた」と主張していた。しかし、下山裁判長は、飲み残しのぶどう酒から副生成物が出なかったのは、「(水と化学反応する)加水分解の結果、検出されなかった余地がある」とし、検察側の主張通り「毒物がニッカリンTでなかったとまでは言えない」と認めた。

 ただ「加水分解した」との理由は、検察側も主張していない。それでも下山裁判長は、当時の鑑定は事件から二日が過ぎ、出るはずの副生成物が加水分解してほとんど残らなかった、と推論した。

 奥西死刑囚は逮捕後、全面的に自白を翻したが、下山裁判長は「請求人以外に毒物を混入した者はいないとの判断はいささかも動かず、自白は十分信用できる」と判断した。

 刑事裁判の原則「疑わしきは被告人の利益に」が再審にも適用されるべきだとした最高裁「白鳥決定」(一九七五年)以降、死刑囚の再審が開始されたのは財田川、免田、松山、島田事件の四件。開始決定がいったん取り消された免田事件も含め、いずれも再審で無罪となっている。

 第七次再審請求は、〇五年に名古屋高裁刑事一部が「ニッカリンTを入れたとの自白の信用性に疑問が残る」として再審開始を決定したが、〇六年に高裁二部が取り消し。最高裁は一〇年に「毒物の審理が尽くされていない」として、高裁に審理を差し戻した。

<名張毒ぶどう酒事件> 三重県名張市葛尾の公民館で1961年3月28日夜、地元の生活改善グループの懇親会で、白ぶどう酒を飲んだ女性5人が死亡、12人が中毒症状を訴えた。死亡の5人は奥西チエ子(34)、北浦ヤス子(36)、奥西フミ子(30)、新矢好(25)、中島登代子(36)=敬称略、年齢は当時。奥西勝死刑囚は「妻(チエ子)、愛人(北浦)との三角関係を清算しようと、農薬を入れた」と自白し、翌月3日、殺人容疑で逮捕された。その後、否認、自白を繰り返し、公判では完全否認した。
 64年の津地裁は無罪、69年の名古屋高裁は死刑。一審無罪から二審の逆転死刑は前例がなかった。72年、最高裁が上告を棄却し、死刑が確定した
 確定判決では、奥西死刑囚は公民館で1人になった10分間にぶどう酒のふた(王冠)を歯で開け、茶畑で使うために買ってあった農薬「ニッカリンT」を混入したとされた。
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http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/editorial/CK2012052602000131.html

【社説】
名張毒ぶどう酒事件 再審認めず 疑わしきは罰するなのか
2012年5月26日

 名張毒ぶどう酒事件の再審を認めなかった決定には、深い疑問が残る。証拠を並べてなお分からないのなら、推定無罪の原則に従うべきではないか。
 奥西勝死刑囚を最初に裁いたのは津地裁だった。
 裁判員になって法廷にのぞんだつもりで証拠を見てみると、こんなふうになる。

裁判員の目で見れば
 ▽ぶどう酒の王冠に付いた歯形は、鑑定では誰のものかはっきり分からない。
 ▽その王冠自体、事件当時のものとは違うらしい。
 ▽農薬を混入する機会は、奥西死刑囚以外の人にもあった。
 ▽「自白」はある。動機は妻と愛人の三角関係を清算するためという(その後、全面否認)。
 ▽自白にあった、農薬を入れてきた竹筒は見つかっていない。

 証拠をこうしてずらりと並べてみると、裁判員はその中身の乏しさ、あいまいさに、もちろん気づくだろう。
 いくら、捜査段階の詳細な「自白」があろうとも、有罪にはできまい。
 合理性をもって、彼以外に真犯人はありえないとは言えない。ましてや、死刑事件でもある。一審の津地裁は、当然ながら無罪判決を下した
 捜査が甘かったのである。当時は、まだ自白が「証拠の女王」などと呼ばれていた。自白は極めて重視されていた。
 だが、二審の名古屋高裁は一転、有罪とした。王冠について新たな鑑定をしたが決定的な知見はなく、一審とほぼ同じ証拠を見て、有罪とした
 迷走の始まりである。
 死刑囚は判決の前の日、前祝いの赤飯を食べた。家庭で最後に口にした母親の手料理となった。
 死刑囚はひとりぼっちで再審の請求を繰り返した。途中からは弁護団もでき、七度目に名古屋高裁は再審の開始を認めた
 毒物について、自供したニッカリンTではなかった疑いがあるとした。何と、凶器が違っていたかもしれない、ということだ。
 裁判を見直す大きなチャンスだった。しかし、扉はまた閉じられた。同じ高裁の別の部が、同じ証拠を見て検察の異議を認めた

