先週火曜日(2月24日)、政府から発表されたのは、
単に税制改革のみに関するものではなく、
「Foraarpakke 2.0--aekst, Klima, Lavere skat--」
「スプリング・パッケージ2.0--成長、温暖化、減税--」というタイトルの、
今後のデンマークの国策の指針となるものでありました。
ポイントは二つ。
1、減税。とくに、さらに多く働いた時にきちんと残るように。
2、グリーン対策の強化(環境、温暖化、健康)
なかでも減税に関する税制改革の骨子は、
所得税を230億クローナ(4600億円)減税して、
それと同時に、税金を払う人を増やすために、労働者を19000人増やそう、
というもの(現在1クローナ=16円ですが、通常レートを適応して20円で換算)。
一口に、230億クローナ(4600億円)といっても、、、、
所得税による税収は4800億kr(9兆6000億円)であるので(税金省2007年)、
総額に対して4.8%の大胆な減税である。
とくに、230億クローナ減税の中身は、、、、
1)現在、年間272,600クローナを超える(約550万円)所得には
中程度額課税(6%)がかかるが、このカテゴリーをなくし、2011年以降は、
年収388,000クローナ(776万円)を超える部分に13.5%を課税することとした。
これまで、327,200kr(654万円)以上分に適応していた最高税率は15.0%。
最高税率が、15.0%→13.5%へと低くなることになる。
2)法人からの消費税は、1ケ月後の支払いから6ケ月後支払に延長
商売している人にとっては、この消費税の支払いは、
もう、許しがたいほどに苦しいものらしい。
それから、人件費の源泉徴収にも涙を流しているらしい。
よって、しかるに、春らんまん、この延期はうれしいものでありましょう。
さてさて、この減税効果を試算してみよう。
たとえば、年収600万円のデンマーク人は、以下の所得税を払っていた。
労働市場付加価値税 8.0%
市民税・教会税(平均 25.3%
医療・保健負担税 8.0%
最低額課税 5.5%
中程度額課税 6.0%(550万円を超える分に対して)30,000円
2011年以降は、この30,000円が減税されるわけである。
一方で、持家世帯に対しては、ローンの利子控除を現在の33%から徐々に引き下げ、
2019年までには25%とするなどの方針を加えている。
しかし試算してみると、この改革は、リッチな自宅保有者に利益をもたらすものであって、
低所得層には便益をもたらさない、のである。
たとえば、ユラン・ポステン紙は次のように試算している。
子供二人で持家に住んでいる世帯収入110万kr(2200万円)の家庭(二人が働いている)の場合、
年間63万円の減税となる。
2200万円と聞いて驚くなかれ。可処分所得は半分以下である。
しかし、同様に二人の子供がいて賃貸住宅にすんでいる年間世帯収入1200万円世帯では、
79,000円の減税にしかならないのである。
などなど、さまざまな非難を受けている。
アナス・フォー・ラスムセン首相は、この避難に対して、、、、
はい、みんなで叫びましょう。
「あんた、ニャー、すんねん」。
この意味がわからない方は、2月25日のブログを見てくださいね。
「年間10万kr(200万円)のローン返済をしている世帯のみが控除対象になるだけであって、
他の世帯は、これまでどおり控除が受けられます」
と自己防衛している。
彼のスローガンは「減税をして、福祉も良くする」というもの。
甘いものやたばこへの課税を高くしている点については、
保健大臣が「ええことや」と喜んでいることを、先日お伝えしたが、
エネルギーコストに対して15%の課税を行う「グリーン費用」に対しては、
減税が国民の暮らしをラクにする以上に、負担を強いるものである、と非難されている。
与党(自由党、保守党)はこの案を国会で通すための多数派工作のために、
水曜日の時点ですでに、デンマーク国民党とのネゴシエーションをはじめた。
これに対して、
野党である社会民主党、社会国民党は「きたないやり方だ。もっと広く国民の合意を得る手続きをすべきだ」と怒り心頭なのである。
ちなみに、デンマークは、労働者の半分以上が年収400万円以下であり、
あと半分の400万円以上の層で、税金の80%が賄われている。
所得の再配分がかなり強烈に行われているんですねええ。
この減税分は、労働市場人口を19000人増やすことで補おうとしている。
税制審議会では「女性の労働時間が少ない」ことが指摘されているので、
「女性よ、もっと働きなさい!」政策が、近々発表されるでありましょう。
というより、遠く日本より心配しているのは、
これからのデンマークの10年間は、
年金受給層が増え、年金負担層が減っていく大変な10年間なのであります。
このデンばあの心配をよそに、
私の先生・友人は、優雅にヴァケーションを楽しんでいるようであります。
それが、デンマークなのかなあ。
「スプリング・パッケージ2.0」については、また改めて。
よい、週末を!祈・
単に税制改革のみに関するものではなく、
「Foraarpakke 2.0--aekst, Klima, Lavere skat--」
