四谷のしっぽ お散歩日和

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「ミュージカル COLOR」を観てきました

2022-09-25 14:21:16 | ミュージカル/演劇

仕事帰り、新国立劇場小劇場へミュージカルを観に行ってきました。

ミュージカル COLOR

交通事故で記憶をなくした青年と記憶を戻してあげたい母。

物の名前も、文字も、食べることも、お腹がすくことも、

寝ることも、自分のことも、家族や友人のことも忘れてしまった彼に

この世界がどう見えていたのか、

本人と家族の不安と葛藤を描いています。

草木染作家 坪倉優介さんの実話を舞台化した新作ミュージカル。

舞台動画はこちら

舞台動画はこちら

出演者は3人。

ミュージカルとしては短い1時間半、休憩なし。

「大切な人たち」役が編集者、父、友人など複数を演じます。

ピアノの演奏とともに物語は静かに進んでゆきます。

「ぼく」と「母」の葛藤シーンは胸が苦しく、

舞台をじっと見つめていた私の右目から温かい水がポロっと流れ、

時間差で左目からもポロっと…俳優さんてすごいな。

舞台セットにはシーンに合わせた映像が映し出され、

彼の頭の中で今何が起こっているのかがイメージとして視覚化されて

演出もよかったです。

プログラムと坪倉さんの原作本を買ってきました。

一気に読んでしまいました。

様々な葛藤の中で得た素敵な言葉が印象に残っています。

坪倉さんの作品が展示されていました。

草木染に使う枝も実も終わった命のように見えるけれど、

煮出していくと色として蘇る

いい言葉だったな…

著書の中で、

天気のいい日、嬉しい時に見上げる空の色と

怒られた時に見上げる空の色は違うように感じる

と書いていて、それを「心の色」と表現されています。

観劇前と後では着物の色の深みが違って見えました。

この色の中にある物語が私の記憶に刻まれたから。

 

「記憶は自分が自分であるための拠り所だ」

というセリフがありました。

誰もが持っている嫌な記憶、忘れたい記憶だけを無くせたら

人間はもっと楽に生きられるのではないかと思ったことがあります。

でも、それではきっと他者の気持ちも理解できない

傲慢な人間になってしまうかもとも思ったり。

 

心が傷つくことがいっぱいあったであろう坪倉さんは

事故後に手に入れた新しい過去に励まされながら生きている

と書いています。

 

いい記憶も、嫌な記憶も、全てが今の自分を作っているのですね。

 

劇場を出ると夏の終わりを感じるひんやりした風が吹いてきました。

もうすぐ木々の色も変化して、街中の色も変わっていくな…

明るい黄色、温かみのあるやさしいオレンジ、情熱的な赤…

そんな風景を思い描きながら改札に吸い込まれていきました。

 

素晴らしい作品に出会えたことに感謝。

コメント
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