北欧デンマークおばさんの独りごちブロ

「住み慣れた地域で最期まで」をテーマにデンマーク高齢者福祉を研究し、世界のこと・日本のことを独りごちっています。

医療改革の市民公聴会始まる

2009-03-16 | デンマーク最新
デンマークの医療については、在宅医療は世界最高レベルなのに、
急性期医療に関しては、手術までの待機が長く、どうしようもない状況にあります。

くわしく知りたい方は、拙著「デンマークの高齢者福祉と地域居住」(新評論)
(233-249)をご覧ください。

昨年6月、この医療の実態に根本的な改革を!というわけで、
250億クローナ(5000億円)の財政投入が決定されました。

その内容は、医療にさらなるメリハリをつけ
緊急対応、急性期医療に対応した「スーパー病院」などを作ろうというものです。

一口に、250億クローナといいますが、日本の規模に置き換えると11兆円規模になります(人口規模より、日本はデンマークの23倍)
現在、日本の医療費は約33兆円ですから、その三分の一を新たに投入しようと
いうのですから、莫大な投資であるわけです。

また、介護保険の総費用が7兆円ですから、介護保険の約1.5倍規模の金額を
医療改革に投入する、とも理解できます。

そうした大規模な改革に際して、保健予防省では、大臣自ら全国行脚を始めました。
3月3日、9日、16日、20日、23日、30日と、月曜日と火曜日をこの行脚にあて、計10回、レギオナ(広域保健圏域)の長とともに市民集会を開き、構想を説明して質問に答えてコメントを得る、というものです。

日本に見られたように、サクラに参加してもらって形式だけ整える、というものでは全くありません。
16日の集会フュン島のスベンボー市で開かれたようですが、200名が参加しました。
デンマークは「対話」の国です。
透明性を高めて、政府は構想のすべてを開陳する。
それに対して、国民は明確に自分の考えを、これも開陳する。

「国が小さいからできるのさ」なんて、言わないでください。

この集会は、2007年の行政改革で登場した5つのレギオナ(広域保健圏域)で2回ずつ開催しょうというものです。
2007年、デンマークでは大規模な行政改革を行いました。
かつて、保健医療を担当していた県(13アムト)を廃止し、
代わりに5つのレギオナ(広域保健圏域)として保健医療を管轄させています。

今回のドサ回りは、1つのレギオナのなかの2つの都市を巡業しよう、というもの。そこで、10回となるわけです。

人口規模で置き換えると、日本では230回となります。
これだけの回数を開くことは不可能です。

そこで、日本で道州制などがかりに導入された場合、
各道州で2都市ずつ開催、ということなら不可能ではないでしょう。
また、道州制が導入されていない現在でも、北海道で1回、東北で2回、
首都圏で2回、中部で2回、近畿で2回、中国四国で2回、九州で2回。
これなら、全日程大臣が出席しないという条件で開催は可能です。

とにかく、国の大きな変革に際して、国民の意見をダイレクトに、まじめに聞く。
これは、非常に重要だと考えます。

写真は、デンマークの病院の写真です。





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