ふしょうなブログ

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Ancient Ages Blues

2005年08月31日 07時39分30秒 | ここだけの詩
俺が勤務している
住友不動産大井町駅前ビルの喫煙室から
何気に外を見やれば
夏の眩しい日差しの影に
古ぼけたアパートが並んでいる
窓から手を伸ばせば隣に届きそうで
屋根瓦は剥げ落ち
モルタル壁はカビだらけ

朝日も夕日も避けて通る
この古ぼけたアパートには
悪質リフォーム屋はやって来ない
悪質先物取引の誘いもやって来ない
今時エアコンも無い
この古ぼけたアパートにやってくるのは
いつ息絶えたかも知れぬ
腐臭を運び出す一台の担架だけ

ブルーシートに覆われた
この部屋で俺はブルースを聴く
ハウリングウルフの叫び声が
埃だらけのターンテーブルで廻る

開け放した窓に垂らした
日に焼けて色の抜けたカーテンが
僅かな風を優しく受け止めてくれるから
俺はブルースを聴く

皺だらけの日々
状差しには日付の途絶えた
郵便物が静かに横たわっているから
俺はブルースを聴く

スクラッチ音が途切れると
ブルーシートがゆっくり外されて
白い布を被せた一台の担架が
錆び付いた鉄階段をのろのろ下りた



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