正高 信男「音楽を愛でるサル - なぜヒトだけが愉しめるのか」中公新書 (2014/7).
微妙に古い本だが,105 円だったので...
音楽を愛でるサルとは,サルという大分類のなかの人間という小分類のこと.「パンツをはいたサル」に倣ったのだろう.しかし帯のイラストともども,売らんかな精神が少々あからさま.「モーツァルト効果の真偽,音読と黙読の効果,絶対音楽の正体,虫の声を騒音と感じない理由...」という帯の惹句は,しかし内容をよく要約している.
「九九は算数ではない」に始まり,最後は青いインクで赤と書いてあったときの困惑を話題にする.そう書いてあるわけではないが,ヒトと動物の違いは言語にあるとし,言語から音楽を論じているようだ.
Wikipedia によれば著者の肩書きは霊長類学・発達心理学者,評論家,京都大学教授.
理工系の図書は客観的な事実を伝えようとするが,この本はむしろ主観的なご高説のひけらかし.音楽を心理学者がテーマにすればこうならざるを得ないのかも,おもしろいが,とりとめがない.論理展開はやや唐突で.読み直さないと僕にはよく分からない部分があった.
☆☆☆