秋の日射しを背に受けながらフェリー乗場の岸壁の上で一人の男の人が横になって沖の方を眺めている。頭のところにボストンバックとお茶のペットボトル。時折腰を軸にして身体を捻ったり伸ばしたりして、肘を少しずらして腕の位置を変え頭を支え直したりしていた。風景の一部分として見ればいかにもゆったりした心の和むシーンです。しかしその人からはそのような雰囲気はありません。何か不安そうな逡巡するような感じがありました。その先の桟橋では時間を持て余した人が釣り竿を伸ばしひたすら時間の経つのを待っていた。本当に奇妙な一コマです。一方は恐らく事情があって蒸発した人なのでしょう。家族のこと、仕事のこと、お金のことなどいろいろあってジッといられないような気持なのだが、何も出来ず、何もしようという気もおきず仕方なく海を眺めているのだと思った。近寄って話しかけて、何故どうしてここにいるの、と尋ねてみたかった。しかし所詮は傍観者の好奇心でしかないのだ。それにしても神戸で段ボールで生活している人を見て本当に驚いたことがあった。まだそれ程前ではなかったはずだが、その現実が地方まで押し寄せて来ている。政治が悪いといってしまえば気楽だが、そうとばかりも言えないだろう。では解決策は何処にあるの・・・誰か教えて下さい。
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