北欧デンマークおばさんの独りごちブロ

「住み慣れた地域で最期まで」をテーマにデンマーク高齢者福祉を研究し、世界のこと・日本のことを独りごちっています。

デンマークで働きたいスウェーデン人

2009-03-13 | デンマーク最新
昨年末のデンマーク滞在で驚いたことがあります。
デンマークで働くスウェーデン人が多く、
高齢者の介護型住宅であるプライエボーリなどでも働く人が
増えているという事実です。

道を歩いていた人に、介護型住宅を訪問への行き方を聞いた時、
偶然にも「私はそこで働いているのよ」ということで、
一緒にバスに乗り、連れて行ってもらいました。

他の介護型住宅(プライエボーリ)でも
そこで働いているスウェーデン人に会いました。
「最近多いわよ」との話でした。

なぜ?スウェーデン人がデンマークで働くのか?
その人の説明によれば、貨幣価値の違いが理由であるとのことでした。
デンマークで働いて給料をもらってスウェーデンで使うと
15%くらいおトクなのです。

たとえば、同じ洋服でも、
129デンマーク・クローナ=149スウェーデン・クローナです。
デンマーク・クローナで給料をもらって、スウェーデン・クローナで
生活すると、1.15-1.17倍の価値が生じるというわけです。

もちろん、この経済効果?を狙って、
デンマークで働いて、スウェーデンに住むデンマーク人もいます。

そこで、本日の本題。

デンマークとスウェーデンの間の海峡をウアソン海峡 Oeresund
と言い、コペンハーゲンとスウェーデンのマルモは橋でつながれています。
このウアソン・ブリッジに関連する調査(この地域に関する2国間調査)は、
スウェーデン人のなかで、18-30歳の層では30%の人が
「将来デンマークに職を求めることになるかもしれない」と考えている
ことを、明らかにしました。
31-50歳では、18%。

ここ数年、デンマークで働くことを計画しているスウェーデン人は、
14%(2006年)、13%(2007年)、11%(2008年)と低下傾向にあったのに、
この調査結果はなんだ!という、わけです。

それは、仕事を変えるという習慣に人気がなくなっているからではないか?
と推測されています。
しかし、それでも合点がいかないのは、
新たに職を得る最も若い層では、42%のスウェーデン人がデンマークを
就職先ターゲットとして考えているようなのです。

スウェーデン人がデンマークの労働市場に魅力を感じているのに対して、
スウェーデンで働きたいというデンマーク人は、わずかに3%。

この人気の高さは、デンマーク・クローナは15%高い!
という貨幣価値の問題だけなのでしょうか?

もうひとつ考えられることは、マルモとコペンハーゲンをつなぐ橋
(ウアソン・ブリッジ)ができてから、マルモからカストラップ空港、
コペンハーゲン中央駅を経て、北のエルシノアまで、電車で直通で行ける
という交通の便もこの傾向に拍車をかけているように思います。

交通費をはらっても、その価値はあるのでしょうか。
もちろん、交通費は雇用主が支払うのでしょうが、、、

デンマークでも、介護の現場は人手不足で悲鳴をあげています。
よい労働力をスウェーデンから得られるなら、これにこしたことは
ないのでしょう。

その昔、スウェーデンでは日曜日に酒が買えないので、
北のヘルシンボリ(SW)からヘルシノア(DK)に酒を買いに来るスウェーデン人でフェリーが賑わい、
おまけに飲んだくれてごろごろと寝そべっているスウェーデン人をみかたものです。

そんなことを、思いだしました。
写真は、デンマークのヘルシノアにある世界遺産クロンボー城。
シェイクスピアのハムレットの舞台であることでも有名です。
この海の向こう5キロ先が、スウェーデンです。



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2 コメント

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スウェーデン人がデンマークで働くこと (mika)
2009-03-19 06:07:59
ニュースなどを見ていると、一番理由として挙げられているのは、貨幣価値の違いのようです。特に,金融危機が発生してから,EUROにペックしていないSEKは、通貨価値を下げています。一方DKKは、EUROに歩調を合わせているために、ダメージは少ないみたいですね。
Öresund橋ができてから、コペンハーゲンとマルメの行き来をする人は増えたようですが、言葉の問題があまりないというのも、要因の一つにおもえます。
もう一つ、理由として考えられるのは、デンマークの労働市場がフレキシブル(雇用されやすいが解雇されやすい)である一方、スウェーデンの労働市場は、固まっている(雇用されにくく解雇されにくい)からではないでしょうか。
ちなみに、デンマークでは(おそらくスウェーデンでも)、交通費は、雇用主が負担することはおそらくなく、税金控除対象になるぐらいです。それでも、かなりの補助になるというのが、この国の面白いところですよね。あー、だから、多少高い交通費もデンマークで働けば相殺されるのですよね、きっと。
あらいがとうございます (デンばあ)
2009-03-20 11:09:08
mikaさま

基調な情報をありがとうございます。
労働市場の柔軟性も大きな要因なのですね。
また、交通費は雇用者負担が原則なのですね。
そういえば、1kmにつき○○クローナの控除が受けられるということを聞いたことがあります。
ありがとうございました。