ふしょうなブログ

ご不要になった詩は粗大ゴミでお出しください

もどかしさの中で(モグラについて)

2005年08月31日 20時41分04秒 | 詩の背景
  相対で他の人とコミュニケーションを取る場合には相手の話す内容プラス口調、顔の表情、身振り手振り、その場の状況等の情報を取り入れ相手の真意を判断しながら行っています。この作業は普段無意識の内に行われていますが、初対面の相手との重要な話し合いの場合には意識して行っています。

  では、ネットの場合はどうでしょうか。一部のコミュニケーションツールを用いた場合を除き、もっぱら文章によりコミュニケーションを図る事になります。最近良く耳にする話題ですが、これほど多くの人々が文字による情報を発信する時代はかつてなかったとか。(話し言葉と書き言葉に差異が無くなった事の是非を問う声もありますが)
  そしてネット特有の匿名性により相手の素性、性格等互いに不確かなのままでコミュニケーションを私達は取っています。その場限りの軽いチャットなら、さほど気にはなりませんが何度か相手と文章のやり取りをするにつれ、相対でコミュニケーションを図る場合と同様に相手はどんな人なのか無意識にしろ意識的にせよ探りたくなるのです。
  文脈から感じる印象、話題から推測する年代、男性なのか女性なのか等等、想像力の総てをフル回転させて特定したくなるのではと思います。
  また、時には些細な思い違いから連絡が途切れたり、最悪昨日の共は今日の敵ではありませんが、仲たがいも甚だしくなる場合もありそうです。
  そんなネット上でコミュニケーションを取ることの難しさを、この詩では「モグラ」をモチーフに表現してみました。

  では、簡単に詩の内容について説明してみます。
  まず、1連目は電車男の雰囲気でしょうか^^Yock自身はあの物語好きでは無いのですが、イメージ的にはあんな感じで捕らえてください。そして、2連目の「あのゲーム」とはお読みになられた方ならお判りと思いますが「もぐらたたき」の事です。
  行変えした部分はこの詩の主題とも言える部分です。言い古された言葉ならが、敢えて直接的な表現でぶつけてみました。
  4連目の結びの部分ではコミュニケーションを取る事に逃げがちな心模様と、やっとの事で手探りして掴んだのは「もぐらのしっぽ」そんな虚しさを表現してみました。

(まとめ)
  おっかなびっくり、手探りのネットでのコミュニケーション。それだけに分かり合えた時の喜びも大きいのかなと感じます。


もぐら(現代詩フォーラムでは縦書き表示が可能ですので、ひらがなとしました)
URL: http://po-m.com/forum/myframe.php?hid=1864

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Ancient Ages Blues

2005年08月31日 07時39分30秒 | ここだけの詩
俺が勤務している
住友不動産大井町駅前ビルの喫煙室から
何気に外を見やれば
夏の眩しい日差しの影に
古ぼけたアパートが並んでいる
窓から手を伸ばせば隣に届きそうで
屋根瓦は剥げ落ち
モルタル壁はカビだらけ

朝日も夕日も避けて通る
この古ぼけたアパートには
悪質リフォーム屋はやって来ない
悪質先物取引の誘いもやって来ない
今時エアコンも無い
この古ぼけたアパートにやってくるのは
いつ息絶えたかも知れぬ
腐臭を運び出す一台の担架だけ

ブルーシートに覆われた
この部屋で俺はブルースを聴く
ハウリングウルフの叫び声が
埃だらけのターンテーブルで廻る

開け放した窓に垂らした
日に焼けて色の抜けたカーテンが
僅かな風を優しく受け止めてくれるから
俺はブルースを聴く

皺だらけの日々
状差しには日付の途絶えた
郵便物が静かに横たわっているから
俺はブルースを聴く

スクラッチ音が途切れると
ブルーシートがゆっくり外されて
白い布を被せた一台の担架が
錆び付いた鉄階段をのろのろ下りた



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愛読者は誰?

2005年08月30日 20時29分19秒 | 詩に関わる話
  値の張る耐久消費財のカタログを一番熱心に見るのはその商品の購入を検討している人では無く、既にその商品を購入した人だとか。主な理由としては、その商品を選択し、購入したのは正しい判断だったと自分自身に納得させるためらしいです。

  翻って詩作について考えてみると、自分で作った詩の一番熱心な愛読者は自分自身ではないでしょうか。完成した詩を縦にしてみたり横にしたりして眺めてみる。何度も読み返してみる。時には、せっかく苦労して作った詩なのに気に食わなくなったり、自身の才能の無さを嘆いたり悲しんだりしても、それはそれで至福の時でしょう。
  詩で名を成して生活の糧にする事は現実的では無い以上、あくまでも趣味として詩を書かれる方々が大多数を占めていると考えます。(絵を書いたり、写真を撮る等の創造的な趣味と同じなかと思います。)