冤罪生む自白の偏重
 事件から四十六年もたって、裁判は最高裁にもちこまれた。だが自ら判断せず、農薬について「科学的な検討をしたとはいえない」と言って、高裁にさし戻した。
 そして、再審を開始しないという昨日の決定となる。「毒物はニッカリンTでなかったとまでは言えない」とし、検察の主張を支持した。
 死刑判決以降の裁判を振り返ると、検察側の物証を弁護側が何度崩そうとしても、裁判所は結局、有罪としてきた。頼りにしたのは、いつも「自白」である。
 だが、自白の偏重が数々の冤罪(えんざい)を生んできたのは、苦い歴史の教えるところだ
 刑事裁判では、検察が有罪を証明できないかぎり、無罪となる。裁く立場からみれば、「疑わしきは被告人の利益にという刑事裁判の鉄則である。
 昨日の高裁の決定は、弁護側が出した証拠では検察の主張を崩せないという論法である。検察が主張していないことまで裁判官が推論し、有罪とする根拠を補強している。
 これでは、まるで「疑わしきは罰する」になってはいないか
 最高裁は再審でも「疑わしきは被告人の利益に」の原則があてはまると言っている(白鳥決定)。それなのに、反対の考え方で再審の扉を閉ざしたように映る。
 裁判員裁判の時代である。取り調べの可視化や、全面的な証拠の開示の必要性が叫ばれている。それは、これまでの誤った裁判の反省から出ているものである。
 今回の決定は、そうした時代の要請に逆行している。毒ぶどう酒事件から半世紀余。「自白」の偏重は一体いつまで続くのか。今の基準で考え直せないか。
 弁護団は特別抗告する。最高裁は今度こそ自判すべきである
 死刑囚は八十六歳。冤罪が強く疑われた帝銀事件の平沢貞通画伯のように、獄中死させることがあってはならない。

司法も裁かれている
 私たちメディアも反省すべきことがある。自白偏重の捜査取材に寄りかかった当時の犯罪報道だ。犯人視しない報道への努力は、不断に続けているが、奥西死刑囚を犯人視して報じたという事実は消せない。
 奥西死刑囚の獄中生活は、確定囚で二番目に長い。もしも死刑判決が冤罪であったのなら、それは国家の犯罪というほかはない。奥西死刑囚だけでなく、司法もまた裁かれていると考える。
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●小沢裁判、控訴に対するマスコミの対応とやはり検察審査会制度の致命的欠点

2012年05月11日 00時00分13秒 | Weblog


東京新聞の社説(http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/editorial/CK2012051002000116.html)とコラム(http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/hissen/CK2012051002000095.html)。
 『来栖宥子★午後のアダージォ/さながら水面に浮かぶうたかた、手すさびのようなもの』の記事(http://blog.goo.ne.jp/kanayame_47/e/5eb74c25a992ee234e2d5aafdc94f7c7)の孫引きですいませんが、森ゆうこ森裕子森ゆう子)参議院議員のコメント。また、弘中惇一郎氏のまともな弁護士感覚から見た、検察・検察審査会お抱え弁護士による控訴への感想(http://gendai.net/articles/view/syakai/136479)。

