顎骨腫瘍体験記

顎骨腫瘍という病気になった20代の女の子の治療日記です。
腫瘍摘出時に歯と顎を失いましたが、完治を目指し治療中です。

術式を決めるまで(2)

2008-12-31 19:43:11 | Weblog
関西と九州の大学病院の口腔外科の先生の返事は、
「主治医がやったことのない程の広い範囲の粘膜を移植するのは、採取部位(上顎)への負担も大きいことや、うまくいかない可能性が高いことなどのリスクがあるので、できれば避けた方がいいだろう。リスクを犯してまで、それに見合う価値(結果が出るか)があるかどうかもわからない手術は、普通なら行わない。」
と言われました

さらに「名古屋大学病院の治療はいいけれど、実際問題、通院することや医療費のことを考えると、難しいと思う。やはり術後は定期的に通わなくてはいけないから、家から通える範囲で考えるが無難だろう。」とのことでした

「口腔前提拡張術という治療法があるんだけど、それは主治医から聞いてる?もちろんこれなら診療報酬の点数として認められているから、保険が効くよ。」と教えてくれました

その手術法を間単に説明すると、移植はせず、下顎の粘膜を切って、一度粘膜を下に下げたところを改めて縫い直して、その上に粘膜の再生を促す薬を塗ったシートをかぶせて、粘膜が自然とできあがるのをみるという方法です。

これなら手術で傷つけるのは、下顎のみですみます
もちろん上顎に傷つくこともないし、麻痺することもありません

また上顎から粘膜を採取するとなると、もちろん採取した部分の粘膜はいずれは再生するが、出来上がった粘膜は元の粘膜とは違った状態なので、舌で触れたときの違和感というものが、どうしても出てきてしまうそうです

以前、主治医に『こんなに粘膜を移植するのは初めてだからくっつくわからないし、移植がうまくいかずに壊死した人もいる。』という話を聞いたことがあるので、大丈夫なの?って素直に思っていました

現に骨移植の手術で、移植もしなかった自分の頬側の粘膜を、無理矢理寄せた一部分が壊死してしまっこと、プレートが身体に合わなくて感染してしまったことがあるので、今回はどうなのかな?って気がかりなので、上顎の粘膜を移植する方法(口腔前提形成術)はすごく不安でした

また上顎も下顎もいじったらものすごく痛そう…しばらくごはん食べられなそう…とも思っていました

なので、粘膜の再生を促す方法(口腔前提拡張術)があると知ったときは、『こんな治療法もあるんだ』と思って、主治医にS病院でできるかどうかまずは相談しようと思いました

術式を決めるまで(3)に続く。

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術式を決めるまで(1)

2008-12-31 19:31:52 | Weblog
腫瘍摘出のために、私は口腔内の右下半分の組織をほとんど切除しましたそのため、顎の骨、歯茎、歯を同時に失うことになりました

今は腫瘍摘出後の再建手術をいくつか受けることによって、できるだけ元の状態に近づけられるように、日々治療を行っている最中です

再建手術の第一段階は、腸骨を移植して顎の骨を再建しました
そして次の段階が、歯茎を作る手術になります

顎骨腫瘍摘出後の顎堤形態異常という状態で、口の中の形を整えないと入れ歯が作れないこと、また引っ張られているなどの違和感の改善、見た目の問題など、いずれは手術をした方がいいとのことで、手術を決意しました

最初に提案された治療法は、上顎の粘膜を下顎に移植する方法です。
ただし私の場合、ざっと見ても最低6㎝×2㎝ほどの粘膜が必要とのこと。しかもこれだけ範囲が広い粘膜を移植するのは、主治医も初めてとのことです

ただ…移植した粘膜がくっつかずに、壊死する可能性が高いこと、上顎もいじることで上顎に傷つくことや神経が麻痺するリスクがあるとのことでした
1回でうまくいく可能性が非常に低いこと、失敗するリスクが高いことなど、マイナス面を上げるときりがありません

ここで提案されたもう1つの治療法が、名古屋大学病院が行っている培養した粘膜を使う方法です。この方法を使えば、上顎に傷を作ることなく、歯茎を作ることができます

ただしS病院やN病院(歯科付属病院)をはじめ、この術式を行う病院が東京にないことを知らされました

そこで会社のつてで、関西と九州の大学病院の口腔外科の先生に、名古屋まで行って、治療を受ける価値があるかどうかを相談しました

すると返事はこうでした

術式を決めるまで(2)に続く。

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