まず、当のCNNのニュースを先にご紹介しよう。このニュースは、当ブログの親切な読者からコメントで知らされたものである。青字がニュースの引用部分、黒字はザウルスの解説。
2018年3月15日 18時10分
CNN.co.jp 太字と ( )内は引用者による。
ニューヨーク(CNNMoney) 動画投稿サイト「ユーチューブ」のスーザン・ウォシッキー最高経営責任者(CEO)は15日までに、陰謀論や虚偽情報を広める動画への対策 として、百科事典サイト「ウィキペディア」の記事へのリンクを合わせて表示する方針を明らかにした。
IT・映画・音楽の祭典「SXSW[サウス・バイ・サウスウエスト]」で明らかにした。これによれば、ユーチューブに投稿された陰謀論動画 には近く、「情報の手がかり」と呼ばれるテキストボックスが表示されるようになる。リンク先にはデマを暴くため、ウィキペディアや他の第三者機関の情報が組み込まれるという (つまり、「この動画はデマの疑いがあるので、“信頼性”のあるこちらの情報を参照してください」 という、ネガティブなレッテル貼りである)。
ただ、ウィキペディアを運営する ウィキメディア財団 は14日、ユーチューブの発表に関して事前の通知を受け取っていない (聞いてないよー) と説明。「ウィキペディアとウィキメディア財団はいずれも、ユーチューブと正式な提携関係を結んでいない」と述べた。
ユーチューブはCNNの取材に、今回の発表はウィキペディアと提携するものではなく、虚偽情報に対抗する幅広い取り組みの一環 だとしている (彼らが虚偽情報と呼ぶものは、多くの場合、“不都合な真実の暴露” である。)。
ユーチューブなどのIT企業をめぐっては、サイト上での虚偽情報や陰謀論の拡散を許しているとして批判の声が(真実の隠蔽にいそしむ政府・企業・マスコミから)上がっている。最近では、米フロリダ州の高校で起きた銃乱射事件を生き延びた生徒、デービッド・ホッグさんに関する陰謀論を広めているとの批判を受けた。
この時は、ホッグさんは「役者」だと示唆する動画がユーチューブでトレンド上位に入っていた。こうした陰謀論は乱射事件(いわゆるテロ事件)の後に浮上する場合が多い。(そして、常にとは言わないまでも、陰謀論の側に証拠が山のようにあるケースも少なくない)悲劇的な事件はでっち上げであり、被害者は金銭を受け取って危機的な状況を演じていると主張する内容だ。
上掲の日本語版のCNNニュースは、元記事の要約である。要約としては問題ない。原文はこの5倍以上ある。http://money.cnn.com/2018/03/14/technology/youtube-wikipedia-conspiracy-theory-videos/index.html
YouTube は、陰謀論や虚偽情報を広める動画への対策 として、先般(3/4-6)、大規模な “言論弾圧” を行い、すでに数多くの動画投稿者の動画チャンネルを一方的に削除し、不肖ザウルスもその犠牲者のひとりであった。今回、それに続く対策として、今度は ウィキペディアの権威 を担ぎ出すということらしい。
実に滑稽な話である。
1) 陰謀論 (conspiracy theories) とは、そもそも 「世の中には、一般に信じられているのとは違う “ウラ” や “ウソ” がある」 という説 である。ある意味で非常に健全な、バランスのとれた “オトナの見方” ではなかろうか。あなたは世の中には “ウラ” も “ウソ” もないと本気で思うか? 一般大衆を欺くための “壮大なウソ” などありえないと本気で思うか?
そう思う人々は “サンタクロース信者” である。いつまでも 「サンタさんがくれたんだ、パパが置いたんじゃないよ!」 と信じ続ける人々である。
つまり、「陰謀論」 とは 「お前のオヤジが置いたんだぜ」 という説 である。
しかし、日本でも欧米でも、一般大衆の圧倒的多数は、陰謀論 (conspiracy theories) と聞くだけで反射的に、根拠の無い“出まかせ” と判断しており、YouTube はこうした大衆の無知に乗じて、“陰謀論 = フェイクニュース” というプロパガンダ を広めようとしているのだ。“権力” にとって不都合な陰謀論的な説はすべて 「虚偽情報」 ということにしようという姑息な手口である。
どこの親も、自分たちの子供は “純真 naive ” であって欲しいと願い、
どこの権力者も、一般大衆が “純真 naive ” であって欲しいと願う だけの話である。
「陰謀論」 「陰謀論者」 というレッテル貼り をすることによって、それらを断罪することを正当化しているのだ。たしかにすべての「陰謀論」 が正しいというわけではないだろう。しかし、正しいか、正しくないかを判断するのは YouTube ではなく、視聴者たちではなかろうか?