 引用しないが朝日社説(『民主党の責任―「小沢案」で政治浄化を』、http://www.asahi.com/paper/editorial20120510.html)のひどいことといったらない。原発問題については比較的まともなのに、なんでこの一連の小沢一郎氏の問題では、こんなひどい記事や社説の連続なのか? 東京新聞の社説やコラムのなんとまともなことか。日刊ゲンダイと東京新聞だけが救いだ。
 昨日のブログ(『●制度に欠陥: 小沢裁判、やはり控訴決定』)の通り、検察審査会による起訴までのプロセスも恣意的で、いい加減ならば、東京地裁の裁判での検察審査会指定弁護士の告発内容もひどいもの。さらには、森参議院議員が指摘するように、東京高裁への控訴に至るプロセスも同様のようだ。指定弁護士は「控訴するにあたり、政治的な配慮はしていない」というのは、ある意味大変な問題で、検察やマスコミの好き嫌いで一人の政治家を政治的に抹殺しようとしていることになりはしないか、このさらなる数年間の無駄な裁判で?

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http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/editorial/CK2012051002000116.html

【社説】
小沢元代表控訴 一審尊重へ制度改正を
2012年5月10日

 一審無罪の小沢一郎民主党元代表を検察官役の指定弁護士が控訴するのは疑問だ。そもそも検察が起訴を断念した事件だ。一審無罪なら、その判断を尊重するよう検察審査会制度の改正を求めたい。
 新しい検察審制度で、小沢元代表が強制起訴されたのは、市民が「白か黒かを法廷で決着させたい」という結果だった。政治資金規正法違反の罪に問われたものの、一審判決は「故意や共謀は認められない」と判断している。
 つまり、「白」という決着はすでについているわけだ。検察が起訴する場合でも、一審が無罪なら、基本的に控訴すべきではないという考え方が法曹界にある。国家権力が強大な捜査権限をフルに用いて、有罪を証明できないならば、それ以上の権力行使は抑制するべきだという思想からだ。
 とくに小沢元代表の場合は、特捜検察が一人の政治家を長期間にわたり追い回し、起訴できなかった異様な事件である。ゼネコンからの巨額な闇献金を疑ったためだが、不発に終わった。見立て捜査そのものに政治的意図があったと勘繰られてもやむを得ない
 小沢元代表はこの三年間、政治活動が実質的に制約を受けている。首相の座の可能性もあったことを考えると、本人ばかりでなく、選挙で支持した有権者の期待も踏みにじられたのと同然だ。
 新制度は従来、検察だけが独占していた起訴権限を市民にも広げる意味があり、評価する。だが、新制度ゆえに未整備な部分もある。検察官役の指定弁護士に一任される控訴判断はその典型例だ。検察でさえ、控訴は高検や最高検の上級庁と協議する。
 指定弁護士の独断で、小沢元代表をいつまでも刑事被告人の扱いにしてよいのか。「看過できない事実誤認」を理由とするが、検察審に提出された検察の捜査報告書などは虚偽の事実が記載されたものだ。どんな具体的な材料で一審判決を覆そうというのか。
 むしろ、「白か黒か」を判定した一審判決を尊重し、それを歯止めとする明文規定を設けるべきだ。最高裁も二月に、控訴審は一審の事実認定によほどの不合理がない限り、一審を尊重すべきだとする判断を示している。むろん被告が一審有罪の場合は、控訴するのは当然の権利だ。
 検察による不起訴、強制起訴による裁判で無罪なのに、「黒」だと際限なく後追いを続ける制度には手直しが急務である。
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http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/hissen/CK2012051002000095.html

【コラム】
筆洗
2012年5月10日

 メード・イン・ジャパンといえば、戦後しばらくは安かろう悪かろうの代名詞だった。血のにじむ努力を重ねた企業が、世界に信頼される商品を製造した結果、「高品質」を意味する言葉になった▼ただ、品質の高い製品を大量生産する技術を持っていたとしても、不良品が交じれば信頼は一気に崩れてしまう。国際競争に勝ち抜くこともできない▼不良品がすべてを台無しにするのは、製造業に限らない。証拠の中に紛れ込んだ粗悪品が影響したと考えられるのが、小沢一郎民主党元代表の政治資金規正法違反事件だった。虚偽の捜査報告書を提出し検察審査会を惑わせ、自らが断念した元代表の刑事訴追を実現しようとした-。検察組織に今、持ち上がっているのはこんな疑惑だ▼元代表の一審の無罪判決に対し、検察官役の指定弁護士はきのう、控訴に踏み切った。無罪になった被告への控訴が許されるのか。指定弁護士の一人は「朝まで悩んだ」と打ち明けた▼苦渋の決断だったと思うが、強制起訴の前提となる証拠に粗悪品が含まれていたことが明らかになった以上、控訴は断念すべきではなかったか▼一審判決は虚偽報告書問題について、検察当局で十分に調査、対応すべきだと異例の言及をした。裁判所は特捜検察の体質に問題があるとみている。末端の検事を懲戒処分にして、幕引きを図ることは許されない。
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http://blog.goo.ne.jp/kanayame_47/e/5eb74c25a992ee234e2d5aafdc94f7c7