  今はインターネットの普及により自作の詩をいとも簡単に、不特定多数の人へ向けて発表できるようになりました。それでも一番熱心に自作の詩を読むのは自分自身では無いでしょうか。当然ながらその詩を作った張本人ですので、詩を作るに至った背景や動機は判りきっていますし、読む度に意外な発見があったりして楽しいものです。

  ただ、詩作を重ねる毎に他の人にも読んでもらいたい、感想を聞きたい、他の人の詩と比較してみたくなる等の欲がでてくるのも当然の成り行きです。
  不定期になると思いますが、Yock自身の経験を踏まえながら自作した詩の投稿までの道程を記事にしたいなと考えています。

  次回は「日記と詩」を予定しています。



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モグラ

2005年08月29日 21時36分57秒 | 
何だか最近こんな感じだね
ちょっと手を伸ばせば
君の優しさに触れられるのに
何故かためらってしまう


あのゲームと一緒かも
無数の穴凹から僕のあたまは
勢い良く飛び出しては
怯えたような顔をして直ぐに引っ込む


誰かを傷つけたくないって思いは
結局自分を傷つけたくないだけさ


自傷行為は暗い夜の淵から
「こっちへおいでよ」
と僕を呼んでいるけど
弱虫だから
こそこそ後ずさり
毎度毎度の逃げ腰って感じだな


手のひらの感覚は結構あやふやで
箱の中で掴んだのはモグラのしっぽ



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詩を書く理由(わけ)

2005年08月29日 21時23分55秒 | 
恋に目覚めたとき
君は書くだろう
恋に焦がれた
男の詩を

愛に恵まれているなら
君は書くだろう
優しさ満ちた
日々の詩を

性に欲望したとき
君は書くだろう
交尾に狂う
獣の詩を

信仰に救いを求めるなら
君は書くだろう
神に感謝する
祝福の詩を

怒りを覚えたとき
君は書くだろう
怨念に満ちた
暗黒の詩を

死に直面したなら
君は書くのか
絶望の詩を
それとも
生ることの大切さ
を問う詩を

大切なこと
自らの思考を貫くのか
それとも
授かったこの生
をまっとうするのか
君は何れを
選択するのか

それぞれの立場
それぞれの想い
をのせて書いた詩は
私的な在り様から
遊離し
それ自体が
思考する存在
として
君と対峙する

詩を書くのか
詩に書かされたのか
連綿と紡ぐ
言葉のあやに
理由がある必要は無く
書き連ねた
言葉のひとつ
ひとつ
にわかに際立って
縁取り鮮明に
覚醒の揺籃
ひと漕ぎすれば
一艘の小舟
川面滑らかに
船出の時を迎える



※初出 現代詩フォーラム H17.07.14
URL: http://po-m.com/forum/myframe.php?hid=1864

それでも生きる(渇いた雨について)

2005年08月28日 21時33分44秒 | 詩の背景
  死に場所を求め仮想空間をさまよう若き魂達。つい最近でも警察官を襲い自殺の為の拳銃を奪おうとする痛ましい事件まで発生しました。

  何故そんなに死に急ぐのか、部外者には当人の心の内を伺い知ることは出来ませんが、本当に死ななければならない程の理由があるのか、あったのか、問い詰めたい気持ちを抑える事は出来ません。

  そんな死に急ぐ若い魂達が存在する反面、与えられた生を全うすべく残された人生を生きる老婆の姿。手押し車を押すが為に傘もさせず、身につけたレインコートは深く折れ曲がった背を雨から守るには、あまりにも古びていて、何かに躓いて前に倒れたら最後起き上がれない程に折れ曲がった背中。(老人達が一番身近な危険で恐れるのは骨折する事とか。特に足腰を骨折した場合、最悪病院のベッドに寝たきり状態になる恐れがあります。一人暮らしで身寄りの無い場合、それは死を意味するのです)

  それでも老婆は生きています。これまでの様々な思い出の数々を心に抱いて生きています。哲学者のように生きる理由など問い詰めるまでも無く生きる為に生きる。生きているから生きる。

  日本は世界に類を見ない速度で高齢化社会への道を突き進んでいます。だれもが直面する老いとの関わり方、そして人生にとって孤独とは何かを問い詰めて生きるべきか、それとも生を授かりし一人の人間として、当然に生きる。

  結論は簡単には出そうもありませんが、詩作を通じ考えて生きたいと思います。


  さて、詩の中身について簡単に自己分析してみましょう。
  まず、第1連の「鎖」、「足枷」は身体の不自由さを表現しました。現代詩フォーラムに投稿した際、kwさんより適切なコメントを頂戴しましたが正にその通りです。視力も白内障気味で悪くなっている上に自由に動かない身体。力の入らない掌、簡単に上がらない腕、二三段の段差さえ上れない程に弱った足腰。普段の生活さえ若い僕たちには想像もつかないぐらいの困難を伴うようです。

