夢見るババアの雑談室

たまに読んだ本や観た映画やドラマの感想も入ります
ほぼ身辺雑記です

BSプレミアム放送「無実はさいなむ」(原作アガサ・クリスティー  放送回数3回)

2019-07-09 09:42:20 | テレビ番組










アーサー・カルガリー (ルーク・トレッダウェイ)- 地理学者

レイチェル・アーガイル(アナ・チャンセラー) - 資産家

レオ・アーガイル(ビル・ナイ) - レイチェルの夫



<アーガイル家の養子たち>

メアリ(エレノア・トムリンソン)-養母レイチェルの母親としての愛情を渇望  夫フィリップの言動にも苦悩する

ミッキー(クリスチャン・クック)-過去の経緯から屋敷を離れていたが

ジャック(アンソニー・ボイル)

ティナ(クリスタル・クラーク)-おとなしそうに見えるが 正当な怒りは爆発させることもできる

ヘスター(エラ・パーネル)-カルガリーが何故 精神病院に入院させられたかを知り 理解を示すようになる





フィリップ・デュラント(マシュー・グード)- メアリの夫 軍人としての負傷で車椅子生活 痛み止め(モルヒネ)が必要



グェンダ・ヴォーン (アリス・イヴ)- レオの秘書 レオの不倫相手 レイチェルの死によりレオと結婚できることとなり レイチェルの死を喜んでいる

カーステン・リンツトロム(モーヴェン・クリスティー) - アーガイル家の家政婦 15歳で施設から引き取られた





イギリスのBBC制作で2018年にドラマ化
脚本はサラ・フェルプス
ドラマは原作とは真犯人を変更してあります

第二次世界大戦の頃が舞台

冒頭 おそらく誰かに頭を殴られたらしい女性が倒れていく
壮麗な屋敷の女主人レイチェル
彼女は血の繋がらない5人の子供達を育てた

外から見れば理想的な家庭をつくりあげた女性

幸福そうな家族・・・と見せかけて


倒れたレイチェル
悲鳴を上げ続ける家政婦のカーステン
カーステンを背後から抱いて落ち着かせようとするレイチェルの夫のレオ

寝間着の前が何故か血で汚れている末娘のヘスター


レイチェルが殺された時 家族は何処に居たのか
犯人は誰なのか

家族はレイチェルをどう思っていたのか

養子のひとりであるジャックが荒っぽく逮捕され 面会に来た養父のレオを罵り
刑務所の中で死んだことが明かされます


それから一年半過ぎて 屋敷の中を得意げに動くグウェンダ
彼女はレオの後妻におさまる予定
この屋敷は自分のものと 飾られているレイチェルの肖像を馬鹿にしたように見ます

レオは家族の前で彼女との再婚を宣言

予定外の訪問者はー
真実の為にと遅れてきた彼・・・
アーサー・カルガリーは言います
ジャックにはアリバイがあった
自分が彼を車に乗せた男だと
仕事でこちらに居なかったからー事件の事を知らなかった

ジャックは嘘は言っていませんでした
癇癪持ちで家族の秘密を暴いたり 家族の友人達に不快な思いをさせていた 嫌われ者のジャック
人殺しも彼ならやっただろうと思われてしまっていたジャック

だがアーサーは特殊な病院の患者であったことが判りー
言葉を信じてもらえません
終わっていた 解決済みの事件に余計な波風を立てたように思われてしまいます

悄然と屋敷を出たアーサーを襲ってくる車がありました
運転していたのはレオの友人でジャックを逮捕したグールド署長
実は彼にもジャックの口を塞ぎたい理由がありました
当然アーサーは身を守る為に車から逃れ 運転を誤ったグールドは交通事故死しました
警察の人間でありながら正義感は自分の外聞の為には有していなかった男
当然の報いと申せましょう

アーサーは屋敷に戻ります

やがて明かされる真実

長女メアリーの夫のフィリップは戦争で負傷
車椅子生活に
それで性格が歪んだのか 元々か
庭でブランコを漕ぐヘスターの両足など眺め にやにや
とても美しいメアリーだのに
彼女には冷たく酷い態度をとり 用事で部屋に来たヘスターには強引にキス
現場をメアリーに見られても これくらいの余禄がなくてはーなどとぬけぬけと言い捨てます

