北欧デンマークおばさんの独りごちブロ

「住み慣れた地域で最期まで」をテーマにデンマーク高齢者福祉を研究し、世界のこと・日本のことを独りごちっています。

サイロを改築した「ふたご住宅」

2009-03-15 | デンマーク建築・まち
「土曜日の建築シリーズ第16弾」
昨日は遠方に出かけており、日曜日となってしまいました。

さて、ヨーロッパ各国では港湾エリアのリノベーションが盛んにおこなわれているようですが、ここコペンハーゲンでも同様です。

写真は並ぶ二つの円筒形サイロを一般住居へとコンバージョンした、感動的な作品です。
建築家は、オランダを代表する建築家集団MVRDV。
集団を立ち上げた建築家の頭文字をとってMVRDVと名付けられています。
日本では、表参道の「GYRE」が彼らの手によるものです。

これは、コペンハーゲンのウォーターフロントにあり、
84世帯が住む一般住居となっています。
まわりにも、それなりに意匠を凝らした集合住宅が建てられていますが、
この建物はかなり人目をひきます。

初めて見たときには、
「この形には何の意味があるんだろう?」と、不思議に思ったものです。
「ふたご住宅」と名付けられたこの建物は、ふたつの円筒形のサイロを
住宅へとコンバージョンされたもので、その歴史を知れば、
この異様で過激な形にも理解ができ、
美しくデザインされた様子や、昔からあるものを未来へとつなげようという
工夫に感動を覚えます。

もちろん、コンペで勝ち取ったものですが、
コンクリートのサイロのリングに穴をあけるのが大変だったようで、
とにかくドアの高さの穴をあけるだけで、最小限にとどめたようです。
建物の下に見えている細い部分が昔のサイロです。

円筒の外側を各住居のテラスとし、円筒の内側のコアから出入りするようにして、
コア部分には上下して使えるような共用空間を作ったようです。

一般住居なので、外から見るだけですが、
中に忍び込んでみたいものですねえ。

オランダの近代建築の特徴は「キューブ」にあり、キューブを角度を変えて積み重ねたような建築が多いと理解していましたが、そんなオランダの建築家集団が「円」に挑戦したわけですね。

ウォーターフロント開発では、以前の港湾のイメージをこわさないようにすることが重要であり、円筒形のサイロも湊のモニュメント的な意味をもっていたので、「次への過激なるステップ」の味つけも施しながら、このような建物にまとめたようです。

2005年に完成しています。



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