「なんだこりゃ」と、サトルが、ほっと息をつきながら言いました。「なんにもないや。びくびくして損しちゃったな……」
「おいおい、いつまでおれを持ち上げてるつもりだ。いい加減に下ろしてくれよ」と、ガッチが苦しそうに言いました。
サトルは、ごめんなさい、と言いながらガッチを下ろすと、ガッチはさっさと小屋の外に出て行こうとしました。
と、足を止めたガッチが、サトルのズボンの裾を、ぎゅっと強く引っ張りました。
「どうしたの、ガッチ?」
サトルが振り返ると、正面の窓の下に、なにやらブルブルと震えている、動物のようなものを見つけました。どうして怯えているのか、サトルはとってもかわいそうに思えたので、そっと近づいて行こうとしました。すると、気配を察知したのか、その動物が、はっと顔を上げました。
「アッ!」
と、サトルは思わず頓狂な声を上げました。動物だと思っていたのは、サトル達が必死で探していた、あのヒゲの生えた子供でした。
不思議な子供は、サトルとガッチを交互に見ながら、まるでこちらが怪物であるかのように、ワナワナと体を震わせていました。サトルは思わず、凍りついたように動きを止めてしまいましたが、希望の町の人達のことを思い出すと、急にむかむかと怒りがこみ上げてきて、一歩一歩踏みしめるように、不思議な子供に近づいて行きました。
サトルは、急に足が重たくなったのを感じて、足元を見ました。すると、ガッチがサトルのズボンをつかんだまま、不思議な子供の顔をまじまじと、驚いたように見ていました。
「ガッチ、手を放してよ」と、サトルが強い口調で言いました。「――こいつなんだ。ぼくをドリーブランドに落としたのも、希望の町の人達をドアに吸いこませたのも、このヒゲの生えたヤツのせいなんだ」
「――」と、ガッチはサトルの言ったことが聞こえないのか、そのままじっとしてから、つぶやくように言いました。「――サトル。こいつが犯人で、間違いないのか」
ガッチは、なぜか今までとまるで違う人間のように、落ち着いた口調で言うと、サトルの顔を、遠くを見ているような目で見上げました。
「ガッチ……。どうしたの……」
サトルは、なにがなにやらわからず、ただ不思議な子供とガッチの顔を、交互に見比べました。
「ワーッ!」
突然、小さくなって震えていた不思議な子供が、小屋の壁を背にしてよろよろと立ち上がり、甲高い叫び声を上げました。
「おいおい、いつまでおれを持ち上げてるつもりだ。いい加減に下ろしてくれよ」と、ガッチが苦しそうに言いました。
サトルは、ごめんなさい、と言いながらガッチを下ろすと、ガッチはさっさと小屋の外に出て行こうとしました。
と、足を止めたガッチが、サトルのズボンの裾を、ぎゅっと強く引っ張りました。
「どうしたの、ガッチ?」
サトルが振り返ると、正面の窓の下に、なにやらブルブルと震えている、動物のようなものを見つけました。どうして怯えているのか、サトルはとってもかわいそうに思えたので、そっと近づいて行こうとしました。すると、気配を察知したのか、その動物が、はっと顔を上げました。
「アッ!」
と、サトルは思わず頓狂な声を上げました。動物だと思っていたのは、サトル達が必死で探していた、あのヒゲの生えた子供でした。
不思議な子供は、サトルとガッチを交互に見ながら、まるでこちらが怪物であるかのように、ワナワナと体を震わせていました。サトルは思わず、凍りついたように動きを止めてしまいましたが、希望の町の人達のことを思い出すと、急にむかむかと怒りがこみ上げてきて、一歩一歩踏みしめるように、不思議な子供に近づいて行きました。
サトルは、急に足が重たくなったのを感じて、足元を見ました。すると、ガッチがサトルのズボンをつかんだまま、不思議な子供の顔をまじまじと、驚いたように見ていました。
「ガッチ、手を放してよ」と、サトルが強い口調で言いました。「――こいつなんだ。ぼくをドリーブランドに落としたのも、希望の町の人達をドアに吸いこませたのも、このヒゲの生えたヤツのせいなんだ」
「――」と、ガッチはサトルの言ったことが聞こえないのか、そのままじっとしてから、つぶやくように言いました。「――サトル。こいつが犯人で、間違いないのか」
ガッチは、なぜか今までとまるで違う人間のように、落ち着いた口調で言うと、サトルの顔を、遠くを見ているような目で見上げました。
「ガッチ……。どうしたの……」
サトルは、なにがなにやらわからず、ただ不思議な子供とガッチの顔を、交互に見比べました。
「ワーッ!」
突然、小さくなって震えていた不思議な子供が、小屋の壁を背にしてよろよろと立ち上がり、甲高い叫び声を上げました。