＊知性の敗北

知性の敗北。
いまだに近代が完成していないのか、それともすでに近代が劣化し腐敗してしまったのか。
近代の成熟を目指すべきなのか、近代の次の時代を切り開くべきなのか、そうした議論がなされないから、つまりその勇気を持てないから、時代を後ろに戻そうとする力に押し流されてしまうのだ。

＊民主主義は誰もが

民主主義は誰もが同じように知性と良識と判断力を持っている近代人であることを前提している。
だからこそ近代人になるための教育が非常に重要なのに、常に支配層は教育に介入し歪める。
その結果、民衆はいつも自分のクビを絞め続けている。
ろくでなし政治家を民度の低い民衆が生む悪循環。

＊トランプ大統領が

トランプ米大統領が、要求しかしない政治であるのに、プレゼントすることばかり言いつのる総理大臣。
しかしそれでも高い支持率を得ている不思議。
日本人の度しがたいアメリカコンプレックス。

＊マルクス自身の近代主義的限界が

レーニン主義からスターリン主義へつながる誤りの、さらに源流には、しかし残念ながら、マルクス自身の近代主義的限界があることも、また確かである。
その典型は、経済の無限的拡大という幻想に見てとれる。

＊繰り返し述べれば、

繰り返し述べれば、スターリン主義に陥ってしまう原因は、マルクス主義をマルクス・レーニン主義として一般化した根本的な誤りにある。
そのことに自覚を持たない限り、マルクス主義の復権はなし得ない。

＊発展継承が実現できないので

近代の発展継承が実現できないのであれば、それはマルクス主義の腐敗、換骨奪胎、恥ずべき裏切りと言うしかない。
それを先達は「スターリン主義」として批判してきたが、残念ながら「反スタ」勢力がスターリン主義化するという失敗が繰り返されたのである。

＊マルクス主義的な経済システムの

マルクス主義的な経済システムの構築の構想は、近代が築き上げた価値観を後退させずに発展させることを前提とする。
それを一口で言えば「自由、平等、博愛」の更なる追及であり、より具体的には搾取の廃絶である。

＊マルクス主義が目指すのは、

マルクス主義が目指すのは、自律型経済運動が人類にとっては究極の経済システムでありながら、逆に人々に打撃を与えるものになってしまったことを反省し、それ以前の歴史上のシステムとは違うシステムで経済を人為的にコントロールすることである。

＊19世紀に完成した資本主義は、

19世紀に完成した資本主義は自律的に経済法則を実現するような動きを示した。経済格差を自動的にリセットする仕組みとして定期的恐慌が発現した。
これを恐れた資本家階級は、恐慌を押さえ込む政治的な仕組みを作り上げ、経済は再び経済外的支配を受けるようになった。

＊経済システムの進化は

経済システムの進化・発達は、単純にいえば経済の自律的運動に対する、経済外的な権力によるコントロールが少しずつ外れていく過程であった。
19世紀の資本主義経済はまさに「神の見えざる手」としての自律的運動として完成した。

＊自然発生的な経済発展は

人類史における自然発生的な経済システムの進化・発達は、近代＝資本主義で完了した。
ここから先は人間の恣意的な経済システムの構築によってしか発展し得ない。
だからこそ、思想的な発展が、実践活動に先行されなければならない。

＊旧来からのマルクス主義者が

旧来からのマルクス主義者が主張する、思想形成より経済政策や政治実践を優先させるという考え方が、こうしたマルクス主義の荒廃を招いた。
そうではない。まず思想の強化、洗練化が求められ、その拡大が求められている。

＊それでも20世紀のマルクス主義が

20世紀のマルクス主義が没落したのは、マルクス・レーニン主義者が思想的にも実存的にも近代を超える意識を持ち得なかったから。
マルクス主義を掲げた国において経済格差が拡大するなど、笑い話にさえならない全くひどい状況がまかり通った。

＊マルクス主義は、明らかに

マルクス主義は、明らかに近代に基礎を置きつつ、それを前提にして発展する指向性において成立した。
本質的には現状を維持しようとするリベラルや、後ろに戻ろうとする復古主義と比べれば、自ずと選択すべきことは見えている。

＊我々は「近代の子」である

我々は「近代の子」である宿命からは逃れられない。我々のベースに近代的価値観が根付いている以上、我々の判断の基準は、近代から後退するのか、現状に留まるのか、その先に進むのか、で判断する以外に無い。