森ゆうこ参議院議員「指定弁護士に控訴する権限が付与されているのか」/検察審査会「7つの重大疑惑」

参議院議員森ゆうこ 
指定弁護士の控訴に強く抗議する
‎2012‎年‎5‎月‎9‎日‎18:25:16 | yuuko

判決は無罪である。
従って小沢一郎衆議院議員は現在、政治活動に何の制約も受けない。
検察審査会の起訴議決は、法廷での事実確認を要請するものだ。
裁判で無罪判決が出た以上、「推定無罪」の原則はより強く尊重されなければならないそもそも、指定弁護士に控訴する権限が付与されているのか
政権交代を目前にして代表の座から小沢一郎を引き摺り下ろした西松建設事件は、結局、ダミー団体ではないと検察側証人が法廷で証言し、裁判から撤退
裁判自体が無くなった
そして、陸山会事件は担当した検事が法廷で「検察の妄想」による壮大な虚構と証言したように、「でっち上げ」である。
検察のでっち上げだから、証拠が無く、起訴出来なかった。
だから検察は、捜査報告書のねつ造という大犯罪を犯してまで、検察審査会を悪用し、とうとう小沢一郎を刑事被告人にした。
もちろん、独立機関とは名ばかりの検察審査会を実質コントロールしている最高裁もそれに加担した
ぎりぎりのところで、裁判所は無罪判決を言い渡した。
指定弁護士の背景にはいろいろなものがあると言われていたが、国民の代表を、しかも、控訴権が法定されてもいないのに、控訴し、その政治活動を妨害できる権利があるのか。また、その責任をどうやってとるというのか
2009年3月3日からこの3年と2ヶ月余り、前述した検察と司法の暴走に、マスコミはメディアスクラムを組んで協力してきた。
これは、明らかに政治弾圧である。
そして、その弾圧が小沢一郎という日本の最も重要なリーダーをターゲットにしたために、日本の政治は混乱した。
森ゆうこtwitterより
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http://gendai.net/articles/view/syakai/136479

指定弁護士側と小沢弁護団のどちらに正義があるか
2012年5月10日 掲載

有罪の判決が出るまで裁判は終わらない

「がっかりしている」――。小沢弁護団の弘中惇一郎弁護士は、控訴決定について会見でこう感想を漏らした。

   「弁護士の感覚からすると、1審であれだけ審理して無罪になった人を、
    さらに被告として控訴して裁判を続けることには大変な違和感がある。
    被告の人権からしてもそうだ。指定弁護士だから、弁護士の感覚は
    あるかと期待していたが、ややがっかりしている」

 これが、弁護士として当たり前の考え方だ。でも、指定弁護士3人には期待するだけムダだった。弘中弁護士は、指定弁護士の「(控訴について)政治的な影響は全く考えなかった」という発言にも苦言を呈した。

   「被告人の立場や政治的影響をまったく無視したのであれば、
    それは問題ではないか。当然、生きた社会の中の事件だから、
    置かれている立場とか社会的影響は十分考慮して控訴するかどうか
    決めるのが当たり前だ。単純に判決に納得できないからというのなら、
    いかがかなと思う」

 本当だ。今回の控訴が政治にどれだけの影響を与えるか、素人にだって分かる正義は小沢弁護団の方にある
 正義もなく、勝ち目もない。それでも指定弁護士は控訴した。その意味するところは、小沢が有罪になるまで徹底的に争うということだ。ここまで騒ぎを大きくしてしまった以上、無罪では引き下がれない。場合によっては、最高裁も視野に入れているはずだ。メンツや意地の問題だけではない。政治評論家の本澤二郎氏がこう言うのだ。

