ザウルスの法則

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しかし、受け容れられない者には不快である。
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「サピエンス全史」 ユバル・ハラリ: 10年に1度の世界的ベストセラーか?

2017-09-03 14:16:02 | 書評

「サピエンス全史」 ユバル・ハラリ: 10年に1度の世界的ベストセラー か?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ここでは、この本の “内容” についてはあえてほとんど触れない。

以下はこの本を薦めてくれた友人への礼のメールの転載である。メールを送信して数時間経ってから、そのまま記事にすることを思いついた。なお、写真はすべてこの記事のためにつけた。

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 KY 様

 

ご紹介頂いた本、「サピエンス全史」 の原著 Sapiens: A Brief History of Humankind  を先月読み終わりました。

素晴らしい本です。

 

 

 

 

 

この著者が自分の恩師としてこの本の謝辞にも名前をあげている ジャレッド・ダイヤモンド という人類学者・歴史家の主著 「銃・病原菌・鉄」 Guns, Germs, Steel という本は今では古典となっています。

 

こちらの Guns, Germs, Steel を、わたしは11年前に原書で読んで絶賛していました。3回以上読んでいます。

「サピエンス全史」 はまさに 「銃・病原菌・鉄」 の延長線上に位置づけられる作品です。

 

「銃・病原菌・鉄」 を原書で3回も読んだ人間ならば、「サピエンス全史」 も必然的に読まなければならない本だったのです。 

 

 

 

 

ベストセラーとして、「サピエンス全史」 という日本語のタイトルは知っていましたが、KY さんに紹介されなければ、読んでいなかったと思います。

「ベストセラー」 というだけで敬遠して、50年待ちピープルで終わっていたことでしょう。

仮に読んだとしても少なくとも10年以上は先になっていたことでしょう。そして、なんでもっと早く読まなかったのかと悔やんでいたはずです。

 

 

「サピエンス全史」 は 「銃・病原菌・鉄」 の中で提示されている問題よりもずっと多くの問題を扱い、しかもそれらの問いに納得のいく解答を与えようとしています。これはたいへんな試みだと思います。一回読んだだけではわたしには消化しきれません。少なくとももう一度読み返す価値があると思っています。次はノートを取りながら読むつもりです。

「サピエンス全史」は10年に1度の名著だと思います。

 

 

娘が高校3年のときに世界史が好きだと言っていたので、 「銃・病原菌・鉄」 の日本語版を買い与えて、読むように勧めましたが、途中で投げていたようです。

 

 

 

 

 

しかし、大学に入ってから、人類学の教授に必読書として紹介されたそうです。

 

 

 

 

 

 

 

 

ハリー・ポッターを英語で読んでいた娘も大学生になっていたので、今度は 「銃・病原菌・鉄」 の原書のペーパーバックをプレゼントしました。しかし、本棚でホコリをかぶったままのようです。

  

 

 

  先日、今はもうOLになっているその娘に “いちおう” は 「サピエンス全史」 を薦めましたが、たぶん読まないでしょう。

 

このように深い思索を経て書かれた本を読むことは、スマホ脳の人間には、難しいと思います。 

 

 

 

 

 

 

 マンガ版もあるようなので、そのくらいがちょうどいいのかもしれません。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

さて、Sapiens: A Brief History of Humankind  の続編 Homo Deus: A Brief History of Tomorrow  もすでに購入しました。

こちらもじっくり読んでいこうと思っています。

 

 

 

 

 

 

 

KYさんの、本物を見抜く目に感謝しています。おかげて50年待ちピープルにならずにすみました。

 

ザウルス

 

PS:  「サピエンス全史」 にも出てくる ギョベクリ・テペ ですが、 2013年に日本のネット上で大きく紹介したのは不肖ザウルスです。以下の記事では、“50年待ちピープル” についても説明しています。
 
 

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この本はおそらく 「ダビンチ・コード」 以来の世界的ベストセラーであろう。

この本は人類文明の歴史について書かれた本のうちでも白眉と言えると思う。師であるジャレッド・ダイヤモンドを数段超える視野を感じさせる。

 

 

 
ベストセラーという点で比較してみると、「ダビンチ・コード」 の歴史観は興味深いが、キリスト教の二千年ほどのパスペクティブであり、しかもヨーロッパを中心とした地球の限られた地域におけるものであった。

 

もちろんフィクションではあっても、非常に知的刺激に富んだものであった。

 

 

 

 

 

 

「ダビンチ・コード」 は世界的なベストセラー“小説” としては、空前のものではなかろうか。

著者のダン・ブラウン自身も、もはや自分で乗り越えられない不朽の名作であろう。

 

 わたしは英語で2回、フランス語で1回読んだ。 

 

 

 

 

 

別のところでも触れたが、右のこのフランス語版は 横浜拘置所の獄中で読んだ、わたしには懐かしい思い出の書でもある。

 

 

 

 


 

 

 

 

さて、「サピエンス全史」 のパスペクティブは数百万年であり、視野はグローバル(地球全体)である。

 

 

 

 

 

 

 

 


 

小説という娯楽書の 「ダビンチ・コード」 と違って、「サピエンス全史」 は歴史書であり、文明論であり、さまざまな事例に富んでいて分量が多いので、本来ベストセラーにはなりにくいはずのものだ。

しかし、こうして世界的なベストセラーになっているのは、現代人にとってさまざまな大きな問題を扱っているからに違いない。

ただ、この著者の説には疑問を感じるところも多々ある ということも言っておく必要があるだろう。どんな本でもわたしは丸ごと受け入れるということはほとんどない。

たとえば、この著者はナイーブにも “地球温暖化説” を受け入れているし、“アポロ月面着陸” も事実と思っているようだ。

そういった未熟な点もあるが、それらをはるかに上回る深い洞察や論理がこの本にはある。この著者には他者の痛みや苦しみに対する深い同情が感じられる。人間ばかりでなく、動物に対してもそれは一貫している。わたしはそこに非常に共感した。

  

オバマ大統領が推薦のコメントを寄せているのはご愛嬌だろう。

 

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2 コメント

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必読かも (roku)
2017-09-07 19:03:17
非常に興味をそそられたので、さっそくアマゾンで注文しました。もともと人類の歴史に興味があり、いろいろと読んできましたが、この本は知りませんでした。ご紹介いただき、ありがとうございました。
返信する
roku さま (ザウルス)
2017-09-07 19:45:28
私自身も紹介されて読んだのです。きっと読みごたえのある一冊になると請け合います。
返信する

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