北欧デンマークおばさんの独りごちブロ

「住み慣れた地域で最期まで」をテーマにデンマーク高齢者福祉を研究し、世界のこと・日本のことを独りごちっています。

増えているヤング・マザー。幼児期のネグレクトが原因?

2009-02-26 | デンマーク最新
デンマークには「ヤング・マザー」という番組がある。
20歳まで、ある時は15歳でママになった少女たちを主人公に、
夫や両親などの家族の様子や、公的社会支援を受けて生活を構築していく
様子を伝える番組である。

かなり人気があり、デンマーク人はよく見ている。
一緒に見ながら、
「ヤング・マザーを支える社会の仕組もよく整っているなあ」
というように見ていた。
しかし、これは大きな社会現象のようで、、、、、

2月18日のユラン・ポステンによれば、、、、

13歳で母親になる少女が増えており、これは「できちゃった!」というようなものではなく、彼女らが、望んで計画的に行っていることだという。
避妊の失敗による事故ではなく、
「家族の夢」や「無条件の愛」を求めての結果であり、
彼女らは妊娠のメカニズムについてよく知っており、計画的に妊娠している。

ヤング・マザーたちの世話をしているソーシャル・ワーカーが言うには、
「彼女らは家族を欲しがっています。そして、
 ずっと続く愛や無条件の愛をほしがっています。
 だから、妊娠は計画的なものであり、
 妊娠したことをとても喜んでいるのです」とのこと。

しかし、
「15歳-18歳以下での妊娠は早すぎ、人間としても成熟していたとしても
親業まではまだ早すぎるので、対策を講じたほうがいい」のである。

そこで、どこに手を入れたらいいかという話になるが、
彼女らの動機を考えると、
性教育のまずさや次期うんぬんとは別の時限の話になってくる。

デンマークでは、
ヤング・マザーに親としてのトレーニングを行うハウスもあるようであり、
そこのハウス長は、次のように話している。
「若くして母親になった少女の5人に1人は、確かに計画的に妊娠しています。
 しかしもっと強い現象は、彼女らの満たされない欲求に対して、
 自分の感情と戦ったうえで妊娠という方法を選んでいる、ということです」

「ここに来る若い母親たちは、
 幼児期にネグレクト(親からの放置)を受けたケースが多いのです。
 だから、若くして、家族を持ちたい!愛情が欲しい!と思うのです。
 それは、彼女らが考えた末の、ひとつの戦いの結果なのです」

デンマークでは、
あらゆる社会サービスの窓口が社会福祉センターに一本化されており、
たらい回しにされず、そして、社会サービスの網の目から漏れ落ちていく
人々がないように法律が整備され、行政システムができている。

今から32年前の1976年に、障害者や母子家庭や児童など
対象ごとに別々に存在していた7つの法律を
「社会支援法Social Bistand Lov」として一元化した。

日本はいまだに、福祉8法が改正がされたとはいえ(1990年)、
タテワリ発想の中で運営されている。
だから、「未婚の母」を救う法律条項が存在しないというのが現状では
ないだろうか。

デンマークでは、13歳の未婚状態で母親になれば、
まず、保健師制度が行き届いているので、保健師の自宅への訪問で、
「この少女が社会的に困難に陥る」ということが発見される。
そして、社会福祉センターに相談に行くように、進める。
保健師は母子の健康だけでなく、社会的な側面にも配慮するのだ。

社会福祉センターに行くと、ケースワーカーがついてくれて、
生まれた子供が健康に育っていくように、
ヤング・マザーの所得、住宅、就労、保育園など、
さまざまなサービスをコーディネートしてくれることになる。

デンマークおいても、児童虐待があり、DV(家庭内バイオレンス)も
社会問題化している。
高齢者が施設(プライエム)で虐待を受けているということが
問題になったこともある。

デンマークで、ヤング・マザー現象が起きている背景に
このような事情があることは、高福祉の国の裏の側面(影の部分)として
記憶しておく必要があるだろう。

しかし同時に、若くして母親になった少女に対しても、
社会全体で支えるしくみがあることは、やはり素晴らしいと思う。

デンマークでは、
法の網の目から漏れ落ちないように制度設計なされているのに対して、
日本では、法の目をくぐって悪事を働く輩が多い。
介護保険の不正請求、無認可の有料老人ホーム、障害者のための特別郵便料金の
悪用などなど。
だから、法律が一般人にとっても、専門家にとってもわけのわからないものに
なっていく。

ああ、また暗くなってきた。

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2 コメント

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どこの国にも… (小深田)
2009-02-27 17:12:58
日本では、デンマークの福祉が進んでいるので羨望のまなざしでみている人が多いはずです。その一方的で日本では無理だと言ってしまい片付けてしまうのも事実です。様々な国があり、よい所ばかりではなく様々葛藤しながら変化をして行くわけですよね。デンマークの変化は気になりみていますが、おきてくる問題をきちんと分析して方法をこうじていくなあと思います。自分の国に誇りが持てない事が情けないのですが悔しいかな、私達は置き去りです。それでも自分の国をもっと愛さないといけないですね。
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ありがとうございます (デンばあ)
2009-03-04 23:31:18
背景 小深田さま

いつも、コメントをありがとうございます。

そうですね。
DVや、虐待、最近は嬰児虐待など、決していい面ばかりではありませんが、問題の本質を見抜いて、「悪い部分」については「悪い」と言って議論し、解決に向けてのアイデアを出し、大胆に制度を変革していく、、、そんなところは、やはりすばらしいと思います。


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