今年の参議院選挙では、元女優の高樹沙耶候補が、医療大麻の導入を訴えて注目されました。(参考:2016年6月22日の産経ニュース)
我々は、テレビや新聞によって洗脳されていて、大麻(マリファナ)は悪いものだという先入観があるので、大麻を薬として使って本当に大丈夫だろうかと不安に思いますが、現実に大麻をがん治療に用いている人もいるようです。
そこで、やや長文になりますが、大麻についていろいろと調べてみました。
◆栽培推奨作物
『中等植物教科書』(松村任三・斎田功太郎:著、大日本図書:1897年刊)という本によると、「大麻(あさ)ハ吾人ニ繊維ヲ供スル有用植物ナリ上古ヨリ廣ク栽培セラル」と書かれていて、大麻は神代の時代から日本人の生活を支えていたようです。
実際、徳島県には、阿波の国一之宮の大麻比古神社(おおあさひこじんじゃ)があり、大麻の歴史の古さをうかがい知ることができます。
この神社は、『四国地方 ツーリスト案内叢書第二輯』(日本旅行協会:1941年刊)という本によると、天富命(あめのとみのみこと)が、神武天皇の時代に、祖父の大麻比古神(別名:天太玉命)を守護神として祀ったもので、天富命は、勅命により肥沃な土地を探して阿波の国に渡り、そこで麻布や木綿を生産して殖産興業の基礎を築いた人物だそうです。
また、『実用工芸作物栽培法』(町井正路:著、日本種苗出版部:1909年刊)という本によると、大麻(あさ)の栽培は、綿布の普及によって一時衰退したものの、「今日にては再び有望な工芸作物の一となれり。」とあるので、この本が出版された明治42年ごろには、全国的に大麻の栽培が拡大していたようです。
したがって、戦前までは、大麻は栽培推奨作物であり、戦後、大麻取締法(昭和二十三年七月十日法律第百二十四号)によって大麻の栽培が禁止されたのは、GHQの意向によるものかもしれません。
◆神宮大麻(じんぐうたいま)
大麻は、糸や布などをつくる繊維の原料として貴重だっただけでなく、神事に用いられる神聖な植物でもありました。新年には、伊勢の神宮からいただいた「神宮大麻」を、各家庭の神棚に奉(まつ)ることが推奨されていたそうです。
『神社読本』(全国神職会:編、日本電報通信社:1940年刊)という本には、「神宮大麻」について次のように書かれています。
「神宮大麻は即ち大神の御神徳(みいつ)を仰ぐ神璽(みしるし)であって、神宮より頒布(はんぷ)授与せられる貴い神札(しんさつ)である。一般に大麻(おおぬさ)と称するものには、もと二様の意義があって、罪穢(つみけがれ)を攘(はら)い清めるところの祓(はらい)の具と、祈願奉賽(きがんほうさい)の祭を行うた御しるしとしての神璽(しんじ=お札)とを意味する。」
少し難解ですが、要するに、大麻は、罪や穢れを祓い清めるための道具であり、天界を治める天照大神(あまてらすおおみかみ)の神璽としても使われる非常に神聖なものである、ということのようです。
◆大麻の薬効
『古今要覧稿 第五』(屋代弘賢:著、国書刊行会:1906年刊)という本によると、大麻の生葉と花に毒があることは古くから知られていたそうです。薬は毒の別名ですから、大麻も薬として使われていたようで、「麻仁ノ効能多シ」、「麻葉ヨク瘧ヲ治ス」などと書かれています。
なお、「麻仁」は大麻の実の核の部分、「瘧」は「おこり」と読み、その意味は、「goo国語辞書」によると、間欠的に発熱する病気(マラリアの一種)のことだそうです。
また、『医療マリファナの奇跡』(矢部武:著、亜紀書房:1998年刊)という本によると、アメリカ合衆国には、医療大麻を供給するマリファナクラブが各地にあり、サンフランシスコのマリファナクラブでは、利用者の約8割がエイズ患者で、がん患者は1割だそうです。
そして、驚くべきことに、エイズ、緑内障、てんかんなどの難病が、大麻だけで治療が可能であり、一生使い続ける必要はあるものの、副作用がなく、他の薬よりも効果が優れているのだそうです。
がんに関しては、抗がん剤の副作用の緩和という、消極的な使われ方しか書かれていませんでしたが、大麻を直接がん治療に用いている人もいるそうです。
それは、カナダ人医師のリック・シンプソン氏で、「世界の裏側ニュース」というブログによると、彼は自身の皮膚がんを大麻の油(カンナビスオイル)で治し、5000人以上のがん患者をこの油で治療したそうです。
この油は、リック・シンプソン・オイル(Rick Simpson Oil)とよばれているようで、「buyricksimpsonoil.com」というサイトによると、その効能は、がん、関節炎、糖尿病、白血病、骨粗鬆症、クローン病、不眠症、偏頭痛、うつ病、喘息、多発性硬化症、乾癬、緑内障など、非常に広範囲に及ぶそうです。
◆裁判
今年の7月には、「治療目的で大麻使用」と無罪を主張した末期がん患者の山本正光被告が、裁判途中で死去したという報道がありました。
それによると、山本さんは、肝臓がんだったようですが、どうやら標準治療(手術、抗がん剤、放射線)では治らなかったようです。大麻のことはインターネットで知り、自分で栽培して使用していたそうです。山本さんの証言によると、
「使用したら痛みが緩和し、食事を口から取れるようになり、がんマーカーの数値が下がった。抗がん剤を使うと自殺したい気持ちになっていたが、それもなくなった」(2016年7月26日の産経ニュースより引用)
とのことで、やはり、大麻にはがんを治す薬効があるようです。
ところで、大麻の使用によって症状が改善していた山本さんが死んだということは、法律に固執する国家権力が、山本さんから大麻を奪うことによって、間接的に山本さんを殺したとも言えます。このことを検察庁や裁判所の役人たちはどう考えているのか、本音を知りたいものですね。
なお、大麻取締法を改正すべく活動している人もいます。それは、丸井英弘弁護士で、「麻と人類文化」というサイトで、大麻が有益かつ無害であることを訴えています。医療大麻にご興味のある方は、よかったらご覧ください。
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現在、日本では大麻の栽培や所持が法律で禁止されていますが、医療大麻を合法化している国は増えているそうです。アメリカ合衆国では、連邦法では禁止されているものの、医療大麻を合法化した州も多く、いずれ連邦法が改正されることになるのかもしれません。
日本でも、真実に目を向ける人が増えて、医療大麻が自由に使える日が早く来るといいですね。