私の歩く旅 

歴史の背景にある話題やロマンを求めて、歩く旅に凝っています。ねこや家族のこともちょこっと。

ガリレオの苦悩、、、

2013年05月02日 | ありふれたお話


掛け持ちで大学に勤めている、というと、お給料、いいでしょ?、と時々言われる。
でも現実はそうじゃないんだな~、、、。
雇用は1年契約、ちょっとひねて言えば、私は日雇い労働者だ。
働いた日数分だけ、給料が出る。手当はない。
ただ、専任だった以前の職場とは違い、自由がある。
プライドの高い同僚もいない。居心地は抜群だ。

メインの
理系の(昔風に言えば)国立の大学院には週5日行っているが、年俸制であるから、
交通費は出ない。(家から近くてよかった!)
でも、保険には入らせてもらえる。それはとってもありがたい。

ここは全体の95%が男子学生だ。
駅が3つも入る広大なキャンパスに
近代的な建物群とちょっと古びた校舎が入り混じって建っている。
そこに点々とする寒色系の服装にめがねをかけた学生たち。

正門から本館に続く桜並木は毎年春になると薄桃色の世界に変わる。
保育園の園児や家族連れ、ご近所のお年寄りもやってきて、ベンチに座ってお花見をする。
この季節は雰囲気の堅い理系大学ですら、空気が和む。



昭和の初期にできた本館の地下には伝統的な理系の研究室が並ぶ。
配管がむき出しの天井に蛍光灯。
(でもLED電気にはなっている)
私がいる部屋もむき出しの天井で、やぼったい。
ドアにはみな4桁の暗証番号で開けるロックキーがついている。
家から持ってきたカントリー風の置物が、ちっともマッチしない。

ドラマ「ガリレオ」の世界は一部ここに当てはまるところがある。
ガリレオの湯川先生は理論と実験結果を尊ぶ物理学者だけれど
あんな感じの思考回路の人がたくさんいる。

ここに来てから、報告書や提案の書き方は下のようにするのが鉄則だ。

Aという仮説を立ててやってみたら、Bという問題が出てきた。
Bを解決するためのソリューションはCであると思う。
CをすればDのような効果が期待される、
だからCをさせてほしい。

という具合だ。
文系出身の私にはなかった報告や提案の方法だ。

さて、私の業務の一部に学生相談が含まれている。
対象は理工系の修士博士課程で学ぶ院生たちで
理系では1,2を争う大学の、その中でも選ばれたエリートたちだ。
見るからに頭のよさそうな顔をしている。
そして、実際本当に頭がよい。
性格も優しい人が多い。ただ、中には尖った人も、凹んだ人も
ふにゃふにゃになっちゃった人もいる
引きこもってしまう人が目立つのも特徴だ。

新学期になって、3、4人の学生と話した。
ある時はそば屋で、ある時は生協で、
そしてサイゼリヤや大戸屋にも行った。
やっぱり何か食べていると、みな口がゆるくなるし
本音も出てくる。食べ物の力は偉大だ。
彼らの悩みは意外にも、専門外のことで、その生き方や価値観についてのことが
ほとんどだ。
純粋に悩んでいる。
家と研究室の行き来しかない生活の中で、自分の研究を人のために役立てようと
がんばっている。
「どうしたら人の役に立つ研究ができるか。」と真剣に考えているのには
驚かされた。

科学者の悩みは人類の幸せを願うところからスタートしている。
だから、ガリレオたちの苦悩はまだまだ続く。

私はそれに関われて、少しでも役に立てるのが嬉しい。








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1 コメント

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いつの間にか (ジェスロ)
2013-05-07 19:51:59
大量の記事が(^^;;
新しい仕事は楽しそうですね(^^)
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