   「指定弁護士の控訴決定には、小沢氏が目障りで仕方ない党内の
    反対勢力やオール霞が関、大マスコミがもろ手を挙げて
    歓迎しています。さらに、小沢氏が言う“対米自立”を
    苦々しく思っているアメリカもいる。彼ら旧勢力の目的は、
    小沢氏を政治的に完全抹殺することです。そのため、控訴審で
    無罪になったとしても、指定弁護士はすぐに上告するでしょう
    それで有罪にできなくてもいい。なぜなら、その間、小沢氏を
    ずっと座敷牢に閉じ込めておくことができるからです。控訴を
    決めた指定弁護士3人に何があったのか、それは歴史の証明を
    待つしかありません」
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●小沢裁判、無罪でしか裁判所の威厳は取り戻せない

2012年04月25日 00時40分35秒 | Weblog


zakzakの記事(http://www.zakzak.co.jp/society/politics/news/20120418/plt1204181601005-n1.htm)とgendai.netの記事(http://gendai.net/articles/view/syakai/136178)。

 無罪判決に向けての布石でしょうかね? 週刊ポストの転載ではありますが、あの産経新聞系のzakzakにこんな記事が載るなんて、風は変わってきたのでしょうか。
 有罪が世間の流れで、マスコミの願いのようですので、ここは、大善裁判長には是非〝浮世離れ〟した無罪判決を期待します。地に落ちた裁判所の威厳を取り戻す大きなチャンス。

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http://www.zakzak.co.jp/society/politics/news/20120418/plt1204181601005-n1.htm

上司に小沢一郎叩き命じられた記者「上司の感覚ずれてる」
2012.04.18

 小沢氏の「政治とカネ」問題には、検察と大マスコミが作り上げた虚構があまりにも多い。その最たるものは水谷建設元社長による5000万円受け渡し証言である。小沢氏の秘書である石川知裕氏に元社長が現金を渡す現場のやりとりを複数の関係者が証言したと朝日新聞やTBSが報じたが、その後、他メディアの後追いはおろか、続報も全くない。

 明らかな誤報もあった。検察が押収した石川氏の手帳の記載内容について、5000万円授受が行なわれたとされる2004年10月15日の欄に、受け渡し場所のホテル名が記載されていると共同通信(2010年1月25日付)が報じ、読売と日経が追随した。が、実際にホテル名が記されていたのは2005年4月で、さすがに3社とも記事の訂正・削除をせざるを得なかった。

 このように、検察リークによる「誤報」を連発した果てに定着したのが、「政治とカネ」という言葉である。過去30年にもわたる全国紙5紙の過去記事を検索したところ、「政治とカネ」が使われたのは約2万件。驚くことに、そのうち実に1万4000件がこの5年に集中し、うち約半数を小沢報道が占めている。その理由を、元読売新聞社会部のジャーナリスト・大谷昭宏氏はこう分析する。

 「現状では小沢氏を罪に問える材料は何もなく、事件取材をしている現場記者たちは、無理筋だと分かっている。だから、これまでの犯罪報道なら『贈収賄』や『闇献金』という具体的な容疑で書くのが原則のところを、『政治とカネ』という漠然とした言葉にせざるを得ない。

 とにかく小沢氏に疑惑をかぶせて批判したいというだけの恣意的な報道です。ある現場の記者は、『デスクなど上司からは小沢の悪い記事を書けと要求されるが、何も容疑がないのになぜ悪く書けというのか。上司の感覚のほうがずれている』と嘆いていた」

 大谷氏の古巣、読売新聞の2011年2月1日付朝刊は、一つの記事で「政治とカネ」という言葉を3回も使った上で、さらに政治学者・御厨貴氏のこんな談話を載せている。

 〈「政治とカネ」への国民の視線は厳しくなり、(小沢氏は)政権交代の最大の功労者にして、最も罪深い人となった。強制起訴は小沢元代表の「終わりの始まり」で、仮に無罪になっても元に戻ることはないだろう〉