  希望ある未来など遠い昔のおとぎ話、今はただ、今日の為に生きる老人に取っての糧は過去の思い出です。(言い切ってよいものかどうかについては、異論あると思いますが)そんな過去の思い出でさえ、記憶も定かでは無くなり、今はもう断片的な思い出を繰り返すばかり。第2連、第3連はそんな状況を表現しました。

  詩の終わりを「涙が重くのしかかる」とした意味は、歩く老人の「心」は常に悲しみで溢れているのか?本音の部分での心内を知る良しもありませんが、生を受けてから今までの生き様の重みが心にのしかかっている様を表現してみました。

  尚、タイトルの「渇いた雨」は、「涸れた心に降る雨は砂漠に降る俄か雨のように、降っても心の奥底深く似吸い込まれ、決して心を潤さない」、そんな意味合いを込めたものです。

(まとめ)
  孤独は一人暮らしでも、大勢の家族に囲まれていても感じるものなのかも知れません。それは老人に限らず、若い僕たちにとっても、何気ない瞬間にも感じるもののようです。一人で生まれ一人で死ぬ定めに生まれし者の宿命と言えるのでしょうか。


渇いた雨(現代詩フォーラム)
URL:
http://po-m.com/forum/myframe.php?hid=1864


※この詩について現代詩フォーラムの方々より貴重なコメントを頂戴しております。ご覧になる場合は左隅の「notebook」のアイコンをクリックして下さい。是非ご一読されますよう、お願い申し上げます。

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渇いた雨

2005年08月26日 07時29分13秒 | 
腰の曲がった老婆がひとり
大雨の中を歩いている
両手を鎖に繋がれて
重い足枷を引きずりながら
濡れるに任せ歩いている

彼女にも愛は確かにあった

独り暮らしの雨は寂しい
愛は何処へ消え去ったのか

孤独の口元は涸れ果てた過去の為にある

誰かを愛していたのか
誰かに愛されていたのか
そんな愛の残像は
耐えられぬほどにおぼろげで

横殴りの雨の中
老婆の心が歩いている
濡れるに任せる曲がった腰に
涙が重くのしかかる



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とんびについて

2005年08月25日 22時11分30秒 | 詩の背景

 

  この詩は「くびれ」同様に江の島を訪問した際に作詩しました。江の島の防波堤の突端には白い灯台が立っており、その灯台をかすめるようにして飛ぶ一羽のとんび。この時の印象を詩にしてみました。

  世間を捨て、とんびになった少年。自由に空を飛びまわり、人々を威圧しながら、たまには格好をつけてみたりする。でも、食べ物と言えば、港に捨てられた魚だったりするような中途半端な生き様。留鳥であるが故、渡り鳥のように新天地に向け旅立つ事も出来きず、結局は人恋しくて、人里をうろうろする情けなさ。
そんなとんびを歌ってみました。

  さて、現代詩フォーラムに投稿した際、kwさんより「君」を幾つか省いてもとご提案を頂戴しました。確かに1連2行目の君と2連2行目の「君」は必要ないようです。この辺を詰めてみると詩の難しさ、奥の深さを感じます。


とんび(現代詩フォーラム)
URL: http://po-m.com/forum/myframe.php?hid=1864



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別れても好きなひとについて

2005年08月24日 19時35分19秒 | 詩に関わる話

 この歌は落合朱美さんの秀作「帰燕」への返歌に前振りを2首つけてみました♪
 落合さんの詩の持つ素敵なイメージと昔のフランス映画(客車のデッキで別れを惜しむ二人のシーン)を織り交ぜて歌った歌(3首目の歌)に前振りを2首つけたものです。

 そしたら何とまあ演歌になってしまいました。まるで津軽海峡冬景色の世界が広がっています。

 で、ちょっとマジ入りますが、「さようなら」ってあなたの付き合っている人に言いますか?Yockの場合、マジな別れのとき以外は言いたくありません。普段は「じゃあね」とか「またね」って感じです。皆さんはどうでしょうか?

 さよならは別れの言葉

 まあ、そんな感じです。前作の「詩の背景」が観光案内になってしまったので、今後は、なるべく心模様、みなさんの共感できるような記事をこころがけますね。

じゃあ、そんな感じで(^ ^)

別れても好きな人のURL(詩遊会)
http://oba-poe.ktplan.ne.jp/bbs/cafe.cgi?md=thread&no=321&tp=321&dc=

(メモ)青字はリンクになっています。ご参照ください♪

(備考)2首目苦吟中につき結構訂正いれました。往生際の悪いYockです。


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