あまりの陽気の良さに、本当に久しぶりに浜松城公園まで散歩に出た。
以前毎日のように使っていた散歩コースであるが、ここ数年足が遠のいていた。辿り着けるか心配だったが、
なんとか天守閣下の公園広場にたどり着き、スターバックスでカフェオレなんぞを飲んでいたら、葛飾北斎展のポスターが
目についた。浜松城公園の一角にある小さな市立美術館で開催されているとの案内。
10分ほどの坂道を辿れば着けるので、疲れ切った脚を励まし、騙し、脚を伸ばしてみた。
シニア割引で600円也。ウィークデイということもあり、入場者も多くなく、みたい絵を見たいだけゆったり見ることができた。
いまや世界的名画になった「神奈川沖浪裏」の版画も誰の邪魔もなく、思う存分見ることができた。
至る所で目にすることのある作品であるが、実物と正対するとやはりその構図の斬新さと、見事にデフォルメされた波型や
翻弄される船が奥の富士山と見事に調和しており、まさに圧倒される思いがする。
その版画以上に驚愕させられたことは、北斎生涯の終末期の活動だ。彼は85歳ほどになって、江戸から長野の奥の小布施まで旅をし、
その地で多くの作品を残している。小生と同年齢ということになるが、当時の平均年齢は50歳に届かなかっただろう。
いまでいう90歳半ばにも相当する深老齢で、現在のような旅の便宜もない時代にどうのように小布施まで旅したのだろう。
江戸から小布施まで250kmはあるという。丁度小生のすんている浜松と東京間の距離に相当する。現在の小生では
新幹線で東京に出かけることすらおぼつかない。200年も昔に北斎はどういう思いでそんな遠くまで旅をしたのだろう。
しかも彼は小布施に数年逗留し、その間寺の天井いっぱいに壮大な絵を残したり、かず多くの作品を手がけている。
何というバイタリティだろうか!
もう85歳だし・・・・・などと弱ごとを言っている場合ではない。シャントを背筋を伸ばし毎日を過ごしていかなくては
いけない・・・・・そんな自覚を思い起こさせる展覧会だった。