 「仮に無罪になっても」、「最も罪深い人」なのだから、推定無罪の原則は小沢氏には適用されないらしい。

 ※週刊ポスト2012年4月20日号
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http://gendai.net/articles/view/syakai/136178

元検事が衝撃告白 私はこうして冤罪をつくりました
2012年4月16日 掲載

「不起訴」と判断しても起訴状にサイン
<幹部は「とにかく割れ」の一点張り>

「私はこうして冤罪をつくりました」――。衝撃的な本が出版され、話題になっている。01年の「佐賀市農協背任事件」で、被疑者を取り調べ中に「殺す」などと発言したことを自ら法廷で証言し、“冤罪加害者”となった元検事の市川寛弁護士(46)の著書「検事失格」(毎日新聞社)だ。今月26日に判決が出る「小沢裁判」でも、地検特捜部のデタラメが明らかになっているが、特捜検事はなぜ“暴走”するのか。冤罪を生み出す検察組織の問題点を市川弁護士が語った。

   「検察問題の背景には、過去の2つの成功体験があると思います。
    ロッキード事件とリクルート事件で、大物政治家を逮捕し、『巨悪と戦う』という
    特捜神話が生まれるきっかけになりました。しかし、この大金星を挙げたが故、
    特捜部は国会議員や一流企業といった社会的地位のある人を摘発するために
    存在するのだ――と自己目的化してしまった。特捜部長などの幹部になると
    『任期2年の間に打ち上げ花火を上げなければ』とプレッシャーを感じ、
    ムリをし始めるのだと思います」

「佐賀市農協背任事件」も、きっかけは当時の佐賀地検幹部が議員逮捕という金星を狙った勇み足が原因だった。三席検事(当時)だった市川弁護士は事件の詳細を把握しないまま主任に指名され、揚げ句、自分が「不起訴」と判断していた被疑者の起訴状にサインも迫られた。それが市川弁護士が違法な取り調べに手を染める結果につながった。

「検察は調書を取る教育はしますが、取り調べの教育はしません。ロッキード事件で誰々の供述を取った、という検事がその後、検事正や検事長、総長になり、当時の捜査手法や取り調べのノウハウが全国に受け継がれていったのですが、伝わるのは、取り調べ中に『机の下から(被疑者を)蹴った』『千枚通しを突きつけて罵倒した』という内容。当時はうまくいったのかもしれませんが、今はそんな取り調べは絶対にできません。世の中が変わっているのに、幹部は気付いていないのです。相談しても『君の力が足りない』と言い、とにかく『割れ(自白させろ)』『立てろ(起訴しろ)』です。つまらないことで、すぐに『バカヤロー』と怒るから、部下は次第に何も報告しなくなります。証拠改ざん事件で逮捕、起訴された前田元検事も、正直に報告できる雰囲気が特捜部になかったのではないかと思います」

<「小沢裁判は間違いなく無罪です」>

「小沢裁判」でも、石川知裕衆院議員(38)を取り調べた田代政弘検事(45)が捜査報告書を捏造していた。市川弁護士と田代検事は元同僚だ。

   「田代検事とは横浜地検小田原支部で2年間一緒でした。優秀な検事だったから、
    今回の件はとても驚いています。録音テープを起こした反訳書を読みましたが、
    とても彼の取り調べとは思えない。彼は冷静に淡々とやりとりするのに、
    石川氏を懸命になだめすかしているからです。任意聴取なのだから、
    供述を得るのが難しければ日を改めればいいのに、4、5時間も続けている。
    通常は考えられません。これは想像ですが、おそらく彼は石川氏の聴取を
    当日まで知らなかったのでしょう。上司から突然、『この線で聴取を取れ』
    『1日で仕留めろ』と迫られたのではないかと思います」

 小沢裁判については、こう見ている。

   「検察が2度も不起訴にし、それも“起訴猶予”ではなく、“嫌疑不十分”なのだから
    証拠が足りない。その少ない証拠は裁判で却下されてもっと少なくなった。
    判決の理想は公訴棄却ですが、無罪は間違いないとみています。
    もし有罪なら今後の刑事裁判は成り立ちません」
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●『ふたたび、時事ネタ』読了

