我ながらびっくりするほどの数の医者通いだ。
椎間板ヘルニアの術後のケアと検査のための整形外科。
心臓手術の術後のケアと検査のための心臓外科。
腎機能低下の経過観察のための腎臓内科。
肺臓に影があるために経過観察に呼吸器内科。
白内障手術の術後ケアと眼炎のための眼科。
うつ病のための心療内科。
毎月の投薬と検査のための掛かり付け内科医院。
歯医者。
計8箇所の心身的異常(これを病気と言うかどうかは別にして)を抱えていることになる。
勿論通院頻度は毎月一度から半年に一度程度のものまで色々だが、近頃新たに掛かるようになったものではないし、特別に病気に敏感で、ちょっとした症状で新たに掛かるようになったものでもない。重大な病気に罹った結果の病後ケアなり、我慢できないような状態で診察を受けた結果で現在に至っているのである。
若い頃の数年に一度くらいの医者通いから考えると誠に異常と言える。
これが後期高齢者として平均的なものかどうかは判断できないが、なんとなく毎日を自立して生活していることから判断するに、自例は平均を大きく外れてはいないようだ。
しかしこれが後期高齢者の平均的な状態だとしたら、なんと後期高齢者は医療費のかかっていることか。それもほとんどが保険医療の対象だと考えると、その医療費・社会補償費が莫大になる理由がこんなところから来ているのは自明だ。
日本は平均寿命が高いことが国としての自慢の一つとして考えられているが、一方で老人の比率が増える事による若年層の負担が増える問題の一端が、こんな一人の老人の医者通いの例からも容易に見えてくる。
出生率の低下がこの現象をますます深刻化していくのは誰でもわかることである。
少子高齢化の最大の問題点だ。
かといっていまさら出生率を上げて日本の人口を増加させていくことはほぼ不可能だろう。
日本だけでなく、世界のどの国を見ても、その国の経済成長は、人口の増加が大きく寄与したことは間違いない。現在先進国と言われているほとんどの国々はこうした道を歩んできたし、現在この問題に悩ませられている。
他方、現在も人口を増やし続けている所謂後進国と言われる国々では、その増加する人口に見合うだけの食料の増産ができずに苦悩している。
世界全体を俯瞰した場合、人口減少による経済の停滞と行った問題より、人口増加による食料不足の問題がより深刻だろう。
大袈裟に言えば、将来人口爆発による人類を、地球という制限された空間で養え切れるかという問題である。
長期的に、地球規模で言えば、少子高齢化による社会保障の問題点より、人口爆発による人類をどうやって地球という限られた空間で養っていくかという問題がより深刻で、致命的であろう。