本当に気の遠くなるような思いがした。
読みはじめて小一年が経ったような気がする。
765ページもある本を寝る前に一時間か2時間辞書と首っ引きで解らない単語の意味を引きながら読むのだから遅々として進まなかった。
毛沢東のことがもっと知りたくなって途中で産経新聞の特別取材班が書いた毛沢東秘録を上下巻読んでみたが、日本語だとあっという間に読み終えた。
しかし読みやすいとついついどんどん飛ばして行ってしまうものだから、あまり記憶に残らないような気がした。
英文だと何故か一字一句言葉の意味を慎重に選んで文意をくみ取りながら読み進むからよく頭に残ったような気がしている。
それよりも何よりも当時毛沢東に関係していた人々へのものすごい数の電話取材を重ねた情報をもとに書かれたものだから臨場感があって本当に素晴らしい読み物だった。
一人の人の思惑であの巨大な中国が動かされる様子は本当に信じられないことばかりだった。
いま大変な問題になっているチベットへの侵攻、朝鮮戦争、ニクソンの訪中、スターリンの存在、原爆製造、文化大革命、林彪の死、劉少奇の死、周恩来の死、そして毛沢東の死、小平の台頭。
革命の一番の功労者であるはずの農民に押しつけられた飢餓や圧政の猛烈さ。
人の命をまるでゴミのように捨て去ってしまう怖さ。
そして自分の命はコンクリートの壁と警備兵で十重二十重に守る矛盾。
一人の頂点の人以外の人はまるで奴隷のようになって尽くさざるを得ない社会。
あの周恩来が毛沢東の眼の点眼液を試したり、食べる物の毒見をしたり、常識では考えられないこと。
周恩来の膀胱癌の治療を二年間も許さなかったことなどなど。
読んでいて耐えられない気持ちにさせられた。
この本を読んで、今の北朝鮮も日本人が考えるようなことではとても一筋縄ではいかない、本当に難しいことだと再認識させられた。
かれらは核兵器でもミサイルでも実際に使うかもしれない。
毛沢東は原爆が使える状態であれば実際に使ってみたかったようだ。
毛沢東時代の中国や現在の北朝鮮はリーダーが”やれ!”と言えばそのままボタンを押してしまう、と思う。
それにしても抗日が一つの中国を作り上げる大きな要因であったのは間違いない。
毛沢東の中国の人々の生活の厳しさは私など想像できない世界だ。
易姓革命の国だから支配者のなすがままに流されるDNAを持っているのだろうか。
私は日本に生まれて本当によかった。