2011年01月15日 00時00分22秒 | Weblog

『ふたたび、時事ネタ』、12月に読了。斎藤美奈子著。中央公論社。2010年6月、初版発行。
 全編、とにかく面白かった。想像以上の面白さ! 小田嶋隆さん的ユニークな視点。
 
自民党政権崩壊から政権交代後まで激動の3年間。帯から、「安倍首相のもと自民党が参院選で大敗した2007年、福田・麻生政権迷走の2008年、鳩山連立内閣が誕生した2009年、そして・・・・・・」。『DAYS JAPAN』のエッセイでおなじみの著者。

 安倍晋三氏についてしつこいくらいに(p.32、43、63、66、67、71、83、156、256)。
 麻生太郎氏(p.158、163、171、174、186、257)。自民党や国民のセンスの悪さ。
 石原慎太郎氏(p.49,136)。
 橋下徹府知事(p.108)。「・・・ああいう都知事を三選させた東京都民の私がいうのもなんだけど、懲りてません大阪も」。「大阪府知事の思いつき語録」(pp.141-143)プチ小泉改革、民尊官卑。
 
新自由主義路線(p.165)。
 
「検察の暴走と「小沢問題」」(pp.189-192)。
 
古賀選対委員長との対話での、東国原氏の「日本中があきれた瞬間」(p.216)。「土建化せんといかん」。

 
タウンミーティングのやらせ問題(p.11、38、64)。

 
「大悪」でなく「中悪叩きの法則」(p.22)。原発検査偽装事件など「大悪」をメディアが報じることはない。

 
「米下院も敵に回した意見広告の墓穴の掘り方」(pp.55-58)。「火に油を注いだ」意見広告。「・・・事実のねじ曲げ方以上に「墓穴の掘り方」「火事の広げ方」を学ばせて頂く格好の教材といえる」。ここら辺の発想や表現の仕方だたまらない。広告主には、愛知和夫・稲田朋美・河村たかし・西村眞悟・平沼赳夫氏らが。

 
原発推進派のアル・ゴア(p.84、86)。英国の裁判所では、あの映画『不都合な真実』について、「・・・科学的な誤りがあるとし、学校で見せる場合は、内容の偏りについて説明しなければばらないという判決・・・」。「あの映画は科学的というより、政治的なプロパガンダに近い、ともいえるのである」。
 一方、日本では、「原発は安全だといいきる裁判所の大胆不敵」(pp.87-90)。柏崎刈羽原発。東電批判、電力会社批判は、この国のメディアの大きなタブー。「安全性はもちろん、コストの面から考えても、事故が起こった際のリスクが大きい原発が有効な代替エネルギー源とはとうていいえない」。

 ロス疑惑の狂騒(pp.115-118)。推定無罪の原則なんてクソクラエの検察・警察・裁判所・マスコミ。この件に関して、こんなまっとうな論にはほとんど巡り会えない哀しい状況。
 「断固拒否したいです、裁判員制度は」(p.121)。
 「死刑制度が「プレゼン力」で決まる恐怖」(pp.126-129、132)。山口県光市母子殺人事件。「だとすれば一、二審の供述の方がむしろ「虚偽」だったのではないか」。綿井健陽さん、安田好弘弁護士。
 「和歌山カレー事件の判決は妥当か」(pp.200-202、208)。「・・・物証なし、動機も不明状況証拠だけで下された異例の死刑判決」。これも推定無罪の原則なんてこれっぽちも、誰もマスコミから声は上がらない。まさに「暗澹たる気持ち」。
 飯塚事件、「本人が否認したまま死刑が執行」(p.209)。

 田母神〝論文〟のお粗末さと「トップがこんなアホとバレては・・・」(p.167)。
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●『東京番外地』読了

