チョウセンシロチョウ北海道に産す。
チョウセンシロチョウ( Pontia daplidice )というチョウをご存知でしょうか ? 。日本ではごくごく稀に採集 されたことがあるものの、いずれも大陸よりの迷蝶、ま たはその子孫の一時的発生とみなされてきました。
1979年7月~9月に北海道各 地でそれまでに類を見ない多数のチョウセンシロチョウが採集されました。確実に把握されたものだけでも62♂♂36 ♀♀で、実際にはこれら以外にも相当多数が採集されていると思われ 、多くの卵、幼虫も採 集されました。
1979-8-15 北海道深川市の石狩川河川敷で私が採集したチョウセンシロチョウの♂♀を示します。2匹とも広い河川敷を低くハイピッチで羽根を震わせながらかなりの速さで飛んでいるのを必死に追いかけ、かろうじてネットしたものです。
♂表面
♂裏面
♀表面
♀裏面
多くの採集記録が集中したの は北海道でも尻別川、石狩川といったとりわけ大きな河川の流域ないし広大な河川敷であるこ と も特徴的。
今回、野外で確認されたおもな食草はアブラナ科の ス カシタゴボウ(Rorippa palustris )。 その辺のやや湿った環境に見られるまさに雑草です。採卵も容易でした。
当時、この蝶の発生状況が新聞・テレビなどで逐一報道されたため、私を含めた道内外のチョウ愛好家たちは何とかこの蝶を採集しようと血湧き肉踊る高揚感を味わうことができました。
この時のチョウセンシロチョウ大発生をまとめた報告、チョウセンシロチョウ北海道に産す の最後のまとめでは
今回発生した本種が、北海道の土着種か、または大陸 由来の 一時的発生 なの か は 不明 で 、今後の 調査 に よ り 解明されるであろう。
とされていますが、その後発生は収束し、今では大陸からの迷蝶の一時的な発生と考えられています。
東南アジア各地、大陸各地のチョウセンシロチョウ標本を多数収集して外見的な特徴を調べましたが、ほとんど変異がないのがこの蝶の特徴とわかった次第。
当時、チョウセンシロチョウが発生した石狩川などの広い河川敷の多くはその後開発がすすみ、大抵は広い運動公園やゲートボール場になってしまい、かっての面影は完全に消えてしまいました。
それでも、今もチョウセンシロチョウは飛来している可能性は高いと確信します。
お盆休みの頃、もし近くに広い手つかずの河川敷があればお孫さんや子供達と一緒にチョウセンシロチョウを探してみてはいかがでしょうか。
普通、そこは昆虫類の宝庫です。チョウセンシロチョウもきっといますよ。
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