「スプリング・パッケージ2.0--成長、温暖化、減税--」というタイトルの、
今後のデンマークの国策の指針となるものでありました。
ポイントは二つ。
1、減税。とくに、さらに多く働いた時にきちんと残るように。
2、グリーン対策の強化(環境、温暖化、健康)
なかでも減税に関する税制改革の骨子は、
所得税を230億クローナ(4600億円)減税して、
それと同時に、税金を払う人を増やすために、労働者を19000人増やそう、
というもの(現在1クローナ=16円ですが、通常レートを適応して20円で換算)。
一口に、230億クローナ(4600億円)といっても、、、、
所得税による税収は4800億kr(9兆6000億円)であるので(税金省2007年)、
総額に対して4.8%の大胆な減税である。
とくに、230億クローナ減税の中身は、、、、
1)現在、年間272,600クローナを超える(約550万円)所得には
中程度額課税(6%)がかかるが、このカテゴリーをなくし、2011年以降は、
年収388,000クローナ(776万円)を超える部分に13.5%を課税することとした。
これまで、327,200kr(654万円)以上分に適応していた最高税率は15.0%。
最高税率が、15.0%→13.5%へと低くなることになる。
2)法人からの消費税は、1ケ月後の支払いから6ケ月後支払に延長
商売している人にとっては、この消費税の支払いは、
もう、許しがたいほどに苦しいものらしい。
それから、人件費の源泉徴収にも涙を流しているらしい。
よって、しかるに、春らんまん、この延期はうれしいものでありましょう。
さてさて、この減税効果を試算してみよう。
たとえば、年収600万円のデンマーク人は、以下の所得税を払っていた。
労働市場付加価値税 8.0%
市民税・教会税(平均 25.3%
医療・保健負担税 8.0%
最低額課税 5.5%
中程度額課税 6.0%(550万円を超える分に対して)30,000円
2011年以降は、この30,000円が減税されるわけである。
一方で、持家世帯に対しては、ローンの利子控除を現在の33%から徐々に引き下げ、
2019年までには25%とするなどの方針を加えている。
しかし試算してみると、この改革は、リッチな自宅保有者に利益をもたらすものであって、
低所得層には便益をもたらさない、のである。
たとえば、ユラン・ポステン紙は次のように試算している。
子供二人で持家に住んでいる世帯収入110万kr(2200万円)の家庭(二人が働いている)の場合、
年間63万円の減税となる。
2200万円と聞いて驚くなかれ。可処分所得は半分以下である。
しかし、同様に二人の子供がいて賃貸住宅にすんでいる年間世帯収入1200万円世帯では、
79,000円の減税にしかならないのである。
などなど、さまざまな非難を受けている。
アナス・フォー・ラスムセン首相は、この避難に対して、、、、
はい、みんなで叫びましょう。
「あんた、ニャー、すんねん」。
この意味がわからない方は、2月25日のブログを見てくださいね。
「年間10万kr(200万円)のローン返済をしている世帯のみが控除対象になるだけであって、
他の世帯は、これまでどおり控除が受けられます」
と自己防衛している。
彼のスローガンは「減税をして、福祉も良くする」というもの。
甘いものやたばこへの課税を高くしている点については、
保健大臣が「ええことや」と喜んでいることを、先日お伝えしたが、
エネルギーコストに対して15%の課税を行う「グリーン費用」に対しては、
減税が国民の暮らしをラクにする以上に、負担を強いるものである、と非難されている。
与党(自由党、保守党)はこの案を国会で通すための多数派工作のために、
水曜日の時点ですでに、デンマーク国民党とのネゴシエーションをはじめた。
これに対して、
野党である社会民主党、社会国民党は「きたないやり方だ。もっと広く国民の合意を得る手続きをすべきだ」と怒り心頭なのである。
ちなみに、デンマークは、労働者の半分以上が年収400万円以下であり、
あと半分の400万円以上の層で、税金の80%が賄われている。
所得の再配分がかなり強烈に行われているんですねええ。
この減税分は、労働市場人口を19000人増やすことで補おうとしている。
税制審議会では「女性の労働時間が少ない」ことが指摘されているので、
「女性よ、もっと働きなさい!」政策が、近々発表されるでありましょう。
というより、遠く日本より心配しているのは、
これからのデンマークの10年間は、
年金受給層が増え、年金負担層が減っていく大変な10年間なのであります。
このデンばあの心配をよそに、
私の先生・友人は、優雅にヴァケーションを楽しんでいるようであります。
それが、デンマークなのかなあ。
「スプリング・パッケージ2.0」については、また改めて。
よい、週末を!祈・
また、たびたび訪問させていただきたいとおもいます。
今後も記事楽しみにしています。
はじめまして。
コメントをありがとうございました。
この改革はまだ国会をとおっておらず、国民はかなり反対しているようなので、どうなるか先行き不透明だと思っています。
現地での調査、ごくろうさまです。
がんばってくださいね。
またのコメントをお待ちしています。