2010年11月21日 01時07分43秒 | Weblog


『東京番外地』、11月に読了。森達也著、新潮文庫。2009年8月発行。解説は重松清氏。

 第一弾「葛飾区小菅一丁目」から第十四弾「府中市多磨町四丁目」、および、番外編「千葉県浦安市舞浜一丁目」まで「」東京ルポルタージュ。「東京近郊のスポットを無目的に歩きながら、思い出したり触発されたこと、あるいは場の記憶に感応したことなどを随筆風に綴るという書籍の企画」(p.15)。

 下山定則氏の殺人。昭和史最大の謎。『下山事件シモヤマ・ケース)』(pp.10-11)。
 『放送禁止歌』(p.12、96、220)。『職業欄はエスパー』(p.13)。『』(p.14、66、284)。

 大道寺将司さん(p.21)。

 植草一秀氏と監視カメラ(p.43)。「・・・こんな理由で尾行されてはたまらない。・・・明らかな悪意・・・」。推定無罪原則のあまりの軽視。

 精神保健福祉法、少年法の改正(p.95)。「ところが実際のところは、少年事件増えてもいないし凶悪化もしていない。・・・事件の低年齢化も全く根拠がなく、統計はむしろ高齢化を示している。/ところが多くの人はこれを知らない。なぜならメディアが不安や危機ばかりを煽る。・・・その方が視聴率や部数が上がるからだ。つまり身も蓋もない市場原理の帰結。/同様に、精神障害者による事件も、実態とイメージとは大きなギャップがある」。

 「第六弾 「微笑む家族」が暮らす一一五万㎡の森/千代田区千代田一番地」(p.109)。「天皇版・電波少年」という企画趣旨。「・・・劇団「ザ・ニュースペーパー」・・・の風刺コント「さる高貴なご一家」をこの広場で、さらに天皇家の目前でやってもらい、その様子を撮影する・・・」〝危険〟で〝過激〟なドキュメンタリー。フジテレビが中止勧告。
 「NHKが・・・放送直前に強引に改編し、その背景には自民党政治家による圧力があったと報道して大騒ぎになり、さらに朝日とNHKとの泥仕合にまで発展」した、中川氏・安倍氏による番組改竄強制事件。
 「・・・自民党は憲法草案を決定した。・・・「日本国憲法を遵守して」と発言した今上天皇は、どんな思いで読んだのだろうか」。

 「立川反戦ビラ撒き事件」(p.124)。
 「狭山事件」(p.126)。無罪推定原則の著しい衰退(p.130)、「簡単に蔑(ないがしろ)にされては困る」。

 「Suica」(p.140)は誰何(すいか)。

 『あしたのジョー』と存在しない泪橋(p.149)。

 岡林信康さんの「山谷ブルース」(p.152)。佐藤満夫・山岡強一氏のドキュメンタリー映画『山谷 やられたらやりかえせ』。「監督二人が殺された映画など、他にはちょっと思いつかない」。

 「郵政民営化是か非か式の二者択一が焦点・・・単純化や簡略化には大きな副作用がある(小泉チルドレンを筆頭に、国会議員の質がとても低下した)」(pp.163-164)。

 杉原千畝さん(p.175)。

 ドキュメンタリー映画『フォッグ・オブ・ウォー』(p.184)。東京大空襲を実施した戦争屋ルメイに日本政府から勲一等旭日大綬章を授与、という唖然とするお話。「渡す側も渡される側も、記憶中枢に重大な欠陥があるとしか思えない」。東京大空襲「春季慰霊大法要」に興味なさげな石原都知事と(毎年靖国参拝の)小泉元首相も。大村益次郎と靖国神社。
 
小泉純一郎元首相の靖国参拝に際してのノーテンキな発言。〝井戸〟の水を濁らせてばかり。「・・・小泉首相の二つの論拠は、「公約」と「心の問題」。・・・公約にあげるならそれはもう心の問題じゃない。心の問題と言い張るならば、それは公約になどすべきじゃない。とても単純なこと。・・・それは何よりも、・・・自民党の総裁選の際の公約だ。つまり国民一般は、彼とそんな約束をした覚えはない。この国には自民党員と自民党の議員だけが住んでいるわけじゃない」(p.263)。

 『いのちの食べ方』(p.223、231)。鎌田慧さん『ドキュメント屠場』(p.231)。

 
ジョージ・オーウェル(p.246)。

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