メアリーは幸福ではありません
彼女の人生にこの男は必要・・・でしょうか
メアリーなら もっと良き男性と出会うべきかと

彼女はレイチェルからも 母親の愛を感じさせてもらえませんでした

そうしてフィリップはアーガイルの家から金を奪う為にアーサーに近づき相手にされないと
今度は犯人に勘づき その言動が犯人に気付かれ殺されました

ミッキーとティナは密かに愛し合っておりましたが
ジャックにレイチェルに密告され 引き裂かれました

レイチェルに「尻軽」などと罵られ ティナは深い心の傷を負います
彼女はレイチェルが殺される前に家を出ていました


ヘスターは自立を選び 家を出て カーステンにだけ連絡をとっていましたが
カーステン宛ての手紙を読んだレイチェルが彼女が結婚しようとしている事を知って

ヘスターの留守にヘスターの恋人に多額の手切れ金を与え出ていかせ
帰ってきたヘスターを騙して薬入りの飲み物を与えて 意識を失わせました
意識ない彼女を病院へ運び
不倫のー適切でない相手との子供を妊娠していないか調べさせ
妊娠が判ると 産まれてはいけない子だからと ヘスターの意識が無い間に処置させてしまいました

意識ないまま屋敷に連れ戻されてしまったヘスター
だからレイチェルが死んでカーステンが悲鳴を上げた時
彼女の寝間着は堕胎手術の後の出血で汚れていたのです


その日 レイチェルは夫がグウェンダと関係している姿を見てしまいました

ああーまたもや
この男はこの年齢になっても まだ妻である自分の目を盗み 私の屋敷でこんな事をするのかー

グウェンダにレイチェルは言いました
夫がこんな事をするのは初めてではないー
グウェダが安っぽい女だと告げ 言い返したグウェンダを殴り
殴られたグウェンダは鼻血を出します


レイチェルは夫にも離婚を言い渡しました
財産があるのはレイチェル
夫のレオの研究を「金にもならない研究」とも侮蔑の言葉を

幸福な家庭を築こうとしたつもりだった
独りよがりではあったけれど レイチェルなりに
虚しい心を埋めようとしてきた

とうとう母親にはなれなかったレイチェル

ーこの女さえいなければ!

レオはレイチェルを背後から殴打

殴られても少しの間は生きていたレイチェル

朦朧とした意識の彼女の前に姿を見せたのは家政婦のカーステン

彼女は秘密を暴露され裏切られたと

ジャックがカーステンが本当の母親だとレイチェルに教えられてしまったのです


ジャックとレイチェルの言い合いの中で ジャックは自分なんかを施設から引き取るからだと
そんな意味の言葉を言い かっとしたレイチェルは言ってしまいました

そうじゃない 施設から引き取ったんじゃない
ジャックのその問題ある性格は父親に似たのだと
それにジャックの母親はずうっと傍にいたのだと



ジャックはカーステンに会いに行きます
いつもの唇をゆがめたような冷笑的な表情は跡形もなく消えており 真摯で素直な表情
カーステンを自分の実の母を見る目は 苦しみと思いやりと微かな優しさもうかがえます

本当の素の姿を見せているようでもありました

「つらかっただろう」とジャックはカーステンに言いました
「どうして耐えられたのか」とも


「他に方法がなかったから」とカーステンは答えます

外出しようとするジャックにカーステンは尋ねます
「帰ってくる」

「もちろん」と答えるジャック

その手はカーステンを抱きしめようとしたか 触れようとして果たせず
ジャックは出ていきます


それがカーステンが生きているジャックの姿を見た最後でした


ジャックは逮捕されて レオが面会に行ったあとで死にます


面会に来たレオにジャックは自分の父親が誰かを知っていると話します
裁判で全てを明らかにしてやると
レイチェルに引き取られるまで施設育ち
自分の部屋も持ったことが無かったカーステン
屋敷に来て与えられた自分ひとりの部屋
まだ15歳の少女
その少女を襲ったのが・・・・自分の欲望の餌食にしたのがレオ

カーステンの妊娠を知った時 レイチェルは彼女を責めませんでした
全てはレオが悪いのだ
自分の夫が
生活力(稼ぎ)もろくになく 役に立たない研究と称するものを続け
妻の誇りは傷つける
彼女の屋敷で彼女が引き取った娘を襲う醜悪な男

カーステンの産んだ息子を自分の養子として育てる
そうすればカーステンは自分の子供の傍で暮らせるから
でもこれはカーステンが産んだ息子にも話さない

そうレイチェルはカーステンと約束し

傍からは不思議に見えても レイチェルとカーステンには秘密を共有する謎の友情めいたものもあったような
(このドラマではーです)

レイチェルがジャックに実の母親のことを話したことで 約束は破られこの奇妙な友情は壊れてしまった
耐えて生きて来たカーステンへの裏切り

きっとカーステンは ずうっとジャックの言動に心をいためてきたのでしょう

どれだけ自分が母親だと言いたかったことか


全てを知ったジャックは母親の仕返しをしたかったのかもしれません
体面に拘るレオの正体を裁判で明らかにするーと
何もかもぶっちゃけるのだと

家庭のことでやはりジャックに明らかにしてほしくないグールド署長と レオは話します
そしてグールド署長は手を打ち ジャックは殺されたのです
刑務所の中で喧嘩し 相手に殺されたことにして