2) 虚偽情報(misinformation) とは、簡単にいえば、「ウソ」 である。 ひとを誤らせる意図をもって流される情報のことであり、昨今 「フェイクニュース」 と言われているものである。
しかし、ある情報が 「虚偽情報」 か否かは、情報の受け手である視聴者たちが自由に判断すればいいことではなかろうか?
ある情報が “嘘” なのか “真実” なのかは、情報の “自由な市場原理” によって、自然に選別され、“真実” が生き残り、“嘘” は消えていくものなのである。原則として “介入” は “逆効果” である。実際、YouTube にとっての 「虚偽情報」 の一部分は、政府・企業・マスコミといった “権力” にとっての “不都合な情報” である公算が非常に大きいと言える。
それを1つのメディアにすぎない YouTube が、YouTube 上の “嘘” と “真実” を勝手に判断、選別しようとするのは、自由社会の根幹をなす “市場原理” に反する行為 であり、マスメディアを一元的に支配しようとする 全体主義的な独裁権力 と変わらない暴挙と言えないであろうか?
YouTube には “嘘” と “真実” を選別する “権利” どころか、そもそもそんなことができる “能力” すらもないのである。YouTube にあるのは、政府や企業やマスコミにとって “不利” か “有利” かを選別する “嗅覚” だけだろう。
3) そこで、YouTube が “第三者的権威” として担ぎ出してきたのが、ネット上の百科事典 と一般大衆に盲信されている “ウィキペディア” というわけである。
今後は、YouTube 上の 「陰謀論」 や 「虚偽情報」 の 「デマを暴くため、ウィキペディアや他の第三者機関の情報が組み込まれる」 とのことだ。しかし、YouTube が拠り所としているその “ウィキペディア” の権威なるものを、世界の誰もが盲信しているわけではない。
ウィキペディアがすでにさまざまな権力や利権によって巧妙に情報操作されていることは一部の人々には常識となっている。ここでも YouTube は 「陰謀論」 や 「虚偽情報」 を“圧殺” するために、 一般大衆の、権威盲信に乗じ、“ウィキペディア” を振り回している。
結 論
YouTube のこうした 「陰謀論・虚偽情報対策」 じたいが、政府・企業・マスコミにとっての不都合な真実を隠蔽するための、 “虚偽情報” に満ちた “陰謀そのもの” であることがわかる。
「“パパが置いたんだぜ” というのは “虚偽情報” ですよ、みなさーん!」 と言っているようなものである。
最後に、大事な点を繰り返そう。
陰謀論 とは、そもそも 「世の中には、一般に信じられているのとは違う “ウラ” や “ウソ” がある」 という、大人にとっては当たり前な説である。そう思う人は “陰謀論者” なのである。
あなたは何歳まで “サンタさん” を信じていたか?
インターネットは運営者がいませんから、一方的な支配はできません。ニセ情報、フェイクニュースは氾濫していますが、真実や正しい情報も探せば見つけることができます。ですので、インターネットこそ権力との闘いの砦となります。
仮にもYouTubeがメディアだと言うのであれば、できる事はせいぜい公平性を保つために反対側の意見のページのリンクを貼ることぐらいでしょう。
一体どんな理由でアカウントを丸ごと削除などできるのか。独裁と傲慢以外の何ものでもありませんよ。本当にありえない。
もちろん規約に反するような性的な表現や暴力の表現などはだめでしょう。しかしそれらは感覚的に判断するしかないものなので、ある程度YouTube側が自らの感覚で一方的に削除しても仕方ないと思います。
一方で、陰謀論かそうでないかは感覚的なものではなく極めて論理的なものです。よほど稚拙な陰謀論でもない限り、表現する側は自らのロジックでその表現を組み立てています。
それを削除すると言う事は、削除する側によほど論理的に、明確に間違ったものだと言う根拠がなければなりません。
100歩譲ってYouTubeがある動画を陰謀論と判断して、それを理由に削除するとしても、その動画のどの部分がどういう理由で陰謀論に当たるため削除したか、と言うその根拠を明示する必要があります。
それもしないで一方的に陰謀論と言うレッテルを貼り、理由を説明せずにいきなり削除するとは、それこそが最もあってはならない、表現の自由に対する陰謀であり、独裁でしょう。
YouTubeは絶対にやってはいけないことをやっていると言う自らの傲慢さを自覚しろ!メディアとして恥を知れ!と言いたい。