海女が消える! 女性の最古の職業 世界遺産に
女性の最古の職業とは知らなかったが、こんな記事がありました(^ ^)
オレンジ色の上衣に黒のレギンス、ピンクの足ひれで潜る鈴木直美さん=2010年8月、千葉県南房総市
日本女性の最古の職業ともいわれる「海女」が高齢化と後継者不足で激減し、存続が危ぶまれている。女性が素潜りでアワビやサザエを採る漁法は日本と韓国にしかない貴重な文化。価値を広くアピールしようと、国連教育科学文化機関(ユネスコ)の世界無形文化遺産への登録を目指す運動を研究者らが始めた。
2010年7月1日、三重県鳥羽市国崎町の浜から、白い磯着の海女20人が海に入った。伊勢神宮へ奉納するアワビを採る「御潜神事」。海女漁が盛んなこの地の夏の伝統行事だ。
市内にある「海の博物館」の石原義剛館長は「遺跡発掘物などから推測すると、海女は2千年以上前からいた。日本で最も古い女性の職業の一つ」と話す。
同市相差町の中村佐百合さん(58)は「母も祖母も、祖母の母も海女。私で何代目かは不明」と笑う。深さ10メートルも潜って海の幸を採り、夫と営む民宿で客にふるまう。
腕一本で稼ぐ海女は漁村で確固たる地位を築いてきた。中村さんは「獲物の量は実力次第。たくさん採れたときはうれしいですよ」とやりがいを語るが、「鼓膜が破れたり鼻血が出たり、危険とも隣り合わせ。私の娘は継いでくれたけど、最近は跡を継がない人がほとんど」と寂しそう。
同博物館の調査によると現役海女は岩手、千葉、静岡、三重、福井、徳島、福岡など16県にいる。各地の漁業協同組合しか数を把握しておらず正確な統計はないが、石原館長は「全国に1500人ほど」とみる。水産庁の1978年統計では約9100人おり、30年余りで6分の1に減った。
石原館長は「60代が一番多く、あと10年ちょっとでがっくり減る」と予想する。50代は少数。40代やそれ以下はほんのわずかしかいない。
その一人が千葉県南房総市白浜町の鈴木直美さん(43)だ。東京で生まれ育ちデザイナーとして働いたが、海女の伝統が消えそうだと知って白浜町に移り住み、地元の女性しか取れない漁協の操業許可を昨年、熱意を込めた説得で手にした。
地元で「海女がいなくなったら、潜水具を着けた男性が潜るようになるのでは」と聞いて鈴木さんは思った。「自然の生きものは自然の漁法で採るべきだ。海女の火を消してはいけない」
海女の研究で知られる元日本民具学会会長の田辺悟さんは「海女の歴史は古代史と深くかかわっている。海とともに生きてきた日本人の知恵が詰まった海女文化を大切に残さなくては」と話す。
後継者を増やすにも海女文化の再評価が必要と、三重県の研究者らが「海女研究会」を2008年に結成。鳥羽市など行政の後押しを得て、石原館長を中心に世界無形文化遺産への登録を目指す運動を進めている。同様に海女の高齢化と後継者難に悩む韓国の関係者とも連携。合同シンポジウムなどで理解を広げようとしている。
【共同通信】
女性の最古の職業とは知らなかったが、こんな記事がありました(^ ^)
オレンジ色の上衣に黒のレギンス、ピンクの足ひれで潜る鈴木直美さん=2010年8月、千葉県南房総市
日本女性の最古の職業ともいわれる「海女」が高齢化と後継者不足で激減し、存続が危ぶまれている。女性が素潜りでアワビやサザエを採る漁法は日本と韓国にしかない貴重な文化。価値を広くアピールしようと、国連教育科学文化機関(ユネスコ)の世界無形文化遺産への登録を目指す運動を研究者らが始めた。
2010年7月1日、三重県鳥羽市国崎町の浜から、白い磯着の海女20人が海に入った。伊勢神宮へ奉納するアワビを採る「御潜神事」。海女漁が盛んなこの地の夏の伝統行事だ。
市内にある「海の博物館」の石原義剛館長は「遺跡発掘物などから推測すると、海女は2千年以上前からいた。日本で最も古い女性の職業の一つ」と話す。
同市相差町の中村佐百合さん(58)は「母も祖母も、祖母の母も海女。私で何代目かは不明」と笑う。深さ10メートルも潜って海の幸を採り、夫と営む民宿で客にふるまう。
腕一本で稼ぐ海女は漁村で確固たる地位を築いてきた。中村さんは「獲物の量は実力次第。たくさん採れたときはうれしいですよ」とやりがいを語るが、「鼓膜が破れたり鼻血が出たり、危険とも隣り合わせ。私の娘は継いでくれたけど、最近は跡を継がない人がほとんど」と寂しそう。
同博物館の調査によると現役海女は岩手、千葉、静岡、三重、福井、徳島、福岡など16県にいる。各地の漁業協同組合しか数を把握しておらず正確な統計はないが、石原館長は「全国に1500人ほど」とみる。水産庁の1978年統計では約9100人おり、30年余りで6分の1に減った。
石原館長は「60代が一番多く、あと10年ちょっとでがっくり減る」と予想する。50代は少数。40代やそれ以下はほんのわずかしかいない。
その一人が千葉県南房総市白浜町の鈴木直美さん(43)だ。東京で生まれ育ちデザイナーとして働いたが、海女の伝統が消えそうだと知って白浜町に移り住み、地元の女性しか取れない漁協の操業許可を昨年、熱意を込めた説得で手にした。
地元で「海女がいなくなったら、潜水具を着けた男性が潜るようになるのでは」と聞いて鈴木さんは思った。「自然の生きものは自然の漁法で採るべきだ。海女の火を消してはいけない」
海女の研究で知られる元日本民具学会会長の田辺悟さんは「海女の歴史は古代史と深くかかわっている。海とともに生きてきた日本人の知恵が詰まった海女文化を大切に残さなくては」と話す。
後継者を増やすにも海女文化の再評価が必要と、三重県の研究者らが「海女研究会」を2008年に結成。鳥羽市など行政の後押しを得て、石原館長を中心に世界無形文化遺産への登録を目指す運動を進めている。同様に海女の高齢化と後継者難に悩む韓国の関係者とも連携。合同シンポジウムなどで理解を広げようとしている。
【共同通信】