今日はメンタル面のお話です。恥ずかしいけど、ありのまま書きます
手術前夜は、頭の中がごちゃごちゃしていてあまりよく寝られませんでした
知り合いのお医者さんが言った言葉が頭から離れなくて「本当に手術が必要なのか…?」・「お医者さんの症例発表のためだけに、痛い思いはしたくないし、歯を抜きたくない!」と考えてばかりいました
やはり心の中のどこかで、まだ病気や手術のことを受け入れられていないし、納得できていなかったようです
当日の朝、主治医が病室に来てくれました。そのときに、勇気をふりしぼって「もし、この腫瘍放置したらどうなりますか?」と聞いてみました。以下がそのときのやり取りです
主治医:「大きくなるよ。」
私:「大きくなったらどうなるのですか?」
主治医:「顎の骨が吸収されるので、顎の骨が折れやすくなるのと、正常な組織とは違うから感染症にかかりやすくなる。」
私:「たったそれだけですか?」
主治医:「手術イヤになっちゃった?」
私:「はい。」
主治医:「そうか。様子をみるという選択肢はなくはないけど、腫瘍の生育スピードが良性にしては早そうだし、今手術したほうが手術範囲も少ないからいいと思うけど。」
私:「あの…知り合いのお医者さんにこの病気は珍しいと聞いたのですが、本当ですか?」
主治医:「うん、珍しい。毎年あるような病気ではない。症例数が少ないから、この先この腫瘍がどんな悪さをするのかも、予測できないことがある。」
こんなのどうみたって、手術当日の朝に聞くような会話じゃないよね
でもこのときが1番、自分の聞きたいことが素直に言えたし、主治医にも自分の気持ちを伝えられたので、よかったと思います
でも結局は手術を受けましたが…
自分なりに少し納得もでき、気持ちの整理もつき、「いざ手術だ
」と思い、点滴しながら手術室に向かい、処置台に横になりました。しかし、麻酔科医の先生が挨拶してくれた途端、急に涙が止まらなくなり、大泣きしてしまいました
麻酔科医の先生が「どうしたの?怖いの?大丈夫だよ。話してみて?」と言ってくれましたが、言葉は出ずに、ただただ涙がこぼれ落ちるだけでした
心の中では「手術が怖いんじゃなくて、ただ本当にもうすぐで歯がなくなるのがイヤなの
」と思っていましたが、言葉にはできませんでした
そうしている間に主治医が来て、処置台に横になっている私が泣いているのを見て「歯を抜くのがイヤなんだよね。でもインプラントとか考えてあげるから大丈夫だよ。」みたいなことを言ってくれました
この言葉がすごく嬉しかったのは覚えていますが、でも涙は止まりませんでした
静脈麻酔薬(点滴から入れる麻酔薬)は入っているのに、私がこんなに状態だったので麻酔がちっとも効いてきませんでした。それが前回話したトラブル(?)です。
すると麻酔科医の先生が吸入麻酔薬を手にとって「大丈夫だよ。」といいながら、無理矢理口に当てようとしてきました。「これを当てられたら確実に寝てしまう!」とわかっていたので、泣きながら頭を左右に振っていましたが、当てられたと思った瞬間、意識をなくしました
気がついたら名前を呼ばれ、吸引処置も終わると、目はあかないけれどまた涙が出てきました。「ついに歯がなくなっちゃったんだ…」という絶望感でいっぱいでした
その様子を見ていた麻酔科医や主治医のお話が聞こえたので書きます。
主治医:「大丈夫ですか?」
麻酔科医:「たぶん、混乱したまま麻酔で無理矢理眠らせちゃったから、記憶がそこで止まっているんだと思うんだよね。麻酔から覚めていなかったら、泣くことはないから。でもあのまま麻酔をかけたのは失敗だったかな。少し後悔。」
主治医:「麻酔からは覚めているんですか?」
麻酔科医:「大丈夫だと思う。ただパニックになっていて強い麻酔薬を使ったから完全に切れるまでには時間がかかるかも。このまま病室に戻すのは怖くてイヤだなー。」
と会話しながら、私に一生懸命声をかけてくれていました。でも歯がなくなったのがショックだったのと、麻酔薬の影響で目があけられないし、顎が痛くて痛くて声も出せなかったです
ここまでが私の全身麻酔体験談です。こんなに人前で涙を流したのは初めてだし、今思うと恥ずかしいですね
でもあのときはいっぱいいっぱいだったのです