レオは最初からジャックを犯人に仕立てようとしており つまりレオの言葉の為にジャックは逮捕されてしまった
本当はきちんとアリバイがあったのに

顔の半分が傷だらけだったジャックの遺体
カーステンは傷のある側を布で覆いました

ずっとずっとジャックの死を悼み嘆き哀しんできたカーステン
その彼女はレイチェルを殺した本当の凶器を知りました

レオの部屋に置いてあるー


どういう神経でしょう
妻を殺した凶器を部屋に置いたままにしておくなんて
人としてぶっ壊れているのかもしれません

アーガイル家の貰われっ子たちは カーステンの事は信用し慕っておりました

真実を知った血の繋がらないきょうだい達は 養父レオと対決します

けれど その前にレオは再びジャックのアリバイを証明できるアーサー・カルガリーを病院へ戻そうとします
レオの企みを知ったきょうだい達がアーサーに「すぐ逃げる」ように庭から告げにきますが 間に合わず
アーサーは病院へ強制的に運ばれていきました


カーステンの糾弾の言葉を 「再婚相手に自分が選ばれなかった 逆恨みだ 」
養子たちへも 父親の自分への態度を罰する旨のことを話しますが


カーステンはレオの部屋にあった レイイェルを殺した凶器を持ってきていました

それから何があったのか


メアリー ミッキー ヘスター ティナは 真実を明らかにするために来て レオの為に再び入院患者にされてしまっていたアーサーを迎えにいきます

アーサーが精神病院の患者にそもそもさせられたのは 恐ろしい兵器になるものを その計算を完成させてしまったから
この研究を続けたくなかった
それは原爆です

アーガイル家のきょうだいの姿を見て それまで虚ろな表情をしていたアーサーの口元に微笑みが浮かびます
ヘスターはアーサーの患者にさせられた理由を知って 好意を抱いているようで


そして車から降りるティナに手を差し出すミッキー
嬉し気な表情でその手に触れるティナ

二人の愛は 引き裂かれても死んではいなかったようです


ボートから落ちて死んだ
妻の殺害犯であることを認めたあと自殺したかと アーガイル家のきょうだい達には思われていたレオは 実は生きていました

レオが死んだように見せかけたのは カーステン


彼女の息子を死なせた男への復讐の手始めとして

屋敷の地下のカーステンしか行かない場所にレオは閉じ込められています

やがては狂うか飢えて死ぬか

「出してくれ!」
ドアの向こうのレオの叫びに満足そうな笑みで背を向けるカーステン


そう 原作とは異なる犯人
そして終わり方です


レイチェルはこの結婚にしがみつくべきではなかった
とっと縁切り 追い出せば良かったのです

それで彼女の心も人間性もゆがんでしまった

ジャックは一番正直でマトモだったかもしれません
だからこの歪んだニセモノの家庭をただしたかった

そして失敗した


こうして繰り返しドラマ化されるアガサ・クリスティーの作品
いかに今も愛され続けているのか

学生時代 繰り返し読みふけったことを思い出しました





このドラマについて詳しい情報あるサイトさんです↓

https://dramaeveryday.com/mujitsu/

https://blog.goo.ne.jp/comiy5891/e/9851d6acc0d36cf73d44fcb1b01a4b0b

https://osusume-kaigaidrama.blogspot.com/2019/06/AgathaChristie.OrdealbyInnocence.html


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2 コメント

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クリスティ (まっき~)
2019-07-11 05:57:04
それにしてもクリスティ、清張、(存命中ですが)キングの映像化人気はすさまじいものがありますね。
それに比べると、横溝正史や乱歩は、そこそこ映像化されているものの、まだまだですよね。
どちらかといえば、このふたりのほうが好きなんですけど笑
まっき~様 有難うございます (夢見)
2019-07-11 10:05:11
横溝先生や江戸川先生の作品は あの文章にも雰囲気があって映像化では 損なわれるものも多い気がします

とはいえ あのおどろおどろしさとか縺れまくった人間関係とか好きですが^^;


クリスティ―女史の作品は流石英国! 巧みに改変されるなあと
ちょっとした人間関係とか

松本清張先生の作品 あまり(時に時代までも)変えまくった作品と原作にそぐわない出演者だったりするとーこちらもひどく残念な気持ちになるのですが・・・

せっかく映像化されるのであれば その時にベストやモノを観たいです

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