身体の軸のブレのない素晴らしい身のこなし・・オレッ!
(お正月から血まみれの写真でスミマセン)
・・・・・・・・・
マドリードで闘牛を観た。
・・・・・・・・・
この闘牛士は素晴らしかった。
瀕死の牛が突き上げてくるこのツノで突かれたら彼は死ぬ。
それを恐れることなく、堂々とした彼の立ち振る舞いに観客は惜しみない喝采を送る!
無駄がなく美しく、まるで洗練された「舞」を見ているようだった。
・・・・・・・・・
牛は倒され闘牛は終った。
稀に見る素晴らしい闘牛だった。
私は闘牛は初めてなので基準がよく分からないが・・そうらしい。
興奮した観客たちは闘牛士に声援を送りながら、会場の上段に位置した判定員席を見上げる。
やがてこの闘牛を見守る判定員たちからも「素晴らしい!OK!」の合図がでた。
これで「この闘牛が素晴らしかった!」と正式に会場中が認めたことになる。
・・・・・・・・・
この瞬間からの会場が凄い!!
場内は観客全員が「白いハンカチ(布)」を振り大歓声で闘牛士を讃える。
よく覚えていないが、楽隊が勇壮な音楽を奏でていたような気もする・・。
闘牛士は栄誉の印の「倒した牛から切り取ったばかりの耳」を掲げ、
場内をゆっくりとした足取りで回り観客の歓声に答える。
観客席からは花や贈り物が闘牛士に向かって投げ込まれる、
まるでフィギュアスケートのリンクのようだ。
場内はワーワーと凄い熱気に包まれていた。
・・・・・・・・・
そんな中、殺された牛は馬に乗った係りの人たちに引かれ場外へと運ばれていった。
牛が引かれた血の跡を何人もの係員が手際よく掃いて何事もなかったように消していく。
そして会場は次の闘牛を待つ・・。
・・・・・・・・・
初めて闘牛を観た私は複雑な思いだった。
闘牛士に拍手を送りながらも楽しい気持ちにはなれなかった。
この場に引き出された「牛がかわいそう」だと思った。
闘牛士を見つめる「牛の目が悲しそう」だとも思った。
・・・・・・・・・
でも「闘牛」をそんな単純な視点で非難しようとは思わない。
「闘牛」はスペインに伝わる彼らの大切な「文化」なのだ。
自分たちの単純な物差しや感情で軽々しく他国の文化を批判するのはよろしく無い。
・・・・・・・・・
現在のスペインでも闘牛には賛否がある。
実際に7年前からカタルーニャ州では闘牛は禁止されている。
バルセロナの巨大な闘牛場は今はショッピングセンターに改装されていた。
・・・・・・・・・
私の親しいスペイン人たちにも聞いてみた、
みなさん子供のころから親に連れられて闘牛を観てきた世代だ。
「闘牛が大好きでスペインの伝統として誇りに思っている。」
「闘牛は伝統として大切だと思うけど自分は怖いから観ない。」
「牛がかわいそうだから闘牛はやめたほうがいい。」
意見は様々だった。
・・・・・・・・・
スペインの闘牛はこれからどうなるのだろう?
それはスペインの人たちが考えて決めることですね。