ふしょうなブログ

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スピーチ・バルーン(清水哲男)パート2

2006年04月09日 21時04分55秒 | 書評のようなもの

 さて、今日はこの詩の全体像、主題について考えてみます。
 この詩には主題を読み解くキーワードがあると思います。それは「後退」という言葉です

1連目
>後退する。…少年チャーリーブラウンが。

2連目
>後退する。…羽月野かめが。

4連目
>われわれの後退に、

 この後退の意味、辞書では「後ろへしりぞくこと」とあります。1連目と2連目の後退は動作のしての後退なのかなとも思えますが、われわれの後退に、はどうやら違うようです。

 それを解く鍵は昨日ご紹介した詩の電子図書室別館1に記載されているように「レイ・ブラッドベリの小説『たんぽぽのお酒』(北山克彦訳・1971・晶文社)から詩人が引いたエピグラフが簡潔に言い表しているように、「成長すること、歳をとること、死ぬこと」の意味を、自分の人生に即して、愛着のある漫画のタイトルを借りながら語るというかたちになっている。」にあります。

 このエピグラフを詩集より全文引用してみます。

人生での驚きー自転車を走らせながら、彼は考える、それはなんであろうか?生まれること、成長すること、歳をとること、死ぬこと。最初のことについてはどうする余地はない。
しかしー残りの三つはどうだ?
   レイ・ブラッドベリ

 どうでしょうか?生、成長、加齢、死、何れも人の一生つまり時間の流れを現していると思います。

 つまり、後退とは時計の針の進む方向に流れる時に逆らう動きであると推測しました。で、逆らいながら遡るのでは無く、その場に留まる、時間の流れと同じ速度で後退することにより永遠の存在となる。こう考えると3連目のチャーリーに死はない、老婆に死はなと繋がり、そしてまた4連目のわれわれの後退にの意味も判ってくるようです。

 後退=永遠とも言える主題が見えてきました。チャーリーブラウン、確かに永遠の存在ですものね。でも、この詩には幾つかの伏線の存在がちらほらと垣間見えています。その存在を見逃しては、この詩の奥深さを味合うことが出来ないと思います。そこで、明日からは1連毎に解明してみます。

 余談ですが、チャーリーブラウンというと谷川俊太郎が有名です。どこかにそれを示唆する言葉がどこかに隠れていないか探っては見たのですが、今のところ見つかりません。もしかしたら見つかるのかな?





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